コスト減と価格低下をねらった偽装設計のホテルやマンションは、建築確認検査では発覚せず、強度が不足であっても震度5以上の地震が来なければ倒壊することはなく、地震が来て倒壊しても、そのときのどさくさでばれる可能性は低い、ということになっるであろうから、ヒュ−ザ−や姉歯だけでなく、他でも行なわれていたとしてもおかしくはないのだ。
 このような心配が現実のものとなった。姉歯を使った熊本県の木村建設施工の非姉歯設計建物について強度計算した結果、建築基準強度を大幅に下回る建造物があることが分かったのだ。
 これを設計した事務所は「サムシング」という会社などだが、サムシング社は設計士30人を擁し、これを4,5のチ−ムに編成して、年に数百件の設計をしていたという。そのすべてが強度偽装ではないとしても、かなりの建物の強度が偽装されていた可能性はあるのだ。
 これは由々しき問題である。「民でできるものは民で」神話でなんでも規制緩和することが、それがどういうリスクが生じさせるのかを予想もせずにやった結果がこうなのだ。
 コンクリ−トと鉄骨と合板の建物の寿命はせいぜい40年、寿命がきたらどんどん壊して立て替えてしまう耐久消耗品だ。ヨ−ロッパの石造りの何百年の寿命を持つ建物と違って、設計者や建築者として後世まで残そうとする誇りや名誉は持ち得ないのであろうか。
 それにしても、現建築物の総点検はもとより、設計審査の制度もシステムも総見直しが必要だ。
 村上新八