工繊大の塚本です.

In article <da34108c-a4d4-42e3-a890-e7972fa9d74f@w9g2000yqa.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <090412033908.M0304690@cs2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > v ∈ B, v ∈ Δ'_l から, Δ'_l ⊂ B^* が
> > 導かれるところは宜しいですか.
> 
> Figure2ではよく見るとBに含まれる頂点は3つありますよね。
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/triangle_l_k.jpg
> のように。
> よって9つの赤の小三角形が△_kに相当し,
> それを含む青の祖先三角形△'_l(1個)はB^*外にはみ出さないんすね。
> よってFigure2では△'_lは9つの△_kを含んでB^*に含まれる祖先三角形なのですね。

そういう特別な場合についての議論では証明になりません.

 B の中心を O とすると, d(O, v) < (1/2) diam B であり,
 Δ'_l の任意の点 P について d(v, P) ≦ 2^{-l} ≦ diam B
ですから, d(O, P) ≦ d(O, v) + d(v, P) < (3/2) diam B
となり, P ∈ B^* であることが分かります.

> > Δ'_l が v を中心として半径 2^{-l} の球に含まれ,

 diam Δ'_l ≦ 2^{-l} の方が分かりやすかったですか.

> これは何処に記述されてますか? 
> △'_lはk世代の小三角形ら△_kを含む小三角形としか記載されてませんが。。

 Δ'_l は l 世代の小三角形であるので, 上は成立します.

> > それは B^* に含まれるというわけです.
> 
> v∈△_k⊂△'_l⊂B^*からは△'_lがB^*に含まれるとは分かりますが。。

いや, そこを上のようにして示す必要があるわけです.

> すいません。「c'4^{-l} の面積の Δ'_l でことなるもの」
> ってどういう意味でしょうか?

 B に含まれる k 世代の頂点それぞれに対して, Δ'_l が
決まりますが, それらは相異なるとは限りません. B に
含まれる k 世代の頂点全ての数を上から評価するには
相異なる Δ'_l に含まれる k 世代の頂点全ての数の
合計を考えるわけです.

> > c = [c''/c'] 個
> 
> これはπ(3*2^{-l})^2÷√3/4・1/4^lの事ですよね。c''=9π,c'=√3/4。
> で上述の通りc=65個でいいんですかね。

数値には意味がありません. 上から評価されることだけが問題です.

> 単にB^*の最大面積を△'_lの面積で割った商が
> △'_lがB^*に入り得る個数になるという考えは
> あまりに短絡過ぎると思うのですが。。
> 複数の△'_lをバラしてB^*に整理して詰め込めば
> 65個はいるのかもしれませんが
> △'_lも所詮,祖先三角形の一部なのでバラす事はできないと思うのですが。。

こういう荒い評価でも良いのです.

> 必ず,このようなlが採れるという保障は何処から来るのでしょうか?
> もしかしたら∀l∈Nに対して,diamB_j<1/2^lとなるかもしれませんよね。
> その場合はdiamB_j=0でB_jは一点集合でそれらがSを覆っているかもしれませんよね。

 S は非可算集合なので, 全ての B_j が一点であったとすると,
それらが S を覆うことはありませんが, 確かに text は
 diam F_j = 0 となる F_j がある場合の話をしていない点で
不十分です.

しかし diam F_j = 0 なる(点) F_j 全体の α 次の
 Hausdorff measure は 0 ですから, 実はそれらは無視できます.

証明としては, 任意の正数 ε を固定する時,
 diam F_j = 0 なる F_j があれば,
 F_j ⊂ F'_j で diam F'_j > 0 だが十分に小さな集合 F'_j
(例えば F_j を中心とする球)で F_j を置き換えて,
(それ以外の F_j については F'_j = F_j として,)
 Σ_{j=1}^∞ (diam F'_j)^α ≦ Σ_{j=1}^∞ (diam F_j)^α + ε
となるようにします.

 diam F'_j > 0 ですから, diam B_j = 2 diam F'_j > 0 です.
 B_j らは「開球」としておきましょう.
 S ⊂ ∪_{j=1}^∞ B_j で, S が compact ですから,
 B_j らのうちの有限個で被覆できますが, それが
 B_j (1 ≦ j ≦ N) であるとします.

#  F_j の任意の点を取って, その点を中心とする
#  diam F_j を半径とする開球を取るのでは,
#  F_j ⊂ B_j とはならないかも知れませんね.
# そこは注意が足りませんでした.
# しかし, 少し工夫すれば,
#  diam B_j = 2 diam F_j で F_j ⊂ B_j となる開球を
# 取ることが出来ます. まあ, 後で見るように,
# Σ_{j=1}^∞ (diam F_j)^α が
# Σ_{j=1}^N (diam B_j)^α の定数倍より大きければ良いので,
# 例えば, diam B_j = 3 diam F_j と取ることに
# しておいた方が分かりやすいような気もします.

> これは分かります。2^{-l} ≦ diam B_jなるlが採れれば,
> Σ_{j=1}^N (diam B_j)^α=Σ_{j=1}^N 1/2^{l_j・α}=Σ_{l=1}^∞ N_l/2^{lα}
> (但し,N_l∈{0,1,…,N)
> という形に書け,Σ_{j=1}^N 1/2^{l_j・α}が有限和ですから
> Σ_{l=1}^∞ N_l/2^{lα}…①も有限和。

 2^{-k} ≦ min_{1≦j≦N} diam(B_j) < 2^{-k+1} となる
 k をとれば, 実際には Σ_{l=1}^k で良いわけです.

> 即ち,纏めるとSの有限個の開球被覆∀{B_1,B_2,…,B_N}に対して
> Σ_{j=1}^N (diamB_j)^α
> =Σ_{l=1}^∞ N_l 1/2^lα(∵①)
> =Σ_{l=1}^∞ 1/3^l (∵α=ln3/ln2) ≧c>0.
> 
> ここで疑問なのですがTheorem2.5では本来,
> 0<∀δ/2∈RでdiamF_j<δ/2なる任意のSの被覆{F_j}に対して,
> Σ_{j=1}^∞ (diamf_j)^α≧c>0…(*)  を示したかったのですよね。
> そこでF_jの2倍の直径の球被覆{B_j}を採って,
> Sがcompactである事から{B_j}から有限個の被覆を選べる。
> そして,0<∀δ∈RでdiamB_j<δなるSの被覆{B_1,B_2,…,B_N}で
> Σ_{j=1}^N(diamB_j)^α≧c>0とたどり着いた。
> ここから(*)がどうして言えるのでしょうか?

 F_j (F'_j) の番号も付け替えておくと,

  Σ_{j=1}^∞ (diam F_j)^α + ε
  ≧ Σ_{j=1}^∞ (diam F'_j)^α
  ≧ Σ_{j=1}^N (diam F'_j)^α
   = Σ_{j=1}^N ((1/2) diam B_j)^α
  = (1/2^α) Σ_{j=1}^N (diam B_j)^α
  ≧ (1/2^α) c > 0

です. (1/2^α) c を改めて c とすれば,

  Σ_{j=1}^∞ (diam F_j)^α + ε ≧ c > 0

です. ε は任意ですから,

  Σ_{j=1}^∞ (diam F_j)^α ≧ c > 0

です.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp