Sun, 29 May 2005 23:01:49 +0900,
in the message, <20050529230149cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>……使用貸借なら通ったかもしれないけどね〜。

「かも」ではなくて特約がない限り通ります。
借主の死亡は明文(599条)で使用貸借の終了原因です。
終了した法律関係が相続などにより承継されるはずはありません
(個人的な信頼関係に基づいてただで貸している貸主が相続という偶然の事情
 で個人的信頼関係のない者が借主になるという不利益を受ける合理性はあり
 ません。)。

無論、「使用貸借は終了したが貸主の土地明渡請求は権利の濫用に当り云々」
ということが起ることは否定しません。
だけど、仮に信義則などにより目的物の引渡しが請求できない事例だとして
も、不当利得などの請求は認められる。

# 逆に言えば、使用貸借において借主の死亡を終了原因としているからこそ、
 賃貸借において同様の規定がない(準用規定とか終了規定でわざわざ排除し
 ているから。)のは終了原因ではないつまり相続の対象となるという解釈が
 できる。

>  賃貸借だと判例に反しています。
>  (ただ問題になった例はたいてい同居の相続人だろうから
>   そこを確認した上で
>   「本例は同居していない」ことを理由に裁判をやる価値が
>   ないとまでは言わないけど。)

多分、賃借権の相続自体は否定できないでしょう。

と言うのは、
大前提として借主の死亡は賃貸借の終了原因ではない。
同居しているかどうかで同じ財産権の相続適格が変わるというのは理由がな
い。
言い換えれば特定財産が相続により承継されるか否かは当該財産の客観的性質
により決まると考えるべきである。
内縁配偶者の居住権を認める判例が、「同居していない相続人による賃借権の
相続を認める」ことを前提としているのも、同居しているかどうかが賃借権の
相続に影響しないことを示唆している。
から。

賃借権の相続適格を死亡借主に同居人がいる場合といない場合とで区別する理
由はないでしょう
(使用貸借で終了することを前提に信義則を使うならともかく。)。
それをするくらいなら初めから家団説にでもよって賃借権の相続を否定すれば
いい。


まあ、同居していない理由が持ち家があることだったりすれば、更新拒絶の正
当事由の判断で有利な材料にはなるとは思いますが、そういう人は大概、解除
に応じるでしょうな。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp