X_1,X_2,…,X_kの積測度は集合体A={E_1×E_2×…×E_k;E_i∈M_i}上のpremeasure μ_0の拡張になっている事を確かめよ
たびたびすいません。いつも大変お世話になっております。
プリント配布からの問題です。
http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/problem14.jpg
問意は
k=2の場合の積測度空間の拡張に就いてで
k=2の時はA:={E;E=E_1×E_2,E_1∈M_1,E_2∈M_2}とするとAは集合体をなす。
この時,Aから生成されるσ集合体σ(A)とX_1×X_2と(μ_1×μ_2)(E):=μ_1(E_1)μ_2(E_2)とを組み合わせた
(X_1×X_2,σ(A),μ_1×μ_2)を積測度空間と呼ぶ。 この時,μ_1×μ_2はA上のpremeasure μ_0のσ(A)への拡張
になっている。
premeasure μ_0の定義は
「μ_0:A→[0,∞]でμ_0(φ)=0,A∋E_1,E_2,… が互い素にならばμ_0(∪_{i=1}^∞ E_i)=Σ_{i=1}^∞
μ_0(E_j) (可算加法性)
が成り立つ時,μ_0をA上のpremeasureと呼ぶ」
です。
同様にして k≧3の場合も積測度空間を作る事ができる。即ち,
A:={E;E=E_1×E_2×…×E_k,E_1∈M_1,E_2∈M_2,…,E_k}とするとAは集合体をなし,
X_1×X_2×…×X_kと(μ_1×μ_2×…×μ_k)(E):=μ_1(E_1)μ_2(E_2)…μ_k(E_k)とを組み合わせた
(X_1×X_2×…×X_k,σ(A),μ_1×μ_2×…×μ_k)を積測度空間と呼ぶ。
そして,積測度μ_1×μ_2×…×μ_kはAでのpremeasure μ_0の拡張
(つまり,制限写像μ_1×μ_2×…×μ_k|_Aはμ_0に等しい)になっている事をTheorem1.5を使って確かめよ。
、、だと思います。
[証]
制限写像μ_1×μ_2×…×μ_k|_A=:μ_0がpremeasureになっている事を示す。
(i) φ∈Aより,μ_0(φ)=μ_1×μ_2×…×μ_k|_A(φ)=(μ_1×μ_2×…×μ_k)(φ)
(∵φ∈σ(A)(∵σ集合体の定義))
=μ_1(φ)μ_2(φ)…μ_k(φ) (∵積測度の定義)
=0・0・…・0 (∵測度の定義)
=0.
(ii) 可算加法性
A∋E_1,E_2,…を互いに素とする。この時,∪_{i=1}^∞ E_i∈A …①(∵集合体の定義)
これらはE_1=Π_{i=1}^k E_{1_i},E_2=Π_{i=1}^k E_{2_i},…
(但し,E_{1_i}∈M_1,E_{2_i}∈M_2,…)
という直積の形になっている。
故に μ_0(∪_{i=1}^∞ E_i)=(μ_1×μ_2×…×μ_k)(∪_{i=1}^∞ E_i) (∵①)
=(μ_1×μ_2×…×μ_k)(∪_{i=1}^∞ Π_{j=1}^k E_{i_j})
=(μ_1×μ_2×…×μ_k)(Π_{j=1}^k ∪_{i=1}^∞ E_{i_j})
=μ_1(∪_{i=1}^∞ E_{i_1})μ_2(∪_{i=1}^∞ E_{i_2})・…・μ_k(∪_{i=1}^∞ E_{i_k})
=Σ_{i=1}^∞μ_1(E_{i_1})Σ_{i=1}^∞μ_2(E_{i_2})・…・Σ_{i=1}^∞μ_k(E_{i_k})
(∵E_{i_1}は互いに素,E_{i_2}は互いに素,…,E_{i_k}は互いに素より可算加法性)
から
=Σ_{i=1}^∞ μ_0(E_i)=Σ_{i=1}^∞ μ_0(Π_{j=1..k}E_{i_j})に辿り着けません。
逆から辿ってみましたが
Σ_{i=1}^∞ μ_0(E_i)=Σ_{i=1}^∞ μ_0(Π_{j=1..k}E_{i_j})
=Σ_{i=1}^∞ (μ_1×μ_2×…×μ_k)(Π_{j=1..k}E_{i_j})
=Σ_{i=1}^∞ μ_1(E_{i_1})μ_2(E_{i_2})・…・μ_k(E_{i_k})
で頓挫してしまいました。
それならTheorem1.5を使っていいんですよ。
Aが集合体である事を示す。
(i) 有限和集合について閉じている事を示す。
∀E_1×E_2×…×E_k,E'_1×E'_2×…×E'_k∈A(但し,E_1,E'_1∈M_1,E_2,E'_2∈M_2,
…,E_k,E'_k∈M_k)を採ると,
(E_1×E_2×…×E_k)∪(E'_1×E'_2×…×E'_k)=(E_1∪E'_1)×(E_2∪E'_2)×…×(E_k∪E'_k)
∈A
(∵E_1∪E'_1∈M_1,E_2∪E'_2∈M_2,…,E_k∪E'_k∈M_kなのでAの定義)
(ii) 補集合について閉じている事を示す。
∀E_1×E_2×…×E_k∈Aを採ると,
(E_1×E_2×…×E_k)^c
=(E_1^c×E_2^c×…×E_k^c)∪(E_1×E_2^c×…×E_k^c)∪(E_1^c×E_2×E_3^c…×E_k^c)∪
…∪(E_1^c×E_2^c×…×E_k)
となる
∵
http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/product_measure.jpg
そして
E_1^c×E_2^c×…×E_k^c∈A,
E_1×E_2^c×…×E_k^c∈A,
E_1^c×E_2×E_3^c…×E_k^c∈A,
…,
E_1^c×E_2^c×…×E_k∈A
なので(∵E_1,E_1^c∈M_1,E_2,E_2^c∈M_2,…,E_k,E_k^c∈M_k)
(E_1^c×E_2^c×…×E_k^c)∪(E_1×E_2^c×…×E_k^c)∪(E_1^c×E_2×E_3^c…×E_k^c)∪
…∪(E_1^c×E_2^c×…×E_k)∈A (∵(i))
よってAは集合体。
したがってTheorem1.5が使えて,μ_0を拡張したσ(A)の測度μが存在する。
このμがμ_1×μ_2×…×μ_kに一致する事を言わねばならないのですよね。
うーん,どうすればこれは言えますでしょうか?
吉田京子
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GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735