佐々木将人@函館 です。

>From:Keizo Matsumura <kmatsu@nr.titech.ac.jp>
>Date:2005/12/13 12:50:10 JST
>Message-ID:<dnlga7$l5m$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>
>
>判決の書き方は、新方式で決まっているはずです。だから、書いているはず。

いや、いわゆる新方式なら
彼自身が採用していない可能性があります。
というのは新方式は
従前の「構成要件事実論に即して対応する判断を最低限書く」に対し
「当事者間で争われた事実とそれに対する判断を書く」のをポイントにしているところ
井上裁判官はむしろ従前のやり方を理論的につきつめた形だから。

だから井上裁判官に限っては「新方式をそもそも採用していない」ってことでないと
趣旨は一貫していないんです。

もっとも私個人は、個人としての井上薫がそのような立場だからと言って
井上薫裁判官がしたことを「趣旨一貫していない」と非難する予定はありません。
なぜならいくら個人としてそう考えていたからと言って
裁判官の立場にある以上は裁判においては
裁判官として活動してほしいから。
端的に言うと「井上薫個人」と「井上薫裁判官」は
別の論理で動いてもらっていいと思っている。

むしろ別の論理で動かなかったからこそ
今回の問題になったのではないかと踏んでいます。

まず総論部分をやっつけたいんで引用順を変えますが

>ほんとうにそうなんでしょうか?新聞だと、訴訟関係者から「判決が短すぎ、理
>由がわからない」といったクレーム。「判決文の短さが裁判所内外から指摘され
>た」。横浜地裁所長から「判決文が短すぎる。当事者は、裁判を受けた気になら
>ない」
>
> どれも灰色の指摘、具体性がなく、単なる悪口のたぐい。指摘するなら、個々
>具体的に論理的に所長たるもの伝えなければならない。こんな抽象論を独立して
>いる裁判官に言ってみて何になるのか?だから、所長は、裁判干渉として、不服
>申立書を提出されたり、裁判官訴追委員会に所長の訴追を求められる結果になっ
>ている。相手を駄目だというためには抽象論ではなく具体的に指摘しなければい
>けない。
> 必要のあることー、短すぎー、理由がわからないー、裁判を受けた気にならな
>いー、これらみな「抽象的、灰色的、あやふや」な言葉です。こんな言葉で相手
>を説得できる分けがないし、逆の立場になれば言われてこれで理解できる
>の?ーーこれが国民一般の理解ではないでしょうか。

報道をそんなに過信してはいけません。
所長が井上裁判官にした指導が報道のとおりに短いものである訳がありません。

あと、当事者から訴訟進行を理由に損害賠償請求をされたことも報道されています。
(このことはずいぶん前のfj.soc.lawで私も書いていると思う。)
全国的に見ると損害賠償請求される裁判官は山のようにいるし
客観的に見れば難癖つけているのがほとんど。
だけど何らかのクレームがあった可能性までは否定できない。
当然そのクレームだって難癖かもしれないんで
本件は個別の事例がどうだったかが全てを決める話だと思います。

で、個別の事例を検討するなら……。

>新聞には一例書いてありますが、「今年9月、山林の伐採をめぐる損害賠償請求
>訴訟の判決では、実質的判断は、『被告の伐採を認めるに足りる証拠はない』な
>どとする2行だけだった。」
>ーーーこれでいいんじゃないですか?(もしこの内容どおりなら、もちろん争点
>も趣旨も書いた上での理由欄ですが)

これなら私もいいと思います。
損害賠償請求という報道が本当であれば
・原告は当然のように証拠を出しただろう。
・だけど裁判官としては
 原告の出した証拠では原告の主張する事実があったとは認定できなかった。
 (評価の問題)
ってことがまるわかりだから。

ってえか、あと何を書けと?

そして裁判官の判断がおかしいと思えば控訴すればいいんだもの。

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ルフィミア「めがねっこは有力説!」
まさと「多数説ではないのね……(泣)」