安井@東大です。

> "J_Saita3 premium" <J_Saita3@hotmail.com> wrote in message
> news:3f94affe_2@news.premium-news.net...
>> あったりまえだ。
>> 専門化がよく議論してくれて、
>> それを、国民の前に広く十分に説明する義務がある。
>> その尽くされた噛み砕かれた議論をとおしてバカ国民でも理解して判断できる。
>> それが議院内閣制の本質。

In <bn44lj$rjnl9$1@ID-205905.news.uni-berlin.de>, 
"おいらはMac" <whiteboard21@mac.com> wrote:
> ところがこれが違うんですよ、J_Saita3 premiumさん。議院内閣制つーのは単に、内
> 閣総理大臣と大臣の過半数は国会議員の中から選ばれなければなら無いとするだけ。
> そうしている限りは十分議院内閣制を守っているのです。で、そこから内閣総理大臣
> が組閣する内閣は国会の信任のもとにある、と言う事が次に出てくるだけ。

"おいらはMac"さんの理解は、主客転倒しているように思われます。
議院内閣制の本旨は、行政府の存立が立法府の信任に依存しているという
点にあります。すなわち、議会が不信任を表明した場合(たとえその後の
解散総選挙という経緯を経た後であっても)、内閣が最終的には総辞職し
なければならないシステムのことを指すのです。
 # それに対して、行政府の存立が立法府の信任に法的には依存していな
 # いものが大統領制です。
その点からすると、「内閣総理大臣と大臣の過半数は国会議員の中から選
ばれなければなら無い」という要素は、むしろ枝葉末節に属す事柄です。
実際、英国のヒューム首相は下院議員でないのに首相になりましたし(下
院議員になったのはその後の補欠選挙でのことです)、州首相から連邦首
相に転身した西独のキージンガー首相は、連邦議会に議席を持たないまま
その職を終えています。オランダに至っては、大臣と議員の兼職が禁止さ
れてすらいます。しかし、いずれの国でも、内閣の存立が議会の信任(よ
り厳密に言うなら、不信任の不表明)に依存している点では変わりありま
せん。議院内閣制で重要なことは、議会が内閣をクビにできるという点で
あり、議会のメンバーが閣僚を兼任することではないのです。
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*  Freiheit  | 安井宏樹(YASUI Hiroki), jyasui@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp     *
*  Recht     | 東京大学大学院法学政治学研究科・比較法政国際センター      *
*  Einigkeit | (現代ドイツ政治,ヨーロッパ政治史)                        *