Junya Suzuki wrote:
> イラクで誘拐された日本人と同じようなケース、つまりボラ
> ンティアを意図してイラクに入国して誘拐されたオーストラ
> リア人がいたようです。

この人は、イラク戦争開始時にも「人間の盾」に参加したりしてい
る、要するに「政治的な」人間のひとりですね。こういう過激な反
戦活動家はオーストラリアにはけっこういます。外相のダウナーは
それを受けて「政治的な理由でイラクにいた」と不快感を表明して
いるわけです。こういうのがイラクにいて人質になって政府が救出
に動かなければならないというのは、一種のサボタージュで、りっ
ぱな反政府・反戦活動です。それでもやっぱり、政府が国民を救出
するのは国民に対する義務です。

> 豪州政府関係者の反応は日本とあまり変わらない気がするん
> ですけどね。
> 政府は「むこうみず」という形容詞で行動を批判しています
> けどね。

反政府活動だから、政府側の人間としては当たり前でしょう。けれ
どもそれを「反豪分子」だなどと批判する人間は政府にも民間にも
見あたりません。政府を国家と同一視したり、さらにそれを自分と
同一視して迷惑がるなんてことは、「欧米」的な個人主義の国とし
てはありえないことです。

> 日本の一部メディアは、欧米では政府がボランティアの活動
> で危険地帯に入っていった個人を批判することはあり得ない
> という話をばらまいていましたがこの話は本当か?

その「話」は(本当にばらまいたんなら)ウソですね。政府がああ
いった連中を批判するのは当然です。しかし、他の国民はそんなこ
とで大してフィーバーしません。当の人質に対する電話攻撃や無言
電話なんてのがあったという話も聞きませんし。

> 確かに「自己責任」などというキーワードは何処にもないけ
> どね、

あたりまえですね。日本でいう「連帯責任」を読み替えたような
「自己責任」がオーストラリアで出てくるはずはありません。それ
以前に最悪自分の死を意味する「自己責任」は本人が引き受けるの
があたりまえと受け止められています。問題になっているのは、自
分だけじゃなくて他人も危険に曝したことです。

オーストラリアではこんなのばかりじゃなく、アフガニスタンでア
ルカイダに訓練を受け、タリバンとして戦って米軍に捕えられ、
キューバのグヮンタナモ・ベイ収容所に収容されている「国民」も
います。政府はアメリカに対して豪州で裁判を受けさせるように要
請していますが、アメリカは聞く耳もちません。この人の父親はた
まにマスコミに出て、政府がたよりにならないなら、自分だけでも
アメリカに交渉して息子を取り返してみせるみたいなことを言いま
すが、政府も国民も特にその親子に冷たいということはないです
ね。だからといって、積極的に支援するということもありません
が。要するに個人のことだからでしょう。特にその息子がタリバン
として戦った件について、国民の間に批判がましい声は聞かれません。

萩原@グリフィス大学