◆19:40 7回表 十番高校の攻撃

四葉 「ちぇきーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 はーーーーい!

 流石に夕食後。そしてたっぷりの休憩を取ってリフレッシュした
妹たちは力いっぱい元気だった。相変わらずの四葉の掛け声は最早
何がなんだか全く意味不明だが、カクテルライトに照らされながら
ナイターのグラウンドへ守備に散る妹達は全く気にしていないらし
い。そして一方、3塁側ベンチはとゆーと。

はるか「ふっふっふ。これまではまんまと三振に取られてしまった
    が、今度はそうはいかないぞ!」
せつな「えぇ!この通り、ちゃんとバットも持っていますしね!」
みちる(御願い・・・だれか止めて・・・)

 と、すっかりヤル気満々の外部太陽系3戦士(一部除く)。どうや
らこれまでの状況に全く懲りて居ない様子で、いそいそと登場BG
MのCDなんかラジカセに掛けていたりする。このままでは史上最
短のイニング時間(はるかが名乗っている間に1球で3人同時三振)
で終わる、と判断した地場衛監督が、傍らにいる「沈黙の戦士」に
断腸の思いを抱きながら非情の命を下した。

地場衛「ほたるちゃん、御願い。」
ほたる「えー?・・・仕方ないなぁ。えいっ、えいっ、えい。」

 ごん。 がん。 ごきん。

 「沈黙の鎌」、再び此処に炸裂。3発の鈍器音が3塁側ベンチに
鳴り響き、

はるみちせつな「きゅう」(>o<)

 悪は滅びた(爆)。

レイ 「でも監督ぅ。どーするの?」
美奈子「そーよそーよ。この回の打順って、はるかさん達からよ?」
うさぎ「あー、まもちゃんをいじめるなぁ! うーーーー!」

 ぽかぽかぽか。うさぎのだだっこパンチ炸裂。当然3塁側ベンチ
は阿鼻叫喚のすったもんだ。舞い散るバット、飛び散るポカリ(爆)。

咲耶 「・・・なんだか、平和そうね。」(^.^)
鞠絵 「十分ごたついている様に見えるけど」(^^;)
千影 「それでもとっとと打席に付いて欲しいものだ。おーい!」

 すっかりあきれ果てて、グラウンドでこの光景を眺めていたシス
プリチームから3塁側ベンチへ声が掛かった。は、として漸く気付
くセーラーチーム。取るもとりあえず地場衛監督は、レイちゃんに
喰らわされた火傷やまこちゃんからの電撃傷や美奈子ちゃんからの
ロープ痕(謎)や亜美ちゃんがそれらを冷やそうと注いで勢い余った
濁流上がりのびしょ濡れ姿で、こう告げた。

地場衛「ピンチヒッター。4番はるかに変えて、ちびうさ。」
ちびう「えーーーーーー!!!!」

 まぁ誰よりも驚いたのはコールされた当の本人だろう。すっかり
呆然としたままバットを(文字通り)担いで打席に入るちびうさ。ぶ
かぶかのヘルメットですっかり頭が隠れ、ついでに目まで隠れてし
まっている。尤も本人は一向に気にして居ない・・・と言うより、
事態に付いていけずヘルメットまで気が回らないと言うのが正しい。

白雪 「これは・・・少々、あんまりなのでは」
雛子 「そーだよそーだよ! ちびうさちゃんに合わないよぉ。」
鞠絵 「いえその、ヘルメットの話じゃなくてね」(^^;)

 口々にこの起用を批難するシスプリチーム。これを受け3塁側ベ
ンチもジト目で監督へ総攻撃。加えて流石に幼児へ精神攻撃は出来
ない千影が「これは投げられない」と言おうとした、その時。





   「お待ちなさい!」





 また、グラウンドに聞きなれない少女の声が響いた。あぁまたか、
と思うセーラーチームを放っておいて、素直な娘さんが勢揃いのシ
スプリチームはきょろきょろと辺りを見回す。やがて。

衛  「あそこだ!」

 センターの衛が指差した。遠く、高く、なんとカクテルライトの
上を指す。

花穂 「こっちも!」
春歌 「此方もです!」

 ほぼ同時にライト花穂とレフト春歌もカクテルライトの上を指す。
しかし、その向きは全て異なっていた。そして、その何れもの方角
とは異なる方向から、再び声が掛かる。





   「いけませんわね、それでは! 我らがスモールセレニティ
    の御相手には相応しくありませんわ!」





 その呼び方に、はっと気付くちびうさ。声が掛けられた方の、別
のカクテルライトの上を見る。都合4機のカクテルライトの上に、
それぞれ小柄な少女の人影が夜空を背景に浮かび上がっている。

ちびう「誰!?」

 鋭く問うちびうさの声に、優雅に一礼して飛び降りる人影。派手
派手しいサーカス風のコスチュームを身に纏う4人の少女。

ちびう「あんたたち・・・」
   「御久し振りです、スモールレディ。」

 にこ、と笑う一人。さささ、とちびうさの膝元に傅き、一礼する。
その様子を見て戸惑いつつも、言葉を続けるちびうさ。





ちびう「来てくれたんだ? アマゾネスカルテット。」





 ふ、と顔をあげる一人。カルテットのリーダー格、セレセレ。

セレス「もうその名前では呼ばないで下さいまし。我々全て、貴女
    の僕として既に目覚めておりますので。」

 そして次々と言葉を紡いでゆく彼女たち。ベスベス・パラパラ・
ジュンジュン。

ベスタ「そうですわ。しかもどうやら危機の御様子。放っておいて
    は次代のセーラー戦士の名に恥じてしまいます。」
パラス「ここでかけつけなかったらねー、もうでばんがないよーって
    じゅんじゅんがいったのー。それでねー、」
ジュノ「と、とにかく! この我ら四戦士が来た以上、もうスモー
    ルレディにお手数をおかけはしません。さぁ。」

 そう言ってちびうさを打席から外そうとする四人。どうやら余程
の自信があるらしい。この救世主の登場に沸きあがる3塁ベンチ。

レイ 「よかった! 強力な助っ人よ!」
まこと「あぁ、一時はどうなる事かと思ったけどな。」
亜美 「3人も欠けちゃったけど、代わりに4人も増えれば何とか
    なるわ。これでローテーションも楽に組めるし。」
美奈子「なんとかこれで、まともな打線になるのね!」
うさぎ「わー、4人も増えたら誰か出番がなくなっちゃうねー。」

 どすどがべきぼきぐしゃ(内惑星系4戦士)

レイ 「ほんと。良かったわ、4人増えて!」
まこと「あぁ、一時はどうなる事かと思ったけど、4人ならな。」
亜美 「4人も欠けちゃったけど、丁度4人増えたから。」
美奈子「これでぴったり。文句なしね!」

 こうして失神者を1名増やした3塁側ベンチを横目で見ながら焦
るちびうさであったものの、尤もちびうさも碌な心構えも無く打席
に立ったものだから、このパリーグDH的扱いに否やは無い。多少
は戸惑いつつも、そのまま「じゃ、頼んだね」とか何とか言いなが
ら、3塁ベンチに引く。コイツが意外と計算高いのはRで証明済み。

セレス「さ! 参りますわよ!」
ベスタ「はい! 我ら4人が力をあわせれば!」
ジュノ「こんなチームなんかちょちょいのちょいよ!」
パラス「よかったねーみんなー、でばんができてー」

 一部ずれている奴がいるような気がしないでもないが、それでも
きっちりバットを構え、おもむろに打席に立つ・・・





四葉 「あのーーーー、デスね・・・。」
セレス「御心配なく。問題ありません。」





 きっちり4人とも。 しかも全員でバットを振り上げて。





   「だぁあああああ!」 どんがらがっしゃん

レイ 「ちょっとちょっとちょっと! あんたたち、ルール判って
    やってんの!?」
美奈子「そーよそーよ! さっきはそれで一気にスリーアウトだっ
    たのよ!」
まこと「あのさぁ、頼むから一人にしてくれないかなぁ」(^^;)
うさぎ「ちょっと、ちびうさぁ。アレ、何とかしなさいよ。」
ちびう「えー?やだよぉ。それでなくったってSsじゃ怖い連中だっ
    たんだから、下手に突付いたらこっちの損じゃん。」
亜美 「いけないわ、ちびうさちゃん。」
うさぎ「そーそ亜美ちゃんの言う通り。」('')(,,)('')(,,)
亜美 「女の子が『じゃん』なんて言ったら駄目でしょ?」
うさぎ「あーいやー、そーじゃなくってですねー。」(^^;)
レイ 「そんなこと言うと、渋谷で番張る寿蘭ちゃんにスカウトさ
    れちゃってマゴギャルになっちゃうのよ?」
美奈子「れ、れーちゃん・・・」(^^;)
うさぎ「あー、そーいや今週分見逃したぁ! あとでシスプリの
    眞深ちゃんから客演記念録画テープを借りてこなきゃ。」
まこと「う、うさぎちゃん・・・」(^^;)

 が、そんな3塁側ベンチの批難轟々なぞ馬耳東風何処吹く風。ま、
この程度の抗議はジルコニア様の説教に比べたら物の数ではない。
こんなんにかかずらわっていたら新世代型「悪の幹部」なんか出来
はしないのだ。あ、もう正義の味方だったっけ。

セレス「さぁ、用意は宜しくって、皆さん!?」
ジュノ「おぉっし、さぁ来い!」
ベスタ「一発、ホームランよ!」
パラス「ばっとがきたらぼーるをあてるのねー? れ?ぎゃく?」

 矢張り約1名ずれているような気もしないでもないが、それでも
きっちり打席の左右に2名づつ合計4名でバットを振りかぶったま
ま、一向に退こうとはしない。じっとマウンドの千影を見据える。

千影 「・・・ま、望む様にしてやろうか。」

 ふぅ、とため息をつくと、おもむろに振りかぶる千影。そのまま
無造作にボールを放り、実に打ち頃なコースと速度の棒球がミット
を構える四葉へ向かう。

セレス「来ましたわ!」
ジュノ「打つぞ打つぞ打つぞ打つぞ打つぞ!」
ベスタ「皆で打てば、バックスクリーンなんか軽がるよ!」
パラス「あ、ぱらぱら、あいすくりーむがすきなのよ?」

 そんなずれたテンポも物ともせず、加えてそんなズレたテンポの
持ち主もあわせ、全員一斉にバットを振り、ボールを迎え撃った。





 ぶん!

四葉 「きゃ!」





 さて、考えてみて欲しい。小さなホームベースを挟んで両側にあ
る打席の距離なぞ1mも無い。また打席の前後方向の幅も、数mも
あるものではない。つまり、そんなに狭苦しい空間に現在4人もひ
しめき合っている訳だ。はるみちペアは公私共に渡って生活空間を
ともにする間柄だからこそ何とかなったのだし、3人舞台の1球3
三振の時にはバットすら振っていなかった。が、今のカルテットは
違う。互いに、自分の真正面を通過するボールに向けバットを振る。





 そう。自分の真正面のボールに。そしてそのまた、向かいには。





 互いの相手がいたのだった。





 ぐわらごわきーん!





 と言う訳で、岩鬼のホームランのように壮絶な音がバッターボッ
クスから鳴り響き、次の瞬間には、

べすじゅのせれぱら「きゅう」(>。<)

 仲良く討ち死にした4人がホームベースに足を向け失神していた。

爺や6「ばったー、打撃妨害干渉による相互確証破壊でアウト!
    打者4人、4アウト! チェンジ!」

   「だぁあああああ!」 どんがらがっしゃん

 訳の判らない主審のコールが球場に響く。が、そんな者を気にし
ている者なぞ居よう筈もない。

レイ 「な、なにしにきたの? あいつら・・・」
まこと「と、ともかく4人も欠けちまったなぁ・・・」
亜美 「どうしよう、どうしよう、これで8人も欠けちゃったわ、
    どうしようどうしようどうしよどうしよどーしよどーしよ」
美奈子「あぁああパニックにならないで亜美ちゃん、今は貴女の
    頭脳だけが頼りなんだから。でも・・・」

 目の前で死屍累々と転がるセーラー戦士たちを前に、言葉も無く
呆然とするばかりの4戦士+ちびうさ。3塁側能無し監督から暫し
のタイムが申し込まれたのは、それから直ぐの事だった・・・。

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