こんばんは, 宮本です。

私も, 河野さん や そるしすさん と同じく, ひとつの光子が生成するものと
考えています。

原子と光との相互作用を考える場合に, 最も基本的で簡単な考え方と思われる
「時間に依存する摂動」の項を, 量子力学の教科書でご確認下さい。ここでは
始状態 i から終状態 f への遷移を考えるのですが, i と f のエネルギーの
大小に依存しません。すなわち光の吸収による励起と, 放出による発光が等価
なわけです。
するともし発光が二光子なら, 吸収も二光子でなければなりません。すなわち
原子と光子二つの合計三粒子が同時に出会わなければ, 光の吸収による励起が
起こらないことになります。これは非常に稀なことだと考えられるのに, 現実
にはきちんと光の吸収が観測されている。というのが, 河野さんの述べている
ことだと思われます。

対称性に関する話では, たとえ二つの光子が反対方向にとびだすとしても, 
その方向が対称軸になってしまい, 球対称からずれることに関しては同じこと
です。逆にたとえひとつの光子が生成するのであっても, その方向を予言する
ことはできないのですから, 確率的には等方的なはずですし, 実際に多数回
観測すればそういう結果になると予想されます。

運動量の保存に関しては, 平均値としては上記の対称性の議論で示されるよう
に, 保存されることはすぐにわかります。
では個々の事象についてはどうなるでしょうか ? これにはまず, 原子程度の
大きさの空間に束縛された電子の運動量の不確定性を考えてみれば良いのでは
ないでしょうか。ところが, 原子に束縛された電子の持つ運動量(の期待値)は, 
ゼロであることがすぐにわかりますが, これじゃあ議論ができなくて困るな。
では ... 原子に束縛された電子の位置に 1 オングストローム程度の不確定さ
があるとすると, 運動量の不確定さは, 
  \delta p_1 = (h/2) / \delta x = 6.6e-34 / (2 * 1e-10) = 3.3e-24 N s
ですね。光子の運動量として近赤外光の 1000 nm を考えると, 
  p_2 = h / \lambda = 6.6e-34 / (1000e-9) = 6.6e-28 N s
になります。
すなわち, 光を放出することの反動としての運動量を電子が受け取ったとして
も, それはもともとの運動量の不確定さに対して四桁程度小さくて, 全く意味
がありませんね。

# ヨカッタヨカッタ
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Ryo MIYAMOTO; rmiya@cc.hirosaki-u.ac.jp;