In article <3988876news.pl@insigna.ie.u-ryukyu.ac.jp>, Shinji KONO wrote:
>> >責任ってのをAccountablilityみたいな英単語に置き換えるだけの
>>  皮しか見ていないし、辞書を引けという指摘に対して辞書も引
>> いていないようですね。主体的に、「責任とは何か」ということ
>> を考えたことが無いのでしょう。
>
>やっぱりわからないな。もう少し自分の言葉で説明してくれない?
>
>僕は、責任を英語に直すならresponsibilityの方を使う。その方が
>何をするか明解だものね。僕はそういう意味で使ってます。

 通常、アカウンタビリティを日本語で表現する場合、説明責任と
表記されます。
 「列挙しきれないくらいあります」と述べた通り、粒度を無視し
て並べれば、何も調べなくても立証責任・民事責任・刑事責任・
賠償責任・戦争責任・製造物責任・法的責任・道義的責任・自己
責任・連帯責任、くらい挙げられます。逆引きの辞書でも引けば、
更に山ほど出てくるでしょう。

 そして、responsibility では、通常これらの熟語の「責任」の
部分にしか対応しないので、responsibility と言っただけではど
のような概念の責任であるかが曖昧です。

 これに対してアカウンタビリティとは、自己の行動に対して筋の
通った説明をする義務のことであり、さらに筋が通らなければ通る
ように改めるという意味を伴うこともあります。そして、後者の意
味も伴った意味において、私はアカウンタビリティという言葉を使
いました。

>> # 自分でも「責任」という単語を使っていてこれでは、何も言っ
>> # ていないに等しいということに気付きましょう。
>
>自分で読み変えだけして、そのあと説明できないような責任ですか?

 上述のように、読み替えではありません。

>>  ここでは、fj の話がインターネット全体の話になってますね。
>> これは明らかなスコープのすり替えです。
>>  この行為を詭弁と呼びますし、詭弁によっては何も言えません。
>
>fj はインターネットの一部だし、初期の頃は大きな部分占めて
>ました。スコープ的にも一致しています。バケツリレーってのが
>インターネットの基本メカニズムであることも、同じです。
>
>詭弁っていうからには、なんか、そこからまずい結論を出している
>んだよね? どのあたりがまずい結論なのかな。

 まず第一に、スコープは一致していません。
 一致していないことは、インターネット=fjではなことと、
「初期の頃は大きな部分を占めていた」のは NetNews であり
 fj は NetNews のごく一部であるという点を指摘すれば十分で
しょう。
 そして、伝送方式に同じものを使っていることと、インフラ提
供者へ敬意を払うこととの因果関係が少なくとも私には不明です。

 第二に、「からには」が繋がりません。
 なぜなら、詭弁が問題になるのは、論証のプロセスが誤りであ
ることから、その結論の正しさが保証されない点にあります。

 結論がマグレ当たりで正しかろうが、順当に間違っていようが、
そんなことは関係の無い話です。だから、ここで出てくる明示さ
れていない河野氏の結論である「インターネットを支える人たち
に敬意を払うべし」については、私は何も言っていません。

# むしろ、その結論には私も同意しますし、正しい結論と言えま
# す。更に言えば、最初からインターネットなんて持ち出さない
# で「fj のインフラ」と言っていれば正しい論証になっていま
# した。上記に示した明示されていない結論までは。

 ちなみに、「インターネットを支える人たちに敬意を払うべし」
が正しくても、それがイコール「敬意を払う一つの義務が実名投
稿」には繋がりません。

 敬意は払うべきでしょうが、実名投稿はその手段の一つでであっ
て必須項目ではありません。ここで、先立って指摘した「根拠の
一つ」のケースと同じ論法上の誤りを犯しています。

>もっとも、結論が欲
>しいんじゃなくて、「議論したいだけ」なんでよね。君は... 

 ということにしたいのですね。

 もっとも、議論をするという行為の中には結論を出すということ
も含まれます。従って、仮に万が一「議論をしたいだけ」であった
としても、「結論が欲しい」は成立します。

 他方、議論抜きで結論だけ欲しがるサボリ者はいがちです。注意
すべきは、むしろそちらの方でしょう。「ということにしたい」ば
かり言う人や呪術師は、そういう類です。

 河野氏は、この辺を理解できていないのではないのですか?
 発言が議論を構成しない理由は、どうも議論というものの何たる
かを深く考えていないのではないかと思います。違いますか?

>>  「fj では実名投稿が慣習である」という結論については、私
>> も同意します。しかし、この前後で飛躍がありますね。要するに
>> 証拠の使い方が正しくありません。
>
>結論が一緒ならそこにいたる道筋はいろいろあって良いと思うよ。

 その通りです。「いたる」のであれば、いろいろあって問題あり
ません。むしろ、複数のルートで同じ点に至れるのであれば、それ
は結論の正しさをより強く保証するものです。

 が、論証が誤っているということは、「いたる」が成立していな
いということです。

 そういう主張を、マグレ当たりと呼びます。
 そんなものに立脚して、そんなものを前提として、更なる主張を
するのは、極めて軽率な行動です。

>>  私のスタンスを全く理解できていないようですから、今まで何度も
>> 書いてきた話ですが、再度整理して書きましょう。
>> 
>>  ・投稿者は、責任を持った発言をすべきである
>>  ・従って、責任を持った発言ができる人物なら、実名だろうが匿名
>>   だろうが問題無い
>>  ・しかし、統計的に見れば匿名投稿者は無責任になるという現実が
>>   あるので、fj の原則としては実名投稿を掲げるべき
>
>統計的? 主観できでなくて? その統計ってのを見せてよ... といっ
>て見せられるのが責任を持った発言。見せられないのが責任のない
>発言ですね。

 実際の統計は、まだ取っていません。
 従って、確かに「統計的」という言葉は適切ではありませんでし
た。

 「統計的」という語は <bhr3l7$ide$4@bgsv5648.tk.mesh.ad.jp>
で私としては初出で、そのまま使っていましたが、「主観で捉えた
傾向として」というくらいの表現が適切ですね。

# このように、きちんと非は非として改める行為が、アカウンタビ
# リティです。

>でも、それが君のスタンスなら実名投稿を維持する何かをした
>方がいいと思うな。なし崩し的になっているのは確かだろ?

 なし崩し的になっているのは確かですね。
 それに、「何かをした方がいい」というのも確かです。

 で、実際にしています。
 最近も「実名原則は崩れてはいない」ということを佐々木氏との
議論の中で示しましたし、「原則実名であるべき」という主張をし
ています。

 「実名原則は崩れている」と事実に反するプロパガンダを行う呪
術師がいると、じっさいひっかかる人がいるものです。で、呪術師
自体は確信犯であったり頭が悪かったりして言論ではプロパガンダ
を引っ込めることはありません。
 が、ひっかった人に、きちんと「それは嘘だ」と示せるロジック
を作ることは、なし崩しを防ぐ一つの手立てです。

>もし、現状の匿名投稿を容認するなら、上のスタンスって、単なる
>御題目。単に実名投稿している奴にそれを続けさせて、自分は、笑
>ってみているって感じですね。

 「するなら」の前提が誤りですから、以後は意味を失いますね。

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頼光 mailto:raikou@mug.biglobe.ne.jp
関心・専門分野:
 宗教学、歴史学、社会学、情報工学