工繊大の塚本と申します.

In article <1f843b71-854e-44ac-b38b-fd1385977a30@j1g2000yqi.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> プリント配布からの問題です。
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/problem14.jpg
> 
> 問意は
> 
> k=2の場合の積測度空間の拡張に就いてで
> k=2の時はA:={E;E=E_1×E_2,E_1∈M_1,E_2∈M_2}とするとAは集合体をなす。
> この時,Aから生成されるσ集合体σ(A)とX_1×X_2と
> (μ_1×μ_2)(E):=μ_1(E_1)μ_2(E_2)とを

違います. この A 自体は集合の集まりであるというだけで
集合体ではありません. A を矩形 E_1×E_2 の有限個の
 disjoint な和の全体とすれば, 集合体になります.
 14. の記述はそうなっています.

又, A の中の E_1×E_2 の形の元については
 (μ_1×μ_2)(E) = μ_1(E_1)μ_2(E_2) で定義し,
一般の E = ∪_{i=1}^N E_{i,1}×E_{i,2} (disjoint) ∈ A に
ついては, (μ_1×μ_2)(E) = Σ_{i=1}^N μ_1(E_{i,1})μ_2(E_{i,2})
で定義し, それが σ(A) に拡張されることが示されて,

> 組み合わせた
> (X_1×X_2,σ(A),μ_1×μ_2)を積測度空間と呼ぶ。

となります.

> この時,μ_1×μ_2はA上のpremeasure μ_0のσ(A)への拡張になっている。
> premeasure μ_0の定義は
> 「μ_0:A→[0,∞]で
>   μ_0(φ)=0,
>   A∋E_1,E_2,… が互い素にならば
>   μ_0(∪_{i=1}^∞ E_i)=Σ_{i=1}^∞ μ_0(E_j) (可算加法性)
> が成り立つ時,μ_0をA上のpremeasureと呼ぶ」
> です。

 A と μ_0(E) = Σ_{i=1}^N μ_1(E_{i,1})μ_2(E_{i,2}) について
これらが成立することは良いでしょうか.

> 同様にして k≧3の場合も積測度空間を作る事ができる。即ち,
> A:={E;E=E_1×E_2×…×E_k,E_1∈M_1,E_2∈M_2,…,E_k}とすると
> Aは集合体をなし,

ですから A はそれらの disjoint な有限和の全体です.

> X_1×X_2×…×X_kと
> (μ_1×μ_2×…×μ_k)(E):=μ_1(E_1)μ_2(E_2)…μ_k(E_k)とを

正確にはその拡張です.

> 組み合わせた
> (X_1×X_2×…×X_k,σ(A),μ_1×μ_2×…×μ_k)を積測度空間と呼ぶ。
> 
> そして,積測度μ_1×μ_2×…×μ_kは
> Aでのpremeasure μ_0の拡張
> (つまり,制限写像μ_1×μ_2×…×μ_k|_Aはμ_0に等しい)
> になっている事を
> Theorem1.5を使って確かめよ。

というか, Theorem 1.5 というのは (X, A, μ_0) の組が
 premeasure であれば, それの拡張となる (X, σ(A), μ)
という measure があることを主張するものです. ですから,
 (X, A, μ_0) が premeasure になることを確かめれば,
この問題はお仕舞です.

> [証]
> 制限写像μ_1×μ_2×…×μ_k|_A=:μ_0がpremeasureになっている事を示す。

今, μ_1×μ_2×…×μ_k という measure の存在を
問題にしているのですから, その制限という言い方には
意味がありません.

> (i) φ∈Aより,μ_0(φ)=μ_1×μ_2×…×μ_k|_A(φ)=(μ_1×μ_2×…×μ_k)(φ)
> (∵φ∈σ(A)(∵σ集合体の定義))
> =μ_1(φ)μ_2(φ)…μ_k(φ) (∵積測度の定義)
> =0・0・…・0 (∵測度の定義)
> =0.

こちらはいずれにせよ明らかなので,

> (ii) 可算加法性
> A∋E_1,E_2,…を互いに素とする。この時,∪_{i=1}^∞ E_i∈A …①(∵集合体の定義)
> これらはE_1=Π_{i=1}^k E_{1_i},E_2=Π_{i=1}^k E_{2_i},…
> (但し,E_{1_i}∈M_1,E_{2_i}∈M_2,…)
> という直積の形になっている。

 A の元自体はそういったものの disjoint な有限和ですから,
少し説明が必要ですが, ともあれ,

> 故に μ_0(∪_{i=1}^∞ E_i)=(μ_1×μ_2×…×μ_k)(∪_{i=1}^∞ E_i) (∵①)
> =(μ_1×μ_2×…×μ_k)(∪_{i=1}^∞ Π_{j=1}^k E_{i_j})
> =(μ_1×μ_2×…×μ_k)(Π_{j=1}^k ∪_{i=1}^∞ E_{i_j})

この変形は成立しません.

> それならTheorem1.5を使っていいんですよ。
> Aが集合体である事を示す。
> (i) 有限和集合について閉じている事を示す。
> ∀E_1×E_2×…×E_k,E'_1×E'_2×…×E'_k∈A(但し,E_1,E'_1∈M_1,E_2,E'_2∈M_2,
> …,E_k,E'_k∈M_k)を採ると,
> (E_1×E_2×…×E_k)∪(E'_1×E'_2×…×E'_k)
> =(E_1∪E'_1)×(E_2∪E'_2)×…×(E_k∪E'_k)

そんなことは成り立ちません.

> ∈A

何度も注意しますが, A が矩形だけの集まりなら,
 A は集合体ではありません.

もう一度 k = 2 での証明を読み直されることをお勧めします.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp