工繊大の塚本と申します.

In article <f65099ab-7dce-41ec-bf49-c5b0ac48d2f5@l28g2000vba.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> プリント配布からの問題です。
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/complex_function/cv_No5_20090712.jpg
> 
> (a) The function u(x,y)=arctan(y/x) is a harmonic function, i.e. ⊿u=0
> holds.
> Determine a function v(x,y), which fulfills the Cauchy-Riemann
> differential equation u_x=v_y and u_y=-v_x
> (the harmonic conjugate u(x,y)).
> (b) Determine f(z) as a function of x+iy and as a funciton of z.
> 
> という問題です。
> 
> harmonic functionの定義は
> 「xとyの実関数u(x,y)が領域Dでharmonic function.
> ⇔(def)
> uはx,yについて領域Dで2階偏微分可能で
> その導関数u_{xx}(x,y)とu_{yy}(x,y)はDで連続で
> Laplaceの方程式u_{xx}(x,y)+u_{yy}(x,y)=0が成立つ」
> 
> harmonic conjugateの定義は
> 「uとvを領域Dでのharmonic functionsとする。vがuにharmonic conjugate.
> ⇔(def)
> Cauchy-Riemann方程式(u_x=v_y,v_x=-u_y)を満たす」
> 
> ⊿u=0はどういう意味なのでしょうか?

 ⊿u = u_{xx} + u_{yy} ですから, 調和であるということです.

> (a)については
> θ=arctan(y/x)と置くと,x=y/tanθなので
> ∂x/∂θ=-y(tanθ)'/(tanθ)^2=-y/(cosθtanθ)^2

 x は θ と「何」の関数だと考えているのですか.
それを決めなければ, 偏微分は決まりません.
 y も θ と「何」かの関数でしょうから,
 x = y/(tan θ) を θ で辺々偏微分すれば,
 ∂x/∂θ = (∂y/∂θ)(cot θ) - y cosec^2 θ
となるので, 上の式は間違いです.
 
> よって,∂θ/∂x=1/(∂x/∂θ)

偏微分の場合, これは成立しません.

 x = x(u, v), y = y(u, v) という変数変換があるとき,
つまり, u = u(x, y), v = v(x, y) という逆変換も
考えられるとき,

  ∂(x, y)/∂(u, v)
  = [[∂x/∂u, ∂x/∂v],
     [∂y/∂u, ∂y/∂v]]

と

  ∂(u, v)/∂(x, y)
  = [[∂u/∂x, ∂u/∂y],
     [∂v/∂x, ∂v/∂y]]

という「関数行列」を考えれば,
 ∂(x, y)/∂(u, v) と ∂(u, v)/∂(x, y) は
互いに逆行列となる, というのが,
1変数の場合の逆関数の微分法に対応する,
2変数の場合の逆関数の偏微分法です.

ということで,

> =1/(-y/(cosθtanθ)^2)=-(cosθtanθ)^2/y
> =-[(tanθ)^2/((tanθ)^2+1]/y=-[(y/x)^2/((y/x)^2+1)]/y=-y/(x^2+y^2)

こういう計算は出来ませんが,

> だから
> u_x(x,y)=-y/(x^2+y^2)

結論はその通り. θ = arctan t とするとき,
 t = tan θ であるので, dt/dθ = sec^2 θ = 1 + tan^2 θ = 1 + t^2
より, dθ/dt = 1/(1 + t^2) であることは
良く知られていますから,

  u_x
  = ∂(arctan(y/x))/∂x
  = 1/(1 + (y/x)^2) × ∂(y/x)/∂x
  = 1/(1 + (y/x)^2) × (- y/x^2)
  = - y/(x^2 + y^2)

とするのが正しい計算の「書き方」です.

ま, y が定数であるとして, arctan(y/x) = θ が
 x の関数であるとしての1変数の微分法に帰着している
ので, 結果が正しいのは当然ですが.

> 同様にして

以下も計算の「書き方」は出鱈目ですが,

> だからu_y(x,y)=x/(x^2+y^2)

は正しい. 正しい「書き方」をして下さい.

又, u が harmonic であることを, 更に
 u_{xx} と u_{yy} を求めて,
 ⊿u = u_{xx} + u_{yy} = 0 となることを示して,
御確認下さい.

> v_x(x,y)=x/(x^2+y^2)(=u_y(x,y)), v_y(x,y)=y/(x^2+y^2)(=-u_x(x,y))

 v_x = - u_y, v_y = u_x が Cauchy-Riemann の関係式です.
ちゃんと書いてあるでしょう?

ということで, v は偏微分方程式

   v_x(x, y) = - x/(x^2 + y^2),
   v_y(x, y) = - y/(x^2 + y^2),

の解ですが,

> だからv(x,y)=1/(2(x^2+y^2))と求まります。

それは間違っています. もう一度考えていただくとして,
 
> (b)のf(z)は何の事か首を捻ってしまいます。
> 多分,誤植だと思いますが,どんな問題だと予想できますでしょうか?

いや, Cauchy-Riemann の関係式を満たす u(x, y), v(x, y)
というのは, 正則関数 f(z) = f(x + iy) の実部と虚部を
表しているものと, いつでも考えているわけです.

> f(z)=u(x,y)の事かとも思いましたが,
> u(x,y)はharmonic functionといってあるのだから,u(x,y)は実関数ですよね。
> なのでf(z)=u(x,y)は考えられないと思うのですが…。

だから, f(z) = f(x + iy) = u(x, y) + i v(x, y) は
どんな正則関数でしょうか, という問題です.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp