「カネの問題ではない。国が責任を認め、被害者を一律に救済することだ」という薬害C型肝炎訴訟原告団の政治判断要求に応える回答はついに出なかった。これで大阪高裁の和解勧告は拒否されることになった。
 薬害被害者の戦いはこれからも続けられることになるが、誠にお気の毒である。
 原告が求めた「政治決断」を拒否した理由は、法務省の「裁判所の責任判断を踏み越えることはできない」と厚労省の「薬はすべて副作用を伴うものだが、これを認めたら副作用の伴う薬は開発されなくなる」との二つの判断であるという。
 いずれも納得しかねる。前者は確定したものではない、裁判所によって国の責任を認めた期間はまちまちであり、大阪高裁はその最短期間をえらんだだけだから、それが裁判所の最終決定だとは言えないからである。
 また、後者は、重大な副作用を伴う薬はいまでも治験でカットされているし、重大とは言えない場合は、インフォ−ムド・コンセントで患者の承認を得た上で使用すればよいことなのだ。
 これらは、原告の求める「政治決断」を出さなかった納得できる理由にはならない。 

 原告の福田さんが言うように「官僚に丸めこまれた政治家」の判断なのだ。
 村上新八