河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <800c7853.0407111040.1e6e6cf5@posting.google.com>, eurms@apionet.or.jp (M_SHIRAISHI) writes
> しかし、これは相対性理論と矛盾する。相対性理論によれば、物体は光速を超える
> 速度で動くことはできない筈だからである。

そういうのは、もっと簡単な例があって、

    自分がその場でぐるっと回転すると、遠方の星は、相対的に超光速で動く

ってのがあります。まさに、つい先だってに書いた「一般相対論の
相対性は局所的であって大域的でない」って奴なんですけど。

「光速を越えることは出来ない」ってのは相対論と因果律の組合せ
から出て来るので、因果律の及ばない事象ならば、光速を越えるこ
とは許されています。一般相対論では本当に任意の座標系が使える
ので、そういう座標系を書けば光速を越えることは楽勝。回転もそ
うだし、膨張宇宙に張りついた座標系もそういう「単に線をひいた
座標系」なんです。

似たような良くある誤解にブラックホールから出て来れないっての
があるんだけど、ブラックホールは時間的に対称だから出ては来れ
るんだよね。ただ、出て来る奴と入って行く奴との間の因果関係が
禁止されているだけで。なので、ホーキング輻射みたいな非因果的
な現象を通せば出て来れるわけです。

反対側の宇宙にいるやつに紐で引っ張ってもらうという超光速航法
を思い付いたけど、そういうSFってあったかなぁ。

> 現代宇宙物理学では、姑息にも、“宇宙の地平線”なる概念を導入し、光速度に
> 達した銀河は、いかなる望遠鏡でも「見えない」としている。だが、宇宙が指数
> 関数的にどんどん膨張を続けているのであれば、見えなくなってしまう銀河も
> 指数関数的に増加していく筈である。

まぁ、閉じていれば有限なはずなんで膨張を続ければ、「すぐに」
自分一人になってしまうわけですけど。

このあたりも一般相対論を勉強中に、「曲率が負だからと言って閉
じている必然性はないだろ」と突っ込んだ記憶があります。地球が
丸いからと言って有限とは限らないってのはひねくれた考えだけど。

> 宇宙が膨張している根拠は、赤方偏移(red shift)と背景放射の存在にあると
> 言う。しかし、赤方偏移や背景放射が宇宙が膨張していなければ在りえない
> ことが証明されているわけではない。

僕も赤方偏移とファッブル定数は自己膠着しているんじゃないかと
疑ったことがあります。所詮、科学は数百年程度。信頼できる宇宙
に関する予言をするには短すぎるのかも知れないですね。数万年は
欲しいよなぁ。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科