At Thu, 10 Jul 2003 00:47:16 +0900,
in the message, <20030710004716cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>> 実は以前からこんな例を考えていたのです。私が住んでいる静岡市では近年
>>野生動物による農作物の食害がかなりひどいのです。それで、田畑にそうした
>>動物の捕獲あるいは殺害目的で罠をしかけておいて(その旨の表示はしておく)、
>>それに“人間”がかかってしまった場合はどうなるか、というものです。もち
>>ろん罠は「明らかに田畑内部に侵入しないと動作しない」(“うっかり踏み込ん
>>でしまった”程度では影響がない)ように設置されているものとします。
>
>正当防衛・緊急避難が成立する限度にしておかないとやばいでしょうね。
(中略)
>でも一方で水田の中に入っていくのって
>それだけで犯罪になる?
>もしくは何かの侵害になる?
(中略)
>  水田の中に入るような人は稲を盗んだり田をめちゃくちゃにする人だから
>  窃盗だとか威力業務妨害なんかなんだ……って理論武装が必要だね。

って言うかこの設例だと、そもそも動物相手に罠を仕掛けているのであって
「人間に対して使おうという気は全くない」のが普通でしょう。
だからまず故意が無い
(ぎりぎりいっても認識ある過失まででしょう。)。
なので問題になるとすれば過失犯。

そして、誤って入り込む可能性があるようなところならともかく、明らかに入
れないようになっているところならば大概は過失もないとなるでしょう。
また、一般に動物捕獲用に使う罠である限り、罠自体の威力が過剰だというこ
ともないでしょう。
しかもうっかり入った程度では作動しないってんだから作動するのはよっぽど
の場合。

で、動物相手に罠を仕掛ける必要があるような場合(動物の捕獲を主目的とす
るのでない限り)、大概は侵入防止に柵を設けてそれでも防げないから罠を仕
掛けるというのが普通。
注意看板もあるということだし。

だとすれば、柵が壊れているのに放置したとか、罠自体が過剰なまでの威力の
あるものであったとかいう事情がない限りは過失は否定することになるでしょ
う。

誤作動の場合は考慮の余地があるけどいずれにしても、せいぜい過失犯。

とまあそういうことで純粋に過失犯として論じれば足りると思います。

で、過失犯が成立する場合、過失行為による正当防衛を認めなければ正当防衛
も過剰防衛も成立の余地がない。
で、防衛の意思必要説に立ち、その内容を緩和する説に立つと(他の要件を充
たす限り)ぎりぎり認められることもあり得るけれど……、認められないん
じゃないかなぁ。

# なお、田畑に勝手にはいるのは軽犯罪法違反がいいところ。
 35号に「田畑」と明示。
 ところで、盗撮が軽犯罪法違反になるという記述をどっかで見たけど、一体
 何号?
 ……覗きと盗撮は違うぞ。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp