河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <3F5B75DF.347D006@apionet.or.jp>, M_SHIRAISHI <eurms@apionet.or.jp> writes
> しかし、光子の場合には、電磁波という、れっきとした物理的波動
> が随伴しているのに、電子などにはそれに該当する物理的波動
> が、もし随伴していないとしたら、整合性を欠くんじゃないかな?

前進ポテンシャルとかを勉強すると「電磁波という、れっきとした
物理的波動」だとは思わなくなるかも... 

物理的ってのは、しょせんは人間の直観ですよね。そのあたりは、
観測した結果に限定されている直観です。その観測を関連づけてい
る構造は、目とか耳とか体感とかに依存する直観とは別な構造を持
っているわけ。

波動関数で重要なのは位相とその干渉です。位相は自由度が残って
いるので、波で表現された状態である波動関数は、「とりあえずの
表現」でしかないです。本質は、その自由度(ゲージ)を除いた数学
的構造なわけですね。

      次の状態 = 時間推進演算子 ( 今の状態 )

で、

      確率  =  観測 ( 状態 )

というような構造になっているわけです。ここには「確率が波動と
して伝搬する」ようなものは、入ってないわけ。状態が線形で、重
ね合わせが効くのと、時間推進演算子が exp(iht) みたいな数学的
表現を持つので波として扱うのが便利なんですけどね。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus, 
              PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科, 
           科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)