工繊大の塚本と申します.

可微分多様体 M, N の間の可微分写像 φ: M → N について,
 M 上のベクトル場 X と N 上のベクトル場 X' の間に

  X'(φ(p)) = f_*(X(p))  (∀p ∈ M)

が成立するとき, φ-related であるといいます.

In article <4030DB03.60407@d5.dion.ne.jp>
柳楽盛男 <nagira@d5.dion.ne.jp> writes:
> リー群Gの左不変なベクトル場X全体L(G)がリ-環になるところに
> ついて教えてください。
> 
> [ f_*X, f_* Y ] = f_* [X,Y] ...(1)
> 
> が成立すれば X, Y ∈L(G)に対して[X, Y]∈L(G)が成立することは容易なので
> (1)を確認したいのですがうまくできません。

一般に,  X, Y が X', Y' と φ-related であるとき,
 [X, Y] は [X', Y'] と φ-related になります.

> まず[X, Y]fでのXfという表記ですが
> θ∈D(C^r(M)):C^r(M) -> Rの被作用C^r(a)関数を{}で括ることにして

これは ?? ですが,

> XをM上のベクトル場、f∈C^r(M)として
> (Xf) (x) = X(x) {f}
> により定義されるXf:M -> Rの関数でよろしいでしょうか?

これは良いようですね.

> fが逆を持つ時

そもそも f が G 上の可微分同相写像とかでなければ, f_* X とは
書けない訳で, 一般論としては φ-related ということで考えておく
のが普通です.

> f_* X (x) {g} = X (f^(-1)(x)) {g○f} = X○f^(-1) {g○f}(x)
> なので

何を "X○f^(-1)" と書くことにしたのでしょうか. 素直に書くと,

  ((f_* X)g)(x) = (X(f^* g))(f^{-1}(x))

ということですね. (g○f のことを f^* g と書きました.)

> f_* X {g} = X○f^(-1) {g○f}...(2)

素直に書くと

  (f_* X)g = (f^{-1})^* (X(f^* g)).

> よってgに(1)を作用させると左辺は
> [ f_*X, f_* Y ]{g}
> =  f_*X{ f_* Y {g}}- f_*Y{ f_* X {g}}
> =  f_*X{ Y○f^(-1) {g○f}}- f_*Y{  X○f^(-1) {g○f}}
> = X○f^(-1){ Y○f^(-1)○f {g○f}}-Y○f^(-1){  X○f^(-1)○f {g○f}}
> = X○f^(-1){ Y{g○f}}-Y○f^(-1){ X{g○f}}

  [f_* X, f_* Y]g
  = (f_* X)((f_* Y)g) - (f_* Y)((f_* X)g)
  = (f_* X)((f^{-1})^* (Y(f^* g))) - (f_* Y)((f^{-1})^* (X(f^* g)))
  = (f^{-1})^* (X(f^* ((f^{-1})^* (Y(f^* g)))))
    - (f^{-1})^* (Y(f^* ((f^{-1})^* (X(f^* g)))))
  = (f^{-1})^* (X(Y(f^* g))) - (f^{-1})^* (Y(X(f^* g))).

ここで, f^{-1}○f = identity より, f^*((f^{-1})^* h) = h, を
用いています.

> 一方右辺は
>  f_* [X,Y] {g} =  [X,Y]○f^(-1) {g○f}

  (f_* [X, Y])g = (f^{-1})^* ([X, Y](f^* g)).

> でうまくいかないように思います。

素直に書くようにすれば問題ありません.

# 一般の φ-related な vector fields についての証明は演習問題.

> (2)でのX○f^(-1) という表記が変だと思うので

そう思います.
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塚本千秋@応用数学.高分子学科.繊維学部.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@ipc.kit.ac.jp