皆さん比較的好意的な評価のようであり、他でもあまり悪い話も聞かなかったの
で、それなりに期待して見たのですが、相当がっかりした。
時代考証がデタラメなのはアメリカ映画ということを考慮し、割り引いて考える
としても、あまり良くできているとは思えない。
そもそも、明治政府に軍事教官として招かれたトム・クルーズ君が、勝元(渡辺
謙)との戦いに敗れ捕虜となるや、突然勝元側に乗り換えるというのが、奇妙。
一体何があったのか、何に感動してそうなったのか、さっぱり分からない。勝元
側の人たちの武士的な気概に感動したからのようにも見えるが、だからと言って
雇われ外国人としての自分の役割を忘れ、勝元側に荷担するに至るにしては根拠
が薄弱で、少々職業倫理に欠けるのではないだろうか。とらわれの身となったか
らには、脱走を心がけるべきであり、それをしようとしないのは、何ともあいま
いな人物に見えてしまう。
はじめ勝元側に捕まり、命を助けられるのは、勝元が外国人に興味を持ったから
のように見受けられ、それはそれで説明がつくが、その勝元側が政府軍に敗れ、
トム・クルーズ君がまた敗れた側になったとき、政府側からみれば裏切り外国人
であるにもかかわらず、何のお咎めもなく堂々と天皇の前に現れるなどというの
はまったくストーリーとしての合理性がない。
いくらフィクションであっても、少なくともストーリーとして観客を納得させる
合理性がなければ、面白くもならない。
自分の見た映画を批判するのは好きではないし、できればほめたいのだが、どう
もそういうわけにも行かないところがつらい。