東京の上野で国立ロシア美術館の美術展をやっている。
19世紀、農奴解放が不徹底のなかで、物乞いする貧しい孤児の絵もある。

世界は今も昔も変わらないのか。

ソ連を経て大粛清で人民を殺し、強制収容所にKGBに悲惨は左も右も枚挙に遑
(イトマ)が無いいとまがない。
そのロシアの直近の悲劇はロシアルーブルの破産だった。

倉庫では物が腐って動かなかった。
外貨に換えていたものの中には、富豪として逆に成功したものもいる。
貧乏になったものもいる。豪邸不動産を叩き売って食いつないだ没落者。

日本の未来どころか、日本の明日は、ロシア美術展の孤児の物乞いになるだろ
う。
日本国憲法を抱きながら、金権政治に国民が翻弄されて没落していく絵画展
が、もし日本が地獄の「羅生門」を生き延びれば開催される日も来るのか。
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印象に残ったのは、難破船の絵である。
すべての人を大きな伝馬船で逃がしたあとだろう、傾きかけた帆船でただひと
り、荒れ狂う海にもまれながら自分の小さな伝馬船をおろす者が描かれてい
る。

日本という帆船の沈没を前に、先頭を切って逃げていく巨大資本に政治家に官
僚に。
この国に必要なのは、あの難破船の最後の1人の精神ではないのか。