Kenji Maezawaさんの<3F24149F.977E69A2@jcom.home.ne.jp>から
>ITSUKI wrote:
>
>> 比較優位説とはなにか
>>
>> イギリスの帝国主義時代のイデオロギー。自由貿易にあらずんば国にあらずと
>> まで言ったかどうか知りませんが、これにだまされてイギリスの奴隷国家に
>> なった国々の数々。それに比して、関税障壁を設けて戦ったアメリカは、勝っ
>> た。イギリスよりはるかに劣っていたアメリカが、保護関税を高くすることで
>> 急成長した理由は?
>
>比較生産費説のことを言っているのでしょうが、単純化して言えば、「農業国は農
>産物に特化したほうが有利、工業国は工業製品に特化したほうが有利」ということ
>で、農業国は農産物を輸出して工業製品を買い、工業国は工業製品を輸出して農産
>物を買うのが、「価値論」の観点から見て合理的、より低コストで多くの商品を獲
>得できるということ。
>これは別に「帝国主義時代のイデオロギー」ではなく、「自由主義時代のイデオロ
>ギー」。そのあたり誤解があるよう。
>しかし、「価値論」的に見て合理的という問題と、一国の工業化の推進という問題
>とは、まったく別問題。そのあたりにもどうも誤解があるような設問のように思え
>ます。
デーヴィッド・リカードが比較優位の理論を発表したのは1817年。サムエ
ルソンの「経済学」によれば、「時折それは「比較生産理論」とよばれる」と
記述されている。
ここに、その本よりエッセンスを、かいつまんで書きますと、
1.簡略化のために、リカードは二国(例、アメリカ、ヨーロッパ)だけの場
合を扱った。また、同じく二財(例、食料、衣料)。
2.簡略化のため、リカードはすべての費用を労働時間ではかる方法をとっ
た。
3.たとえアメリカの労働力が、ヨーロッパのそれよりも食料と衣料の両方で
より生産的であるとしても、貿易は依然として相互に有利。


以下の例は、私サイドで数字を使ってみたものです。解釈に間違いがあれば御
指摘ください。
-------------------------------------------
生産物   アメリカ    ヨーロッパ
-------------------------------------------
食料1単位 1時間分の労働 3時間分の労働
衣料1単位 2時間分の労働 4時間分の労働


                   
  (1時間あたりの単位 )
    アメリカ   ヨーロッパ    合計
-------------------------------------------------------
食料  1単位    1/3単位   (1+1/3)単位        
-------------------------------------------------------  
衣料  1/2単位   1/4単位      (3/4)単位
-------------------------------------------------------

【食料はアメリカが比較優位】
・アメリカは、衣料1単位分で食料2単位できる。
・ヨーロッパは、衣料1単位分で食料4/3単位できる。

【衣類はーロッパが比較優位】
・アメリカは、食料1単位分で衣料1/2単位できる。
・ヨーロッパは、食料1単位分で衣料料3/4単位できる。

比較優位に特化して生産すると

    (1時間あたりの単位 )
   アメリカ   ヨーロッパ             合計
------------------------------------------------------
食料 (1+1)単位 0単位        2単位
-------------------------------------------------------  
衣料 0単位   (1/4)+(3/4)単位 1単位
--------------------------------------------------------
・両国合計で食料2/3単位増加
・同、衣料は1/4単位増加


・アメリカが食料1単位輸出して衣料3/4単位輸入できる。
   アメリカ   ヨーロッパ             合計
------------------------------------------------------
食料 (2−1)単位   1単位      2単位
-------------------------------------------------------  
衣料 (3/4)単位   1−(3/4)単位 1単位
--------------------------------------------------------

・アメリカは衣料1/4単位増加
・ヨーロッパは食料2/3単位増加

つまり、比較優位な財を両国間で貿易することで、財は増加した。


なお、サムエルソンは他国多財間においても比較優位説が成り立つといってい
る。[サムエルソン「経済学」(岩波書店)]

比較優位説は財の増加を説明したが、なぜ比較優位が存在するのか。
この点は、ヘクシャー・オリーンが発見し、サムエルソンが経済モデル化した
「ヘクシャー・オリーンの定理」による。

-------------------------------------------------------
では、「ヘクシャー・オリーンの定理」とは何ぞや。

-------------------------------------------------------
「労働、土地、資本という生産要素の移動がなくても、商品移動が自由に行わ
れたら賃金率、地代、利子率(利潤率)という要素価格は国際間で一定とな
る」ことらしい。

投資は、利潤率の高きを予測してなされるが、帝国主義が原始的な帝国主義
(第一次帝国主義:スペインやポリトガル、オランダ、イギリス、フランスな
による大航海時代の植民地化)とは別に、『資本主義の実力をつけたとき、列
強は植民地再分配に走る』と、レーニンは「帝国主義」で予言した。そのあら
たなる帝国主義は、実際に誕生した。
先の大公開時代の原始的な帝国主義は、まさに、奴隷的搾取、強奪だったが近
代帝国主義は極めて、経済色の強いもの。武力による企業活動の安全保障、武
力による治安維持、莫大な投資による高利潤率の確保。この新帝国主義時代の
動機はこうした資本の投下による高利潤の荒稼ぎを意図していたはず。
ところが、ヘクシャー・オリーンの定理では、資本を海外に投下して利潤の荒
稼ぎをしようとしても、自由貿易による自由な商品の移動があれば、利潤率は
同じになるというではないか。こうなればもはや、大金はたいて植民地経営を
する必要もない。どっち道利潤率は一定化。

また、比較優位がなぜ発生するのかを語るこの定理が、同時に、帝国主義の高
利潤率を狙った資本投下が、意味のない行為になるというこのヘクシャー・オ
リーンの定理は、イギリスの没落を利潤率の低下の面で言い当てているといえ
る。

ここでの私の疑問は以下のものです。御存知のかたは教えてください。
1.ヘクシャー・オリーンの定理が、なぜ、比較優位の存在を証明してるのか
ということです。
2.比較優位による自由貿易は、参加する国に対して、悪くても財の現状維
持、ふつうは財の増加を保障する定理なのに、どうして、保護貿易をとってた
米国の財が膨らみ、比較優位に基づいて貿易をしたポルトガルやスペインがな
ぜ、英国との自由貿易でノックアウトされたのか、アイルランドは、なぜ、英
国と自由貿易でノックアウトされてしまったのか、ということです。
3.自由貿易による商品の自由な移動が実現されていれば、投資による利潤率
の、一定値への収束という経済法則が働く。帝国主義のような海外投資は、決
して割の合う戦略ではない。にもかかわらず、現代においても、帝国主義では
ないが、中国に投資するというのは、ヘクシャー・オリーンの定理のまえに、
意味のない投資をしているのではないか。商品の自由な移動が実現されていれ
ば、投資による利潤率の、世界規模での一定値への収束という経済法則が働く
なら、何も中国という外国に資本投下して高利潤を狙うなどという、ヘク
シャー・オリーンの定理に反することはしなくてもよいのでは。

-- 
Hiyama_J mailto:static_2003@writeme.com


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