公明自民党が抱える最大の難問は、コイズミという男が、
公約を守るのかどうか、公約を守れるのかどうか、
公約というものについて、どのように考えるのか、
ということである。かつて、「公約の一つや二つ……」と
の発言があったから尚更である。

公明自民党が最重要争点にしている郵政民営化法案は、
仮に、公明自民党が総選挙に勝ったとしても、
衆院では通っても参院では通る見込みがないから、
公約を実現できる道筋がないことは既にはっきりしている。
なのにコイズミは、衆院で過半数をとれば、それだけで、この公約を
実現するに至ると街頭で豪語絶叫している。オカシイ。
はじめから公約を守るまたは守れる見込みのない公明自民党を選ぶことは、
選挙権の冒涜でなくて何であろう。

仮に公明自民党が総選挙に勝って公約を守ることを至上命令とし、
従って参院を通すために、関係法案に所要の修正を加えるならば、
それはそれで大きな責任問題となる。
そのような修正が可能であるのなら、何故に総選挙に持ち込む前に、
それをしなかったのか、無理に解散して750億円もの選挙費用をかける
こともなかったのではないのか、ということになるわけだ。

いずれにせよ、
憲法第7条第3号に規定する天皇の国事行為に対するコイズミ内閣の
助言&承認行為が憲法を逸脱したものでなかったかどうか、も問題となる。
つまり、
内閣の衆議院解散権は、衆議院が内閣の不信任決議案を可決したときとする
憲法第69条の規定以外には見あたらないから、此度のコイズミ内閣の天皇に対する
衆議院解散の助言・承認は、憲法上の根拠がない、という点が問われよう。
もしもコイズミ内閣が権限を著しく逸脱し、国家に対して重大な経済的損害を
与えたとすれば、当然、閣僚全員が連帯して、一切の責任を負わなければならない。
即ち、
750億円の選挙費用に相当する部分についても、コイズミ内閣の閣僚は連帯して、
損害賠償の責に任じられなければならない、ということになる。
コイズミが勝利すれば、こうしたことも有耶無耶となろう。
今次総選挙においては、国が受けた莫大な損害を回復できるかどうか、
も、だいじな争点である。