吉見です。

SASAKI Masatowrote in <20030804000830cal@nn.iij4u.or.jp> dated Mon, 04 Aug 2003 00:08:30 +0900
on Re: Googleのキャッシュ機能は著作権侵害?
>>(3) 私的見解
>>
>>  個人的には、Googleには大変お世話になっているので、大きな声では
>>  言えないのですが、法律的にドライに考えると、やはり前述の(2)3.の
>>  理由によりNGかなぁと、私としては結論を出しました。
>
>に賛成。
>ただし本案ちょっとやっかいなのは
>「じゃあ具体的な権利侵害って何?」
>となると、行為の外形として複製権侵害とは言えるんだけど
>それで侵害された利益はとなると……う〜んと悩んでしまうのだ。
>なもんで損害賠償請求だとすれば「賠償額いくら?」ってえのが
>シビアな問題として提示されるだろうし
>犯罪だとしても「可罰的違法性あるのん?」ってえのが悩ましい。

たとえば、ウェブコンテンツ制作者がある時点t0 までは A0 の内容、ある時
点 t1 までは A1の内容…となる時系列の変更を行う表現をとろうとする場合
に、過去のある時点でのウェブコンテンツを固定化してしまうことは制作者側
の意図に反した公開になってしまいます。

この時間間隔を十分小さくすると、期間限定のストリーム配信サービスのコン
テンツを保存することと等価になります。

あるいは、もっとありそうなのが、最初に出した内容の表現に問題があった場
合。秘密の情報を出してしまったとか、個人攻撃になってしまうとか、で気づ
いて修正したのにその間に偶然ロボットが読みにきちゃって制作者の知らない
ところで古い問題のある内容のまま公開されちゃうってのはありそうです。

もちろん最初に問題のある内容を公表してしまった制作者にも多少の落ち度は
あるのでしょう。

しかし、落ち度のない場合もあって、公開した時点では問題のない情報であっ
たのに、その後問題のある情報に変化してしまった場合。

例えば、ウェブページに連絡先を載せておいたら社会的に評判になってしま
い、無関係な人からたくさん電話がかかってくるのでウェブから消したとして
もキャッシュを見れば連絡先がわかってしまいます。

また、当初は個人名を公表していた未成年の事件の関係者が容疑者になって匿
名にしても、ニュース記事のキャッシュでは個人名が公表されたままになりま
す。

複製には制作者の修正がすみやかに反映されれば問題はないですが、現在のロ
ボットでは数日のディレイがあるためにその間に取り返しのつかない損害が発
生したりする可能性はあります。


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Takashi Yoshimi mailto:tak-yoshimi@rio.odn.ne.jp