加藤 義啓です。
 
30 #
29 #視聴はテレビ神奈川放映のものです。
28 #以下、アニメに留まらず
27 #原作ゲームのネタバレも含むので
26 #ゲームをクリアしていない方のうち、
25 #プレイするつもりのある方(笑)は
24 #ご注意願います。
23 #
22 #尚、当人は第5話放映の時点で
21 #原作PC版『3』まで解析完了、
20 #『4』コンプリート、解析中(70%程度)
19 #
18 #『ビリプラ』及び『ファンディスク』は
17 #持っていないので『も待て』の内容には
16 #詳しくありません。
15 #
14 #
13 #
12 #略称凡例
11 #『1』…『FIRST LIMIT』
10 #『2』…『TARGET†NIGHTS』
09 #『3』…『−RAIN−』
08 #『4』…『+White Flower+』
07 #『ビリプラ』…『Be-reve Primary』
06 #『も待て』…『もう、待てないって!』
05 #
04 
03 .TITLE 10 【憎悪】
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00 
 
 【第10話 憎悪】
 
 階段を昇り、事件現場へと向かう空と直。
身体の不調を堪える空に、何があっても夜に
頼らない事を約束させる直。
 …う〜ん、夜が転落の原因なのか、それとも
直がそう考えているのか……。
 
 次第に蘇るその時の記憶。空に迫る芥。そして
そこから逃れるようにガラスを割り━━!!
 …矢張り、アニメ版では芥がトリガーとなる
役回りのようですね。
 
 何かを思い出せるかもしれないから昔の事を
聞かせてくれと頼む空。直は「羽柴にとっても
辛い話になるよ」と言うが、それでも喰い下がら
ない空に話し始める。━━それはまだ幼い頃の
こと、深夜、祭に呼び出されて施設(?)を抜け出す
空と直。そして祭は言う。「引っ越すんだ…。
飛行機に乗って、遠くに行くんだって……」
 …空と直はもともと親無しという設定に
変更されているのでしょうか。まぁ、流石に
原作の“あれ”は描写するのはキツいというのは
理解出来ますが…。祭の留学モティーフも、
幼少時の引越しというものに置きかえられている
感じです。
 
 そんなある夜。白衣の“奴ら”と芥によって
監獄のような部屋に連れ込まれる空。「俺が
何したって言うんだよ!」「学園でも何度も
脱走したそうじゃないか。父さんが言ってたよ、
お前達がいなくなった処で、誰も心配なんて
しないって」
 …幼少時の芥、コミック以外では初登場で
しょうか。それよりもこの芥のセリフはかなり
重要な事に触れています。
 
----- Original Message ----- 
From: "加藤 義啓" <katoocom@eos.dricas.com>
Newsgroups: fj.rec.animation
Sent: Monday, January 31, 2005 2:24 AM
Subject: 好きなものは好きだからしょうがない!! (第3話:2005/1/22放送分)
> #アニメでは青の人物設定って、どうなっているんでしょうね?
> #青も廉も風太も学園初等部という事になっているようですし、
> #研究所のダークな部分や七海達を貶める陰謀といった部分が
> #(少なくとも今の時点では)描かれていないので、どのように
> #展開していくのか気になります。
> #初等部全体が“施設”に相当する設定だったりしたら
> #イヤだなぁ……。(汗)
 
#芥はここで「学園」という言葉を使っていますが、
#つまり当時から空(と直)は「学園」と呼ばれる
#施設にいた事になっています。もしかしたら本当に
#学園全体そのものが研究所施設の一環という設定
#なのかもしれません。この辺りは残り2話で明かに
#されるものでしょう。
 
 その部屋で再会する直だったが、彼は
“奴ら”に傷を負わされていた。自意識を
失っている直を叩き目を醒まさせると、
空はこう言った。「俺は臆病なんかじゃねぇ、
だから、あいつらにやり返してやる…!
いいか、憶えとけ、俺の名前は夜だ」━━
その話を聞き、空は、自らの対実験保身人格として
「夜」が誕生し、その導き手として直には
「らん」なる人格が生まれた事を知る。
 …漸く「夜」の意味を知るに到りました。
ともあれ、性的虐待が漠然たる児童虐待へと
リアレンジされたのは無難な選択だと思います。
 
     ★ ☆ ★ ☆ ★
 
 寮で待つ祭。そこに学が倒れ込んでくる。
七海には連絡が取れず、真一朗を呼ぶ祭。
目を醒まし、真一朗の姿に驚く学だったが
「水都先生は空の後見人なんだ」
 …アニメ版では隠していないんですか。
 
 学は、芥と直の会話を話す。一方、現場では
直の回想が続いていた。━━らんという
人格と、「夜」という空の支えで研究所でも
耐えていけた直だったが、そんなある夜、
真一朗と七海が現れ、2人の救出に臨む。
 …やや男っぽさのイメージのある七海です。
作画の乱れと観る向きもあるでしょうが、
一人称が「僕」だった頃の七海と思いたい
ですね。
 
 「いいか、空、直。今から俺と駆けっこだ。
途中で諦めたら二度とここから出られないかも
しれない。死ぬ気で走れるか? …よし…、
……走れ!」一斉に走り出す4人。しかし
直が倒れる。「ナオ!」「くーちゃん…!」
鳴り響くサイレン、追い掛けてくる白衣の者達。
「ナオ…! …待って、ナオが!」「ダメだ、
もう間に合わない!」「…くーちゃん……」
 …動きがつくと、こういう様子だったんだなぁ…と
思わされます。原作とほぼ同じ構図で再現して
いる辺りもグッときます。
 
 ━━1人取り残された直は、それからも
空が助けにきてくれる事を信じていたと
話す。そんな忌まわしい出来事を忘れ、
直の事さえ憶えていなかった自分に
やるせなさを感じる空。「俺はずっと
らんを通して夜を見ていた。そして夜の
向うに羽柴を感じていた」と呟く直に
遂に赦しは満たされ、2人は結ばれる。
 …原作のらぶりゃな感じと違って、
アニメ版はアニメ版でしんみり系で来ました。
アニメの方が重くなっている場面って、
もしかしてこれが初めてではないでしょうか。
 
     ★ ☆ ★ ☆ ★
 
 翌朝、「さよなら、くーちゃん…」と1人
別れを呟く直。そしてその直後、すれ違いで
駆け寄る真一朗達。寮部屋で目を醒ます空。
「藤守は…?」「あれから寮にも戻って
来なかった。学校も無断欠席してる。何か
あったの? ナオくんの事だから、ひょっこり
帰ってくると思うけどね」「何でいなく
なるんだよ、俺、間違ってたのか?」
「空がそれでいいと思ったんでしょ?
だったらそれでいいんだよ」
 …こんな処に「友情End」のモティーフを
持ってきました。カップリングの無い祭に
於いて、「祭End」の別名を持つ
「友情End」は祭ファンにとっては
「やってくれた!」という感じかもしれませんね。
 
     ★ ☆ ★ ☆ ★
 
 空の部屋を出た祭は学と出会う。学は芥の
話していた「発動」に付いて祭に説明する。
一方、真一朗は七海を問い詰めていた。
「直がいなくなった。永瀬 芥も消えた…!
昨日、どこに泊まった! 何故、電話に
出なかった!?」「真一朗にあんな事を
言われて1人になりたかった。電話に
出なかったのは話したくなかった、それだけ
だよ…」と答え、「…マンションは?
藤守くんが頼れるのは真一朗しかいないでしょ」
と続ける。その言葉に真一朗は走り出す。
 …話のテンションがどんどん上がって
きます。
 
