工繊大の塚本です.

In article <jrlpu3$tm5$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <120608172811.M0112698@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > ベキ級数で定義された関数は, 収束半径の内部では正則です.
> 
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop192_1211__01.jpg

極限の計算に何を使っているのですか.
そもそも u = 0 でも正則に拡張されることの証明に
 u \to 0 での極限を計算するのは回りくどい.

> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop192_1233__10.jpg

 u \exp(xu)/(\exp(u) - 1) が u = 0 中心, 半径 2 \pi の
円板の内部で正則であることが分かって, 初めてそれの
ベキ級数表示 \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) u^n の存在と
それが少なくとも 2 \pi の収束半径を持つことが分かる
のですから, 証明の冒頭から書き方がおかしい.

で, u \exp(xu)/(\exp(u) - 1) が u = 2 \pi i では正則でなく,
1位の極を持つことは示せましたか.
 
> > 因みに, その定理自身は正しい命題ですが,
> > それをロピタルの定理と呼ぶことはありません.
> 
> えっ? では何と?

特に名前は付いていません.

> > 正則な複素関数に対してのコーシーの平均値の定理というものは
> > 存在しません.
> 
> えっ!? では最後部は一体どうすればいいのでしょうか?

正則関数を正則関数で割ったもののある点でのローラン級数展開を
どう考えれば良いかは, 随分と回答してきたと思いますが,
結局理解できていないということでしょうね.

> Prop192.1023の命題自体は真なのならProp192.1023の証明部を訂正すれば
> OKでしょうか?

先ずはそこからですね.

> > それがロピタルの定理から出ることだと思っている時点で
> > 全く駄目です.
> 
> ここもですか!? では一体どうすればいいのでしょうか?

正則関数を正則関数で割ったもののある点でのローラン級数展開を
どう考えれば良いかは, 随分と回答してきたと思いますが,
結局理解できていないということでしょうね.

> > exp u - 1 が u = 2 n \pi i (n は整数) で一位の零点を持つ
> > というだけの話なのに, どうして複雑に間違えようとするのですか.
> 
> え!? 大変すみません。意味が良く分かりません。
> Prop192.1211の題意自体がおかしいですか?
> u=2nπiの時も確かにuexp(xu)/(exp(u)-1)の分母は0になりますが
> 今,題意はuexp(xu)/(exp(u)-1)のu=0での正則性を示しておるのですが、、、 

 u = 0 では u \exp(xu)/(\exp(u) - 1) は正則であり,
 u = 2 \pi i では u \exp(xu)/(\exp(u) - 1) は一位の極を持つ
ことを示さねばなりません.

どちらも exp u - 1 が u = 2 n \pi i (n は整数) で一位の零点を持つ
というだけの話です.

もう一度書いておきますね.

 u = a のまわりでの正則関数 f(u) が u = a で零点を持つなら,
 f(u) = (u - a) h(u) となる u = a のまわりでの正則関数が存在する.
 f'(a) = h(a) なので,
 f'(a) \neq 0 であれば f(u) は u = a で一位の零点を持つことになる.

このとき, つまり, f(a) = 0 かつ f'(a) \neq 0 であるとき,
つまり, f(u) が u = a で一位の零点を持つとき,
 u = a のまわりでの正則関数 g(u) と f(u) の商 g(u)/f(u) は
 g(u)/f(u) = (1/(u - a)) (g(u)/h(u)) であり,
 g(u)/h(u) は u = a のまわりでの正則関数であるから,
 g(u)/h(u) の u = a のまわりでの
ベキ級数表示 g(u)/h(u) = \sum_{n=0}^\infty c_n (u - a)^n から
 g(u)/f(u) の u = a のまわりでのローラン級数表示,
 g(u)/f(u) = c_0/(u - a) + \sum_{n=0}^\infty c_{n+1} (u - a)^n
が得られる.

 c_0 = g(a)/h(a) が 0 でなければ
 u = a は g(u)/f(u) の一位の極となり,
 c_0 = 0, つまり g(a) = 0 であれば
 g(u)/f(u) は u = a のまわりでの正則関数となる.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp