衆議院を解散できる権限は何処から出てくるか Re: 真の争点(4)
"ichiro,s" <aomimi16@poplar.ocn.ne.jp> wrote in message news:dejqjr$qsg$1@news-est.ocn.ad.jp...
> いずれにせよ、
> 憲法第7条第3号に規定する天皇の国事行為に対するコイズミ内閣の
> 助言&承認行為が憲法を逸脱したものでなかったかどうか、も問題となる。
> つまり、
> 内閣の衆議院解散権は、衆議院が内閣の不信任決議案を可決したときとする
> 憲法第69条の規定以外には見あたらないから、此度のコイズミ内閣の天皇に対する
> 衆議院解散の助言・承認は、憲法上の根拠がない、という点が問われよう。
> もしもコイズミ内閣が権限を著しく逸脱し、国家に対して重大な経済的損害を
> 与えたとすれば、当然、閣僚全員が連帯して、一切の責任を負わなければならない。
実質的な衆議院の解散権は憲法の何処から出てくるか、については、実は争いが
あった。
69条説、衆議院の解散は憲法第69条の場合にのみ可能で、衆議院
で、内閣の不信任議決か信任否決がなくては解散し得ない。
7条を根拠として内閣は自由に解散できるという説は、次の
点を見失っている。7条が天皇の「国事」を決めた規定であり、
形式的儀礼的行為を列挙してあるに過ぎない。第4条に、天
皇は国政に関する権能を持たない旨はっきり規定されている。
仮に、理論上、かかる形式的儀礼的解散行為の実質を為す
ところの、実質的且つ、一般的解散権が想定されるにせよ、
それを内閣に、しかも自由に行使できるものとして憲法が付
与したと解釈するには憲法上の規定が不足している。
(尾崎行雄など)
7条説、憲法第7条のみを根拠として何時でも内閣は衆議院の解散を
要求する事ができる。つまり、この憲法第7条は天皇の「国事
行為」という視点で規定はしてあるが、しかし、それは、69条
で 実質的な解散権を行使されたことを受けて形式的儀礼的な
「解散」を天皇が行う、とする趣旨ではなく、もともと、内閣は、
69条の場合以外にも、民主政治の運営上、新たな国民の総
意を問う必要ありと客観的に判断され得る十分な理由がある
場合には解散を要求できることをも同時に述べているのであ
って、ただ、広くそのような場合に天皇が形式的儀礼的行為の
ひとつとして「解散」する、という趣旨を規定したものである。
(宮沢俊良など)
なお、当時の朝日新聞が伝えたGHQ民生局の考えは、上記の69条説であったよう
であります。わたくしはこの学説の争いのどちらに軍配を上げるべきかの価値判断
が未だに分からないゆえに未だに決めかねているだけでなく、興味も沸かないとい
う段階に有る。興味が有るのは、GHQが69条説と同様の考えでいたということ。つ
まり、
日本国の内閣=政府にはさほど自由な権限など与えない考え
でこの憲法が起草されたという憲法案起草のポリシーを知るこ
とができる、
という一点にのみ興味を持つ。なお、参考までに我裁判所の対応を紹介しておきまし
ょう。
「現実に行われた衆議院の解散が、その依存する憲法の条章
について適用を誤ったが故に、法律上無効であるかどうか、
これを行うにつき憲法上必要とせられる内閣の助言と承認に
瑕疵があったが故に無効であるかどうかのごときことは裁判
所の審査に服しないものと解すべきである。、、、直接国家統
治の基本に関する高度の政治性のある国家行為のごときは
たとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の
判断が法律上可能である場合であっても、かかる国家行為は
裁判所の審査権の外にあり、その判断は主権者たる国民に
対して政治的責任を負うところの政府、国会等の政治部門の
判断に委され、最終的には国民の政治判断に委ねられている
ものと解すべきである。 」
以上。
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太宰 真@URAWA
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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