5日目その3 [金沢]

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走行日: 2009年8月5日(水)

[地図: 横手〜金沢]

横手から大曲にかけては, 奥羽本線が羽州街道と大きく離れた地を直線的に駆け抜けています。鉄道忌避伝説が発生する典型的な恰好になっていますが, この区間は奥羽北線で一番最後に敷設されたところですから, 南線の工事も進捗していたことですし単に敷設を急いだだけなんじゃないかな。ともあれ, 駅巡りするにはちょっと厄介な場所に2駅(後三年, 飯詰)あるんですけど, 最初から判っていましたからどうルートを取るかは出発前から決めてありました。計画に従って街道を離れます。

執筆上の参考資料:

写真コメント
[写真: 後三年駅]
(10:07)

羽州街道/国道13号を離れて4km, 後三年駅にやって来ました。付近は奥羽後三年合戦の古戦場であり, 即ち奥州藤原氏発祥の地という事になります。

[写真: 後三年合戦解説]
(10:08)

駅舎に後三年合戦の解説が掲げられています。駅自体は無人駅ですし, 近辺に観光向けの施設なども見当たらないような閑散とした場所なんですけどね(集落はある)。まあ, ちょっと歩けば, 観光地はあります。

ところで, 駅の近くまで来た頃から, 雨がぱらついてきたんですが……。

[写真: 西沼]
(10:19)

来た時とは少し違う道を通って街道に戻ります。その途中で越えた小丘陵の陰に「立馬郊」という, これまた後三年の古戦場があります。現在は「平安の風わたる公園」というセンスの無い命名がされているようです。温泉施設なども設置されており, また園内の西沼には写真のような三連アーチ橋が架けられて……これもどうなんだろう?

うあー, 雨が段々本降りになってきた……

[写真: 金澤公園入口]
(10:33)

三貫堰(さんがんせき)で街道=国道に復帰すると, その付近から仙北郡金沢中野村となります(今は横手市), 化石(ばけいし)で更に旧国道に移ると, すぐに金澤公園への入口が現れます。ここは後三年合戦最後の舞台である金沢城(金沢柵)の跡地であり, 現在は金沢八幡宮となっています。

なお, この付近の「金沢」は「かねざわ」と読みます。「かなざわ」ではありません。

[写真ありません]

金沢柵へ向かって自転車を走らせた……は良いんですが, 死ヌような目に遭ってしまいました。地形図でもはっきりと細かな連続ヘアピンカーブが描かれていることから, 急坂は目に見えていたんですけど……喩えて言うならば, 昨日までに登った峠を手形陸橋, 中でも特にきつかった小坂峠や花立峠をうぐいす坂とすれば, 金沢柵は天徳寺だという……余計解りにくいですか?(^^;;;

いや, 一番悲惨だったのは, ここにきてまたフロントディレーラがインナーに入らなくなって, ミドルのまま登らないといけなかった事です。それを差し引いても最急勾配だったのは間違いないんですが, 本当に凄まじい労力になってしまいました。かてて加えて, 登っている途中でいよいよ雨が強くなってきたし。

[写真: 納豆発祥の地碑 1]
(10:47)

全身全霊を降り絞ってどうにか中腹の駐車場まで上り詰めました。そうまでしてここに来た理由がこれ, 「納豆発祥の地」碑。これも後三年合戦に由来する, 納豆発祥伝説があるのです。つまり秋田の納豆は1,000年近い歴史があるのです。鉄道開通時の販促で有名になった程度の水戸とは格が違うのですよ(と茨城を敵視する水野)。水戸とは違うのだよ, 水戸とは!

で, この写真を撮った直後, 最早『土砂降り』とも言うべきレベルにまで雨が激しくなってしまい, 動けなくなってしまいました。付近で雨を凌げる場所はただ1つ, 納豆碑の裏側。ここなら斜面に生えた木の陰になって, 完全ではありませんが直撃を避けられるのです。狭い空間に自転車をねじ込み, 自分もねじ込み, そのままじっと待ち……

[写真: 納豆発祥の地碑 2]
(10:48)
[写真: 納豆発祥の地碑 3]
(10:49)
[写真: 雨の金沢公園駐車場]
(11:20)

なかなか止まない雨に不安が募ります。昨年3日目のように何時間も足止めされたら, 今年は観光もしているのですから, 5日目でもなお秋田市に辿り着けなくなる危険が出てきます。去年はそれでも, 朝からの雨であって宿泊地(道の駅小千谷)の屋内でしたからまだ良かったのですが, ここ屋外です。休憩できる体勢じゃありません。精神的にも肉体的にも辛い……

もうどうしようもないので, 強行突破する事にしました。レインコートの準備はあるので, 暑いですが上下ともに着込み, ちょっと雨が弱まったのを見計らって再出発します。目標は, すぐ傍の国道にある筈の「道の駅せんなん」。目的は, 雨宿りと昼御飯!

[写真: 御野立所跡]
(11:23)

坂を登る時はそれどころではありませんでしたが, 途中に「御野立所跡」がありました。昭和天皇が皇太子時代に来た『とこ』だそうです。明治天皇の碑はあちこちで見掛けるけど, 昭和天皇というのは珍しいですね。

[写真: 金澤八幡宮入口]
(11:28)

旧街道に戻って少し行った所に金澤八幡宮の鳥居があります。これが旧来の参道入口で, さっきの金沢公園入口は新しい車道なのです。そういえば駐車場に到る直前, 未舗装の分岐がありましたっけ。そこに繋がるみたいですね。

で, 金沢中野も金沢本町も写真取り損ねたので, ここを持って羽州街道第26の宿場・金沢宿に到達ということにします。この付近, 本当に余裕無くて……。

[写真: 道の駅せんなん]
(11:35)

ちょっと行き過ぎて金沢本町すら通り過ぎ, 金沢小学校まで行ってしまいましたが, 気付いてちょっと戻って……厨川ではなく中ノ目川沿いにR13金沢バイパスへ。少し戻った所に道の駅せんなんがあります。

自転車は軒下に置きました。……で, ここ来て雨が止むってのは何なんですか。弱くなってから出発してるから, これなら我慢して濡れながら走っても大丈夫だった気がします。濡れたレインコートを畳むのは面倒なんですよ? 柵や自転車を組み合わせた上にレインコートを広げて乾かしておきます。

ここまでの走行記録……走行時間: 3.30.44, 走行距離: 56.70km, 平均速度: 16.1km/h, 最高速度: 33.8km/h(横手長坂?), 総走行距離: 6,204.8km。

[写真: 美郷こだわり冷麺]
(12:07)

お昼は『美郷こだわり冷麺』。美郷というのは現在の自治体名である美郷町の意ですね(平成の大合併で『町』になった所(美郷町, 三種町, 八峰町)は, 何故かいずれも『ちょう』と読ませる)。地元の産物を盛り込んでいるらしいです。

[写真: 金沢田園アート 1]
(12:22)

道の駅の裏で, いわゆる「田圃アート」が行われていて, 仮設展望台が設けられていました。そういえば, 半月ほど前(7月19日)に魁の記事で読んだっけ。しかしいざ見ると, 確かに田園風景は雄大ですが, 文字そのものは角度がまだ小さくて読み辛いですね。電線が邪魔だし。もっと高いところから見ないと……だけどそうするには, 仮設の足場程度では危険だから難しいんだろうなあ。

なお, 左側の写真に写っている小さな山々は, 地形図から読み取るに, 左から(厨川左岸の無名山, 約90m), (川原保の無名山, 71m), 鞍掛山(89m), 飯詰山(98m)のようです。一番左の山が突出しているように見えるのは遠近法?

[写真: 金沢田園アート 2]
(12:22)
[写真: 金沢田園アート 足場]
(12:23)

こんな足場から眺めていました。注意書きあっても頭ぶつけそうになるところです。

湿度はまだ高いけど雨も上がったし, レインコートも取り敢えず滴らなくなるくらいには乾いたし, 先を急ぎましょう。12:55, 再出発。

[写真: ヤマダフーズ看板]
(13:08)

国道脇で見掛けた看板……

[写真: ヤマダフーズ]
(13:13)

秋田県最大にして至高の納豆メーカー, ヤマダフーズの本社工場です。業務用納豆の市場独占率7割らしいので, 納豆を忌避するような方でなければ一度はヤマダの納豆を口にされているのではないでしょうか。私などは東京に居ても連日食べてますけどね。

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水野夢絵 <mwe@ccsf.jp>
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