Wed, 16 Mar 2005 22:43:03 +0900,
in the message, <20050316224303cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>最高裁判所の裁判官については憲法79条6項で
>その他の裁判官については憲法80条2項で
>「定期に相当額の報酬を受ける」とありますが
>ここでいう「相当額」が「裁判官の地位にふさわしい生活をなしうる額の意」
>(宮沢・芦部「全訂日本国憲法」)とされているのは
>直接は生活保障を含めた身分保障の意味です。
>それゆえこの規定は他の身分保障の制度と並列的に配置されています。

ちと補足しておくと、79条6項後段、80条2項後段で「この報酬は、在任中、こ
れを減額することができない」となっていて、この「減額できない」というこ
との方が身分保障の制度としては重要
(無論生活保障がないと生活にゆとりのある者しか裁判官になれないという
 ことになるので、そのような社会的地位のある者に限ること自体が裁判官と
 なる人間が偏る虞を生じるわけで、間接的に独立性にも疑いが生じかねない
 とは言えますが。
 これは、国会議員でも同じで、議員の歳費を受ける権利は権利であると同時
 に「義務」である。
 歳費を受取らないことで選ばれるようなことになれば、金持ちばかりが議員
 になるからね。)。

仮令生活保障に差障りがないとしても「特定裁判官に対する報酬の減額という
形で間接的に圧力をかける」ことができるのは「裁判官の職権の独立」を脅す
ことにつながると。

で、国の公務員の給与に対する政策として「他の公務員と同様にすべての裁判
官を一律に相当範囲で減額する」のは果たして違憲なのかという議論はあった
はず。
伊藤先生は違憲としていますけど。
新規任命時からでないと減額した報酬規定は適用できないと
(理由は不明。)。
あたしは必ずしも違憲だとは思わないけど、「明確な線引きをする方がいい」
という合目的的な発想から「例外なく一切減額はできない」と考えるのはあり
だとは思う。

で、人権擁護委員は「非常勤」で生業は別途あるはずだから無報酬でいいとか
その程度の話のような気がします
(実際の活動に対しては費用弁償はしてもらえるのだが、日当は費用弁償に当
 るのか?)。
保護司も無報酬じゃなかったっけ?

もっとも、人権委員の方は非常勤でも無給ではないですけど、何しろ日本に3
人しかいないんだから非常勤でもそれなりに活動しなければならないはず
で、無給と言うのは酷であろう。
まして常勤の委員と委員長は、ただ働きというわけにも行くまい。

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SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp