畑です。

この話題で続くのかどうかわかりませんが、fj.comp.lang.fortran とは完全に
離れた話題となってしまったので、一応、fj.sys.misc の方にクロスポストし
て、Followup-To: はそちらにしておきますね。

加藤@ODNさん:
> PC/AT 互換機プラットフォームの最大の利点は,拡張性よりもそのモジュラ
> リティにあると思います.CPU,メモリーモジュール,マザーボード,BIOS, 
> OS 等,PC を構成する種々の(含ソフト)モジュールを規格さえ守って作れ
> ばいいので,台湾・韓国・中国など,まだシステム全体を作るだけの技術力
> は無い(が人件費は安い)地域の会社でも,可能なところから参入できるこ
> とが低価格化に直結しているわけで.

モジュラリティによる拡張性の実現ということですね。
ただ、最近の Macintosh を見る限り、メモリ、S-ATA HDD や PCI-X 等、ケース
や M/B 以外のアセンブリパーツは PC/AT と同じものを使っているので、PC/AT
市場での低価格化は相当部分恩恵を利用できる立場にあるように思えます。

さすがに、自作 PC の利点のようなものは Mac に求めるべくもありませんが、
メーカ製 PC を購入するのであれば、PC/AT も Mac もあまり差異がない感じが
します。以前は、Mac に関してはソフトウェア資産的な意味での独自性による孤
立のリスクがありましたが、一応、UNIX 系になったことで、大きな安心感があ
ります。一方、ふと気が付いてみれば、Microsoft だけが非 UNIX という状況。
もちろん、ハードは PC/AT そのままで Linux を選ぶという手もあるわけです
が、ともかく、Mac を選ぶことによるソフトウェア的な孤立のリスクがなくなっ
たという点は、大きい情勢変化だと思います。

> ゲームに関しては,まだリアルタイム3Dゲームに限れば,飽和点にはほど
> 遠いようですが,こちらは本来ゲーム専用機に任せた方がいいんでしょう.
> PC には「汎用」という縛りがありますから,どうしても不利です.

確かにそう(リアルタイム 3D ゲームに関して)なんですけど、一般のゲーム
ユーザにとって、3D 性能はもうあまり重要な要因ではなくなりつつあると思い
ます。一部のゲームユーザの 3D 性能に求める欲望は飽くなきものがあるかもし
れませんが、DOOM 3 の話題もそんなに盛り上がらなかったところを見ても、3D
性能の進化がゲーム市場に与えるインパクトが、非常に薄くなりつつあると思い
ます。コンシューマゲーム機に対する不利さは当然ながら、PC 同士の比較、例
えば、PC/AT 同士、PC/AT と Mac という比較でも、従来 Mac に対してゲーム機
としての点で持っていた PC/AT の優位性(要するに速い 3D アクセラレータ
カードの新製品がどんどん登場して拡張できる)があまり意味がないものとなり
つつあると思います。

> また,アーキテクチャというのは,創造物ですから,美しさを感じるのは分
> かりますが,CPU は美術品や工芸品ではありませんから,それを評価の主な
> 尺度に加えるののは誤りでしょう(直交性や拡張性という視点なら OK).あ
> くまでユーザーから見た最終的な評価ポイントをベースに評価するべきもの
> です.

単なる見た目だけで言っているつもりはないのですが、かといって、自分もちょ
と何冊かの本(※下記)等で読みかじった程度の素人なので、Intel 系 CPU はセ
グメントみたいな概念があって嫌だなとか、レジスタの種別が細かく分かれてて
いてわかりづらいなとか、そういう感じです。これからアーキテクチャを前提と
してアセンブリ言語をゼロから勉強したりする人にとっては、やはり PowerPC
の方がまだすっきりしていてわかりやすい気がします。

西久保靖彦『よくわかる CPU の基本と仕組み』(秀和システム、2004-09-13)
吉野智興『GCC による X680x0 ゲームプログラミング』(SB、1993-11-29)
柿園昭俊『7 FAN BOOKS 3 マシン語入門』(技術評論社、1983-12-30)

>># ただ、G5 PowerPC も、Pentium のようにベクタ演算機能を肥大化させる方向
>># 性にあって、同じ轍を踏みつつあるそうですが……。
> 
> それがユーザーの要求であれば是非も無く.#お客様は神様です :-)

まあ、僕はプロでもないのに、下手にプログラムができたりするので、単なるコ
ンシューマ(消費者)ユーザとも違って、自分で自分が使うプログラムを書いた
りするのにフィットするものとしての PC を要求するせいで、PC/AT が嫌だった
ら、(お金に余裕さえあれば、ですが…… ^^;)さっさと Mac なりに乗り換えち
まえばいい、と過激な発想に走りがちなのですが、冷静な姿勢としては、加藤さ
んのような穏当な意見に従った方が、勇み足で空振りして失敗(僕はそうなる傾
向があります)しないための戒めになるのかもしれません。

>>発熱、電力消費。プロセッサのマッチョ化による副作用をいつか精算しなけれ
>>ば、静音性や省スペースなどの要求との間で破綻しかねないんじゃないかと思い
>>ます。
> 
> 「プロセッサのマッチョ化による副作用」による破綻はもうしてます.
> Intel でさえチップサイズが大きくなるとレジスタやキャッシュへのアクセ
> ス時間がどうにもならない事を認めた位で...マルチコア化は必須な流れ
> のようです.

メーカサイドの技術開発レベルでの破綻だけではなく、市場のユーザ(や、市場
のユーザのニーズに密接な PC メーカ)の要求との間での破綻も“もしかしたら”
と思います。

> 車のエンジンに例えれば,単気筒でひたすら大排気量/高回転に突き進んで
> きたのがやっと一段落した,ってところでしょうか.

ともかく、もうそろそろ小型で静かな PC が欲しいのに、未だに(少なくともデ
スクトップ PC 向け CPU に関して)処理能力の高速化を第一義にしているのは
やめて欲しいところです。

ハマーみたいな軍用ジープで、きれいにアスファルト舗装された都心の普通道路
をぶりぶり走って、昼飯の買い出しに行くようなのは、どうかと……。ホンダの
フィットで十分なんです。場合によってはスーパーカブとか、ヤマハの電動自転
車でもいいんです。任天堂の GC や Microsoft の次世代 X-Box が PowerPC を
採用するのは、そういう気持ちの表れではないでしょうか。

PC の“アメ車”や“ハーレー”に乗ったり乗りたがったりするマッチョ趣味は、も
うそろそろ「下品」と言える時代が来て欲しいと思っています。

-- 
Masanori HATA