Re: Eを開球で覆って定義した外測度とLebesgue外測度とが等しくなる事の証明
工繊大の塚本と申します.
In article <dff4afbc-1451-42c6-a8f4-dfa67bf5106c@o11g2000yql.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/26.jpg
> Chapter1Section2では任意のE⊂R^dに対して,
> m_*(E):=inf{Σ_{j=1}^∞ |Q_j|;E⊂∪_{j=1}^∞ Q_i,Q_iは閉d次元立方体}
> (但し,|Q_j|はQ_jの体積を表す)と定義してあります。
> Vitali被覆の定義は「Ball(y,ε)を中心yで半径εの開球とする。
> {Ball(y,ε);y∈R^d,0<ε∈R}⊃BがVitali被覆
これは Vitali被覆 B とは, 開球全体のなす集合族の
部分集合族であるということを書き表しているわけですね.
> ⇔(def)
> 0<∀δ∈Rと∀x∈Eに対し,x∈bでm(b)<δなるb∈Bが存在する」
> です。
m(b) は開球 b のルベーグ測度ですね. まあ, 直径や半径で
考えておく方が分かりやすい場面もありますが.
> 題意は任意の集合E⊂R^dに対するLegesgue外測度m_*(E)の代替方法として
> m_*^B(E):=inf{Σ_{j=1}^∞ m(B_j);E⊂∪_{j=1}^∞ B_j,B_jはd次元開球}
> と定義するとm_*^B(E)=m_*(E)となる事を示せという事だと思います。
そうですね.
> inf{Σ_{j=1}^∞ m(B_j);E⊂∪_{j=1}^∞ B_j,B_jはd次元開球}
> =inf{Σ_{j=1}^∞ m_*(B_j);E⊂∪_{j=1}^∞ B_j,B_jはd次元開球}
> =inf{Σ_{j=1}^∞ inf{Σ_{i=1}^∞|Q_i|;B_j⊂∪_{i=1}^∞Q_i};
> E⊂∪_{j=1}^∞ B_j,B_jはd次元開球}
> (∵Lebesgue測度とLebesgue外測度の定義)だから結局,
> m_*^B(E):=inf{Σ_{j=1}^∞ inf{Σ_{i=1}^∞|Q_i|;B_j⊂∪_{i=1}^∞Q_i};
> E⊂∪_{j=1}^∞ B_j,B_jはd次元開球}
> と書けると思います。
>
> よって E⊂∪_{j=1}^∞ B_jの関係になっているのでm_*(E)≦m_*^B(E)となる
> (つまりm_*(E)はEを直接Q_iで被覆した|Q_i|の可算和の下限,
> m_*^B(E)はEをB_jで被覆してその各B_jをQ_iで被覆した|Q_i|の可算和の下限の
> 可算和の下限)
> 事は分かります。
わざわざ Lebesgue 外測度の cubes { Q_i } を用いた定義にまで
遡らなくても, 外測度の劣加法性から明らかですね. Q_i に
戻るなら, 各 B_j について取るのだから, Q_{i,j} とか
しないと記述が不完全です.
ともあれ, 問題は逆の不等式を示すところです. そして,
その示し方にも指定がされています. 任意の正数 ε と δ が
与えられた時, δ よりも直径が小さな B_j らで E ⊂ ∪_j B_j
であり, Σ_j m(B_j) < m_*(E) + ε となるものが取れることを
示して示せと. そして Hint として, 先ず E が可測集合の場合
から始めるようにという指示もあります.
> m_*(E)≧m_*^B(E)については
> Corollary3.10
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/Corollary3_10.jpg
> から
この Corollary 3.10 では E は有限測度の可測集合ですね.
Hint では Corollary 3.10 を使ってするべきことの指示も
詳しく与えられていますが, それには従わないのですね.
> 0<∀ε∈Rに対し,Σ_{j=1}^N m(B_j)≦m_*(Q_i)+ε/2^iなる
> Q_jの開球被覆{B_1,B_2,…,B_N}が採れるので
Q_i を E の外測度の定義で出て来る E を被覆する cubes と
するのでしょうか. その Q_i について, Corollary 3.10 を
使っただけでは Σ_{j=1}^N m(B_{i,j}) ≦ m_*(Q_i) + ε/2^i と
いう不等式を満たす Q_i の covering { B_{i,j} } は出て来ません.
ちゃんと Hint で与えられている手順を踏む必要があるでしょう.
> よって,Σ_{j=1}^∞Σ_{k=1}^N m(B_{j,k})
> ≦Σ_{i=1}^∞(m_*(Q_i)+ε/2^i)
B_{j,k} と書いては, Q_i との関係が分からないではないですか.
> =Σ_{i=1}^∞(|Q_i|+ε/2^i)(∵m_*の定義)
> =Σ_{i=1}^∞|Q_i|+Σ_{i=1}^∞|ε/2^i=Σ_{i=1}^∞|Q_i|+ε
> 即ち,0<∀ε∈Rに対しΣ_{j=1}^∞ m(B_j)≦Σ_{i=1}^∞|Q_i|+ε…①
> なる∪_{i=1}^∞ Q_jの開球被覆{B_j}が採れる。
> 更に,Σ_{i=1}^∞|Q_i|≦m_*(E)+ε…②
> なる閉d次元立方体列{Q_i}も採れるから(∵m_*(E)の定義)
こういう Q_i を最初に取っておかないと, 話のわけが分かりません.
> ①,②から0<∀ε∈Rに対しΣ_{j=1}^∞ m(B_j)≦m_*(E)+εなる
> Eの開球被覆{B_j}が採れる。
上の話の続きとしては Σ_{j=1}^∞ m(B_j) ≦ m_*(E) + 2ε と
なるでしょう.
> 従って,ε→0とすると
> inf{Σ_{j=1}^∞ m(B_j);E⊂∪_{j=1}^∞ B_j,B_jはd次元開球}≦m_*(E)
> 即ち, m_*(E)≧m_*^B(E)となったのですがこれで正しいでしょうか?
Hint はそういう話の筋で示すことを求めていますが,
Hint を鵜呑みにせずに, きちんと間を埋めないと,
証明したことにはなりません.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
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