Re: NNTP 管理者等は、憲章により法的責任を回避出来るのか?
佐々木将人@函館 です。
>From:■□■□■ <lemac@cwo.zaq.ne.invalid>
>Date:2003/08/15 18:41:02 JST
>Message-ID:<3f3caa2c.7634%m4649@eastmail.invalid>
>
>■□■□■でございます。
なんて読むのでしょうか?
ってえか、まじめな議論をしようという時に
このような名乗りで言論の責任をどうとろうというのでしょうか?
そこは謎です。
以下本題。
>このコミュニティーに頻繁に猥褻画像等が投稿されるグループが
>あるとして
この議論をするのに
「コミュニティー」という概念を導入する必要があるのでしょうか?
「猥褻」画像が投稿されるということですから問題を
「日本刑法175条のわいせつ物頒布等の罪
もしくはその幇助犯が成立するか?」
という問題に限定します。
というのは
第1に当該画像の著作権を持つ者の著作権侵害という可能性はあるし
第2にその画像が写真であった場合に肖像権侵害という可能性がありますが
いずれも「猥褻」なものに限定されない話であるところ
猥褻であるがゆえに問題になるとすれば
上記刑事責任の問題しかないだろうことからです。
=わいせつ関係の犯罪は「被害者なき犯罪」という別名を持つように
社会全体の規律を乱すという要素はあるにせよ
特定個人に害をなす類ではないゆえ
特定個人から損害賠償を請求される類のものは考えにくい。
そして刑法175条のわいせつな図画の中には
コンピューターのデジタルデータが含まれることについては
判例は認めていますし
それを不特定多数人に配布可能な状態にすれば頒布罪が
不特定多数人に閲覧可能な状態にすれば公然陳列罪が成立することについても
判例はおおむね認めていると言えるでしょう。
そうすればわいせつな図画(のデータ)を持っている人が
自らの権限で使用可能なwebサーバーにわいせつ画像をアップロードし
その結果不特定多数人に閲覧可能な状態にすれば
わいせつ物公然陳列罪が成立するのは間違いありません。
そしてそれがwebサーバーではなくニュースサーバーであっても
話は変わりません。
(公然陳列罪が頒布罪に変わる可能性があるくらいで。)
そこでニュースサーバーの設置者や管理者がどういう刑責を負うかですが
この犯罪はそもそも故意がなければ成立しませんから
「知らない間に利用されていた」ということであれば
そもそも犯罪不成立です。
一方データを持っている人と話し合ってその行為に協力したのであれば
これが刑法175条違反なのも当然の話です。
問題はその中間で
「知っていたけど特に手を打たなかった」場合なのでしょうが
175条の条文は例えば「頒布する」という積極的な行為を要求しており
「知っていたけど特に手を打たなかった」という
積極的な行為をしていない場合になお適用があるというのは
かなり難しいのではないかと思います。
(不真正不作為犯を175条に認めるかという論点。
ちなみに認めた判例も否定した判例もない模様。)
わいせつ物頒布罪もしくは公衆陳列罪の正犯の成立は難しい。
しかしながらこの犯罪の幇助犯となると話は別です。
幇助については手段を問わないとされていますから
幇助の意思をもってサーバーを利用させたままにすれば
幇助犯が成立するのは間違いないですし
(リンクでも幇助にあたるとしたものとしていわゆるFLMASK事件)
幇助の意思がなければ幇助犯は不成立だとするものの
「幇助の意思があっただろう」と思われてしまうこと
そのように認定されてしまうことで
あらぬトラブルに巻き込まれる可能性は十分にあります。
この点においてインターネット関係者の間で従前となえられていた
「キャリア無責任論」は
必ずしも法律的には認められていないことに注意が必要です。
確かにダイヤルQ2の事件では
NTTの関係者はわいせつ物公然陳列罪の幇助犯に問われていません。
しかしそこでキャリアは限定的に解されています。
民事損害賠償責任ではありますがnifty事件の1審も2審も
「掲示板運営者は場を提供しているだけで
情報の内容にはタッチしないから
情報の内容に起因するトラブルには責任を負わない。」
という主張自体は否定されています。
せいぜいが
「内容を事前に審査したり定期的にチェックをする義務まではない」
ところまで。
そうしますとわいせつ図画をサーバーに送る行為についても
サーバーまでの通信回線を提供した者にはキャリア無責任論が適用されますが
サーバーの管理者等についてはキャリア無責任論でいうキャリアには
該当しないと解されることになることを注意しなければなりません。
そして以上の検討をすればわかるとおり
刑法175条との関係では
・当該投稿をした者が要件を満たすと正犯
・サーバー管理者等が幇助の意思をもって放置すると幇助犯
が成立すると言えますし
もしここで成立するという結論になれば
そのニュースグループが何で憲章がどうで運営方針がどうだってことは
一切関係ありません。
ましてコミュニティーという余計な概念を導入する必要はありませんし
導入することはむしろ誤りです。
>その責任は、国内において国内のユーザに配送しているプロバイダ
>及び NNTP 管理者が投稿者と連帯して負うものと思います。
データを送るのに使用した回線の提供者であるプロバイダの担当者には
犯罪は不成立です。
わいせつ物公然陳列罪や頒布罪の幇助の意思をもって
当該データを利用させ続けたサーバーの管理者には
幇助犯が成立し得ますが
連帯責任などではありません。
そもそも犯罪の成否を論ずるなら
「責任の有無」という議論ではありません。
そもそも
「何らかの行為があったか。その行為は刑罰法規に記載された行為なのか。」
という、業界用語で「構成要件該当性」を論じるのが先です。
(詳細は
http://www.lufimia.net/sub/keiho1/1010.htm
以下をどうぞ。)
>猥褻画像等を投稿すれば投稿者はもちろんのこと管理者及び閲覧出来る
>環境を提供しているプロバイダにも管理義務が生じると思います。
非常に粗い主張です。
ただし刑法は当然のことながら強行法規であり
わいせつ物犯罪については
「被害者がいいといったから」ということがない以上
>コミュニティーの憲章などで責任回避出来るとは思えません。
というのは一面真理です。
>国外に賭博サイトを設け、国内の利用者に利用させた業者も国内の
>法律が適用され検挙されたと思います。
第1に検挙されただけでは犯罪であることにはなりません。
第2にマスコミ情報は犯罪の成否を論ずる上では不正確であって
それによって議論することはあまり益がありません。
>刑法第二編第二十二章第百七十四条(公然わいせつ)
は無関係です。
>児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
は、刑法175条と同様に検討すればいいでしょう。
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cal@nn.iij4u.or.jp 佐々木将人
(This address is for NetNews.)
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ルフィミア「私のアンソロ本を書くって本当?」
まさと 「それ、微妙に間違っている……。」
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