Re: P_Aを最小多項式とし,P_A(t)=Π[i=1..r](t-α_i)^m_iでα_1,α_2,…,α_rが相異なるならP_(f(A))は次数1の因数で表される事を示せ
工繊大の塚本です.
In article <f5d29623-518f-48a1-8519-ad76e763a9fb@o40g2000prn.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> D+NはJordan形ですね。本で見つけました。
> 「A∈M(n;C)に対し,ある正則行列PがあってP^-1AP=B,BはJordan形となる」
> という定理も見つけました。
> Jordan形とJordan標準形の違いは無いようですね。
はい. 但し, 先にも書きましたように, この問題を解くには
必ずしも Jordan の標準形は必要ありません. 上三角行列へ
の変換の存在だけで十分です.
> In article <081212124905.M0214437@cs1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > この問題の前にはそういった「標準形」の存在が示されて
> > いる筈だと思います.
何も書いてありませんでしたか.
> > 問題を解くには
> > det(t I - f(A))
> > = det(t I - P^{-1} f(A) P)
>
> すいません。これがどうしても分かりませんでした。
P^{-1} (t I - f(A)) P = t I - P^{-1} f(A) P ですから,
det(t I - P^{-1} f(A) P) = det(P^{-1} (t I - f(A)) P)
= det(P^{-1}) det(t I - f(A)) det(P) = det(t I - f(A))
なのです. 一般に, 相似な行列の特性多項式は一致します.
> ここでのPはP^{-1} A PがJordan標準形にするための行列ですよね。
そう考えて結構です.
> det(tI-f(A))=det(tI-Σ[i=0..n]c_iA^i)
> =tdetI-Σ[i=0..n]c_idetA^i (∵detの多重線形性)
これは駄目です. det(A + B) と det(A) + det(B) とは一致しません.
> > = det(t I - f( P^{-1} A P))
>
> これはわかります。
> (P^-1AP)^n=P^-1A^nPが成り立つので
> f(P^-1AP)=P^-1f(A)Pとなりますね。
そうです.
> > が成立することを示して, f( P^{-1} A P)) が
> > どんな形であるか(やはり D + N のように書けます),
>
> f(P^{-1} A P))=P^-1f(A)P=Σ[i=0..n]c_iP^{-1}A^iPですよね。
> うーんこれからどうしてD+Nになるのでしょうか?
f(P^{-1} A P))
= Σ_{i=0}^n c_i (P^{-1} A P)^i
= Σ_{i=0}^n c_i (D + N)^i
ですが, 上三角行列 D + N のべき乗は上三角行列で,
その対角成分は D のべき乗になります. つまり,
対角成分が 0 の上三角行列 N_i があって,
= Σ_{i=0}^n c_i (D^i + N_i)
の形になります. 結局, f(P^{-1} A P) の対角成分には
f(α_i) が並ぶことになります.
> > そのとき det(t I - f(P^{-1} A P)) はどうなるか,
> > を計算することになります.
>
> 取り合えず
> f(x)=Σ[i=0..n]c_ix^iの時,Aの固有値をα_i,v_iをα_iの固有ベクトルとすると
> f(A)v_i=Σ[i=0..n](c_ix^iv_i)=c_0v_i+c_1xv_i+c_2x^2v_i+…+c_nx^nv_i
> =c_0v_i+c_1α_iv_i+c_2α_i^2v_i+…+c_nα_i^nv_i
> =f(α_i)v_i
>
> したがって,α_iはf(A)の固有値でもある。
ええと, f(α_i) は同じ固有ベクトル v_i を持つ f(A) の固有値
ですが, A は対角化可能であるとは限らないので, 固有値, 固有
ベクトルの情報だけからでは特性多項式の情報を復元できません.
> よって,P_f(A)(t)=Π[i=1..r](x-f(α_i))^m_i
> となったのですがこれでもよろしいでしょうか?
ですから, それでは不十分です. 重複度 m_i がそうなることを
それでは言えません.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735