Re: パロマとかけまして秋田県警と説く。その心は・・・
"yam" <h_yam@h8.dion.ne.jp> wrote in message
news:U3Vvg.162$t96.151@news1.dion.ne.jp...
> いずれしにても、パロマの件も秋田の件も、別に珍しい話じゃないし、
今度は不正改造ではなく、劣化による事故も問題にされはじめているが、はんだ割れ
による故障が原因らしいが、欠陥商品扱いだ。
1980年代当時の電気製品の品質を考えると、はんだ割れなんていう故障は珍しい話で
はなかった。
ましてや、ガス機器といった過酷な条件下ではなおさらである。さらに瞬間湯沸かし
器のように、点火や消火が繰り返されて、中期の熱サイクルが繰り返されるものが、
はんだにとっては一番きつい。
ごく短期間の温度変化による変形に対して半田は弾性変形で元に戻り、長期的な変形
は流体的な性質で形状変化に追従する。
一方、一日に数回といった繰り返しの変形に対しては、弾性応力が加わり続けること
で塑性変形に至り、この状態が続けばやがてゆっくりその形状で安定する(内部応力
が緩和されて元の状態と同程度のストレスになる)が、安定する前にまた変形が加わ
ることでストレスがたまり亀裂や断裂を生じる。
はんだで実験してもいいが、手元になければアルミ板やアルミ線で実験してみるとい
い。何度も何度も繰り返し曲げていると、そのうち表面が白濁してきて、やがて亀裂
が出来て裂けてしまう。もっとゆっくり曲げると、変形しながらその状態でストレス
が緩和されていく。一方、早く曲げる分には、塑性変形を起こさないレベルでは何度
曲げても自然に元に戻り、それを超えるとわずかな繰り返し回数で破断に至る。
中途半端にゆっくりな変形を繰り返すことで、半田は元に戻らないダメージをゆっく
りと受け続け、やがて破損する。そういう知見が得られたのは、比較的最近のこと
だ。
今では、応力が加わりにくくなるように部品形状や半田量が厳密にコントロールされ
ているが、当時はいまから見れば、素人の私から見てもイモ半としかいいようがない
半田付けが横行しており、時代を考えれば仕方がないといしか言いようがない。
このイモ半は、比較的最近の、たとえば、車の制御関係基板や家電関係では良く見ら
れる。
たとえば、メルセデスとかW210の時代になっても、半田付けの不良でトラブルを起こ
していたし、家電品もリフロー流しているSMTの通常プロセスでは問題がないが、
手直しやアキシャル部品やワイヤリングの引き出しといった手付け半田の品質ははる
かに劣る。
また特殊部品など手載部品の搭載品質は、標準部品に比べて1桁以上悪い(とわい
え、もともとppmのオーダーではあるが)事は、生産技術の現場にいる人間でなくて
も知っている(わけないか)。
いずれにしても、当時の工業製品の品質レベルはそんなものであって、それを理解し
ないまま、欠陥商品のように責めるのは、あまりに非現実的な議論でしかない。
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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