 その入れ違いで祭と学が七海の処に現れ、
真実を正される。以下、セリフを全文引用。
「人格操作というのを知っていますか?
強い恐怖心を植え付ける事で、人間の魂を
思うままに操り、記憶さえも消してしまう…」
「何かの本で読んだ事があります。人格操作を
施した人間を戦争等で敵国に送り込む。訓練
された記憶は失っている為、怪しまれる
事も無い。…けど、何かのきっかけで
スイッチが入ると記憶が呼び戻され、
一転して恐ろしい殺人兵器と化す…!」
「私は相沢という科学者の下でその実験に
関わっていました…。真一朗とて、自分が
求めているものが間違いだと気付きました。
私は相沢の下を離れ、新しい生活を始めました。
私と真一朗の傍には、家族みたいに、いつも
本城くん達がいて……でも、そんな幸せは
長くは続かなかった。本城くんが引越した後、
羽柴くんと藤守くんが消息を絶ったんです。
相沢は私へのあてつけから、実験の為に
2人を…! 真一朗と私は相沢の手から
2人を連れ戻そうとしました。でも結果的には
藤守くんを置き去りにする事になって
しまった。最初から償う事なんて無理だった
んです。何もかも私のせいで…私が出会わな
ければ、好きにならなければ、皆巻き込む
ことも無かったのに…!」
 …セリフとシンクロしつつ空が動き出します。
視点が空でしかなかった原作ゲームでは出来ない
演出です。
 
 「七海先生は相沢の研究がそんな
恐ろしいものとは知らなかったんだ。でも、
気付いた時には科学者としての探求心に
抗えなくて後戻りできなくなっていた。
永瀬部長もきっと…」と弁護する学。
「だとしたら、永瀬 芥が言っていた
計画の発動と言うのは何らかの形で空の
人格を操作するって事…?」その祭の
推理に何かに気付く七海。
 …アニメ版の学の役回り、すごくいいですね。
原作ゲームと違って、いなければならない、
もはや狂言回しに近い存在になっています。
賛否はあるかもしれませんが、『も待て』も
含めた全シリーズを通しての中心人物なので
そういう意味ではこういう役回りは非常に
学に合っているかもしれません。
 
     ★ ☆ ★ ☆ ★
 
 マンションに戻る真一朗。そこには果たして
直がいた。「皆、心配したんだぞ」「だったら
何故もっと早く迎えに来てくれなかったの…?
もう遅いよ…」寂しく笑う直。そしてマンションの
扉に迫る空。遂に悟り、絶叫をあげる七海。「これは
罰なんだ!!」祭も声を上げる。「空は何をしようと
しているんだ!?」そして扉は開かれて━━
 …待て! 待て々々! 本当に“あれ”を
やるんですか!?
 
 次回予告。以下、全文引用。「封印した
自分の過去を手繰ろうとする空。それは
ナオくんへの気持ちに素直になろうと決めた
から。でもナオくんは…。そんな不安が
的中して信じられない事件が起きてしまうんだ。
憎しみを絶ち切るにはどうしたらいいんだろう。
絶望の中から空は答えを見付け出す事が
出来るのかなあ…」
 …敢えて深読みの果てに茶々を入れると
するならば、この次回予告は抽象的で
肝腎の部分がぼやかしてあると言えます。
原作を知る人ならば、マンションという
舞台に、直,真一朗、その背後に空と、
恐らくは一足遅れで入ってくるであろう
七海。役者は揃った、ここで次に繰り広げられる
光景といえば“あれ”しかありません。
しかし、残り2話で、内、1話分をそれに
使ってしまうと、『4』の話をラスト1話で
済まさなければならないペースで、それは
ちょっと考えられません。
 
 
 総合評価。
 作画の乱れすら気にならない暗いテンション。
話としては良い評価を出したいです。流れが
駆け足とも思えますが、今回は比較的よく纏めて
いる方です。濡れ場はもう一味欲しい気も
しますが、学校の廊下というシチュエーションを
以ってまぁ、良し。(笑) 原作では相沢の
立ち回りが芥にリアレンジされた為に、原作を
知る者には、知る故にラストが読み辛くなっている
という点も評価すべきでしょうか。
 
 
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I 加藤 義啓  katoocom@eos.dricas.com I
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