工繊大の塚本と申します.

In article <e6du2c$rat$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>
"MK278" <MK278@hotmail.com> writes:
> 多変数関数の場合の極限の定義は最終的には
> 位相空間まで拡張できると思います。
> その定義は
> X:=X1×X2×…×Xnとおいて

# X が X1, X2, ... , Xn の直積であるとすることに意味は
# ないでしょう.

> (X,O(X)),(Y,O(Y))を位相空間とし、
> (O(X),O(Y)は開集合系)
> f:X→Y
> lim(x→a,f(x))=b 

# これは「 f が a で連続であるとは」と読むのでしょうね.
# # b = f(a)

> ≡ ∀Ob:bを含む開集合,∃Oa:aを含む開集合;f(Oa)⊆Ob
>  (aを含む開集合とはa∈Oa,Oa∈O(X))
> となると思います。
> 
> それで次に
> 微分可能の定義をできるとこまで拡張したいのですが
> どのように書けますでしょうか?

 X が任意の位相空間だと難しそうですね. 普通は滑らかな多様体の
上で考えたりはする訳ですが.

少し見方を変えると, 位相空間を与えることは, その上の連続関数
のなす環(代数)を与えることと, まあ, 同値です. 位相空間の点は
そこで零を取る連続関数の全体のなす極大イデアルに対応します.

滑らかな多様体や, 代数多様体などを考える場合には, その上の良
い関数, 例えば, 滑らかな多様体上での微分可能な関数を考えると,
その全体は部分環で, やはり空間がその極大イデアルの全体として
得られるものになっています. そのとき, 関数 f の X の点 p での
「微分」df は, p に 対応する極大イデアル m_p を (m_p)^2 (m_p
の元二つの積で生成されるイデアル) で割った空間 m_p/(m_p)^2
において f - f(p) が代表する元, として定義されます. この
 m_p/(m_p)^2 は X の次元の有限次元ベクトル空間です.

元の連続関数の全体のなす環の極大イデアル m_p について m_p/(m_p)^2
を作ったのでは, 良く分からないものが出来てしまいますが, 環を
制限すると有限次元のベクトル空間という良いものが現れます.

位相空間の上の関数のなす環の部分環で, m_p/(m_p)^2 がきれいな
性質を持つものになるものが取れるなら, その部分環の元を「微分
可能な」関数とすることが出来るかも知れません.

それが微分可能な関数に期待しているものをどのくらい備えている
のかは良く分かりませんが.

ぼんやりと考えたことを述べてみました.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp