In article <cahq54$dj4$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>, Yamasaki.T wrote:
>>  北朝鮮の軍や核に対しては、政治家ならばリスクとして対応を考え
>> るのが仕事なのだから対応するでしょうし、難民に対してだって同じ
>> ことです。
>
>いえ、ですから「北朝鮮の軍や核」にリスクなどないでしょ、と言いたい
>わけです。まあ、0とはいいませんが、政治的外交的になにか対応す
>る優先度は非常に低いと考えます。

 どのような根拠を元に、「ないでしょ」と言いたくなるのでしょう?

# 一応私の立場を述べておくと、私も軍や核については大して高いと
# は考えていません。

>>  どちらかという二者択一の構造で捉えるのは誤りで、両方考えるの
>> が政治家の仕事です。
>
>「二者択一の構造で捉える」?「政治家の仕事」?
>#唐突に関係のない話が始まったように感じるのですが・・・
>#まだまだ修行が足りない私に、解説を。

 Shiro 氏の「軍や核」という指摘に対し、関連抜きに「難民」とい
う項目だけを挙げたということは、「軍や核」か「難民」かという二
者択一の問題だと捉えていることを意味します。
 この解釈からの回避として「もっとも」という修飾語が使えそうに
見えるという要素はありますが、「関連抜き」という点がある以上、
それは通りません。予め封じておきます。

# 正しくは、項目が長大に列挙されるリストになります。

>> >申し上げたいのは、「軍隊の整備や核保有が交渉力のUPにつながる」という
>> >発想から脱却すべき、ということです。
>>
>>  そんなべきなどありません。一般論として正しいし、現実問題とし
>> て他に対案も出ていませんしね。
>
>軍や核は、あくまで政府の道具にすぎません。したがって、政府(官僚や
>政治家)にとっては「一般論として正しい」と思いますよ。しかし、一般
>民衆にとってはどうでしょうか。なにか役に立った例がありますか?

 アメリカやヨーロッパが先進国としての地位を維持している一因が、
非先進国に対する軍事的優越です。その結果、一般民衆であっても非
先進国の富裕層並かそれ以上の生活レベルを維持しています。
 他方で、小泉首相が金正日にあれほどナメた態度を取られるのは、
軍事的圧力を日本が持たないからです。その結果、拉致された数も知
れない一般民衆は帰国できずにおり、その数倍に及ぶ家族は悲しみに
沈んでいるでしょう。

 この辺は常識レベルですが、軍事力に拠らず国際間の交渉を有利に
進めることができた事例を、どれほどあげられるのですか?
 少なくとも、その逆の事例は汗牛充棟です。

>>  現状の日本の軍事力は世界平均を遥かに下回るものです
>
>#にわかには信じがたいご意見ですが、どのような基準による比較
>#でしょうか?出生率とか・・・いや、どうでもいいです。

 既に書きました。

>> 平均にたどり着くまで軍隊を整備しなければ、力を背景にした交渉相
>> 手には舐められっぱなしになるリスクは極めて高い。
>
>ここらへんが私の理解と想像の及ばんところですが、力を背景に日本
>政府を舐めまくっている国といえば、米国ですよね。で、基準は理解で
>きませんが「平均」にたどり着いたらどう変わるんでしょうか。また、
>たとえば北朝鮮との拉致問題についてであればどうでしょうか。

 米国は同盟国ですから、舐めまくっていたとしても現実問題として
焦眉の急という話ではありません。しかも、米国が舐めまくっている
のは日本だけではありません。米軍の力が世界レベルを遥かに超えて
高いため、平均値が、米国の実力よりもはるかに下だからです。
 従って、日本が平均値にたどり着いた所で日米関係は本質的には変
わりません。

 他方で北朝鮮については、最低でも小泉首相の二度目の訪朝のとき
の如き醜態は無かったでしょうし、少なくとも、多額の援助などする
必要は無くなったでしょうね。
 日本同様に拉致被害者が多くいる韓国も、身代金のような金の支払
いはしていませんし、ジェンキンス氏の母国の米国もまた同様です。

# 韓国の闇送金については、別問題。

 で、日本を舐めまくった態度を取っている北朝鮮に対し、軍事力以
外の何でそれを打破できると考えているのでしょう?

>> # この状態では、侵略されて対抗することなどまず不可能。現状の自
>> # 衛隊は、文字通り張子の虎だということは、知っておきましょう。
>
>大金投じてきた自衛隊が何の役にも立っていないことをよくご存知の
>様です。まさに無駄金です。やめて欲しい。
>#いや、災害派遣では役に立ってると思いますよ。念のため。

 無駄金となっているのは、憲法や法制度の不備故です。
 そちらをなんとかして、無駄金となっている現状を生かす方向に
変えることが大切なのです。

>>  実際、今回の小泉再訪朝は、評価する面もあるにしろ今回だけの結
>> 果だけみればトータルでは惨憺たるものです。それが、力を背景に持
>> たないことのもたらした結果であることは、弁えるべきですね。これ
>> こそ、「べき」の話です。
>
>なにをどのように評価すると「トータルでは惨憺たるもの」になるのですか?
>力を背景に持ってたらどうなったとお考えですか?

 これに答えるのは簡単なことですから、それに乗じて一つ条件を出
しましょう。

 山崎氏は今回の小泉再訪朝をトータルでどう評価しているのか、
それを述べてください。
 これに答えを得たら、私が何をどう評価したのかを解説します(*)。
 その後、山崎氏がなにをどのように評価したのか、解説をして下
さい。

 これが約束できるなら、私から(*)のプロセスに入ります。

>>  自分でも「させなきゃ」と言っているくらいですから、「失敗に終
>> わる」がなんら必然でも何でも無いことは分かっているようですね。
>
>住民の生命・財産・自由を抑圧するような「侵略」が「失敗」に終わること
>は必然だと思っていますよ。
>#何が「侵略」で「成功」で「失敗」かにもよりますが・・・
>#侵略者はそれを「解放」と呼ぶものですし。

 用語の定義を不自然に捻じ曲げることで主張の意味を変えたいとい
うのでないのなら、「侵略」「成功」「失敗」を辞書に沿った形で明
示的に定義して下さい。
 その上で、チベットやモンゴルが中国によって民族浄化されて地上
から消滅するケースが、「失敗」であることを示してください。チベッ
トやモンゴルは未来のケースだから従えないという場合は、例えばス
ペインに征服され消滅したアステカへの侵略のケースに対し、「失敗」
だったという立証でも構いません。

 これができれば「必然」という主張に、検討の余地が生じます。

 ちなみに、「必然」であるはずのものを「させなきゃ」と人為を働
かせねばならないものとして扱っているのは、矛盾でなければ何なの
でしょう?

>> にもかかわらず、そんな代物を「べき」扱いするのは、たんなるイデ
>> オロギーのプロパガンダに過ぎません。止めましょう。
>
>soc.politicsへの投稿は、たとえ事実の羅列であっても投稿者の
>イデオロギーの表明となるものです。
>ここでのイデオロギーの表明をプロパガンダと呼ぶことは
>無意味なことです。

 私は「事実の羅列」について言及などしていません。
 また、イデオロギーの表明はプロパガンダではありません。そして、
そもそも私はそんなことは言っていません。
 誰も言ってもいないことについて「無意味」と言ったところで、そ
れこそ無意味です。

 無根拠に特定のイデオロギーを真であるかのように発言することは、
プロパガンダであり、私が言っているのはこの点です。

 なお、根拠のある主張であればイデオロギーであろうがなかろうが
価値があります。が、プロパガンダに過ぎないレベルの発言では、イ
デオロギーであろうがなかろうが議論が成立しないから「議論」の場
である fj.soc.politics では無意味となるということです。

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頼光 mailto:raikou.j@jcom.home.ne.jp