1回表
◆10:05 1回表 十番高校の攻撃
四葉 「チェキしていくデスーーーっ!」 <----(0301)
はーーーいっ
と、訳の判らん四葉のエールに呼応する、グラウンドに散った
シスターズ。ちなみにオーダーは
衛
|
白雪 | 花穂
\ /\ /
春歌 可憐
/ \
咲耶 鈴凛 千影 控:雛子(チアガール)
\ | / 鞠絵(マネージャ)
\ | / 亞里亞(...ZZZZZZzzzzzzz,,,,,,,,)
四葉
とまぁ、等幅フォントで読まなければ何が何だかの、上図の通り。
ちなみにベンチの監督兄ちゃんは左に鞠絵ちゃんに張り付かれ、右
に亞里亞ちゃんを膝枕し、肩には生脚レオタードの雛子ちゃんを
肩車しているの図だ。好天とあいまって、随分と暑そう。
双眼鏡で相手ベンチをデバガメしていた、こちらは十番高校監督。
地場衛「・・・真面目にやる気があるのか?アイツは。」
うさぎ「ま〜もちゃん、羨ましいの?」
地場衛「ばっ! 馬鹿な事を言うな!」
うさぎ「肩車ぐらいなら、あたしが乗っかったげるよ?」
レイ 「おどきっうさぎ!衛さん、どうせ乗っかるならお膝の上よ
ねー? 私だったら・・・いいのよ・・・。」
うさぎ「なぁに雰囲気だしてんのよ、この渡り巫女!まもちゃんは <----(0302)
生まれる前も死んでからも、ずっと私の約束の人なんだか
らね!さぁさっさと退く!」
レイ 「未だに『おしおきよっ』しかブイブイ言わせていたネタが <----(0303)
無いアンタがそれを言う?しかも渡り巫女って何!私にゃ
列記とした家付きの神社があるっての!」
うさぎ「むっきーーー!レイちゃんなんか、庭の井戸から出てきた <----(0304)
ムカデ女に食われちゃえばいいのよ!」
レイ 「あっ!かごめちゃん家の事件をネタに、そゆ事いうか君は! <----(0305)
あんたこそ福岡に帰って市街征服の貧乏暮らししてたら?」
うさぎ「あー!私だって、私だって、恐怖の大王が順調に来てたら <----(0306)
今頃は千年王国の女王様だったんだからね!」
このままでは、敵に破れる前に敗北宣言を出さねばならなくなる。
地場衛「ほたるちゃん、お願い。」
ほたる「えーーーー?・・・仕方ないなあ。」
ごんっ がんっ
背後から「沈黙の鎌」を喰らった皇女様と親衛隊長は、仲良く頭
から小鳥を飛ばして御昼寝に入りましたとさ(ちゃんちゃん)。
さて投球練習を終了したマウンドの鈴凛が、ちょいとタイムを取
ってベンチ裏に戻る。女の子だもんね、色々あるんでしょう。あ、
出てきました。おや?何故か、ブルペンから。たったったと走って
マウンドへ。息も切らしてない。さすが、国産子女(おぃ)。
爺や 「バッターラップ!」
美奈子「1番、愛野美奈子。いっきまーす!」
背後の雑音に委細構わずネクストバッターズサークルで鈴凛の投
球練習を見ていた美奈子が、ごわんがらんと素振りしていたマスコ <----(0307)
ットバットを放り投げてボックスに向かう。あ、ボックスに入る前
にきちんと帽子を取って一礼。さすが帰国子女、礼儀正しいですね。
美奈子「かーーーーーっ、ぷっ!」
でも、噛み煙草をその辺に吐き捨てたりして(がらがっしゃん)。
美奈子「えーーー?ボックスに立つ前に吐き捨てるのは、大リーグ
のマナーでしょ?」
・・・さすが、帰国子女(爆)。が、マウンドの鈴凛に動揺は無い。
鈴凛 「・・・鈴凛。きめます・・・」 <----(0308)
ワインドアップから、大きく振りかぶって第1球。
ぎゅん! ばしっ!
爺や 「すたーいく!」
美奈子「・・・嘘?」
只でさえ大きな目をもっと見開き、鈴凛を見る美奈子。それはそ
うだろう。投球練習で見せていた「お父さんとのキャッチボール」
とは打って変わった、この投球。バックスクリーンの電光掲示板に
でたスピードガンの計測記録は・・・
美奈子「156km!? うそうそうそうそ!」
ますますびっくりして目を開く美奈子。3塁側ベンチの十番高校
連中も御同様。特に、うさぎちゃん。なおそれを見て、せつなさん。
せつな「・・・・バブルス?」 <----(0309)
そりゃ確かに金髪二つ分けだけど、「スーパーパワーで悪い敵を
やっつける!キュ〜〜〜トなバブルス」(小堺声で読もう)にお団子 <----(0310)
は無いぞ(無意味)。どうやらハワイでもPPGは人気の様だ。
ぎゅん! ばしっ!
ぎゅん! ばしっ!
爺や 「すたーいくすりー!ばったー、あうっ!」
ろくにバットも振れないまま、すごすごとベンチへ戻る美奈子。
球速は増す一方で、3球目には160kmを越えていた。しかし、
全く息を切らさず冷静な鈴凛。さっすが国産子女(おぃ...)。
レイ 「あ〜〜〜〜んなの、打てないわよーっ!」
2番打者こと火野レイがボックスに立つ。殆ど同時に3連発の
衝撃音が球場に鳴り響く。バットが空を切る音すら無い。
ばしっ! ばしっ! ばしっ!
爺や 「すたーいくすりー!ばったー、あうっ!」
憤然とベンチへ戻るレイ。「打てる訳無いって言ったら、打てる <----(0311)
訳無いのよ!当たり前でしょ!」と、何故か偉そう。
まこと「仕方ないね。転がすだけ、転がしてみっか。」
きゅ、とヘルメットを目深に被ってボックスに立つまこちゃん。
そして全く狂いも無く繰り返されるワインドアップ。
だが。鈴凛が僅かに姿勢を捻ったその瞬間。すすす、とバットを
右手の上に滑らせるまこと。ホームベースの上で水平に構える。
咲耶 「そんなっ、3番がバント!?」
慌てて3塁線上をダッシュする咲耶。そんな咲耶の姿を知ってか
知らずか、全く狂いの無い姿勢を維持したままこれまで通りの剛球
が鈴凛から放たれる。
ぎゅん! べしっ! がっしゃーん!
咲耶 「嘘・・・でしょ・・・」
呆然とバックネット直上にある放送席を見やる咲耶。それはそう
だろう。分厚い防弾ガラスが、ものの見事に砕け散っていた。鈴凛
の剛球を見事にバットへあてられたもののその勢いは止まらず、後
ろへ飛んだ球はネットをぶち抜き、放送席のガラスを直撃したのだ。
可憐 「あれって10番ゲージのスラッグでも止める筈なのに・・」 <----(0312)
そしてこんな球を当てたまこと。当然、普通人なら腕の5〜6本
は折っている(おぃ)。だが。
まこと「ふぅ、痛ちちちち・・・あ〜あ、こりゃもう駄目だね。」
言うほどには痛く無さそうに、ぱんぱんと尻餅を付いた腰を払い
ながら平然と立っていた(爆)。ふと手の中を見れば、見事に90度
近く「くの字」に曲がった金属バットが。ぽいっと背後に放り投げ
たバットがくるくるっと回り、そのままバックネットを突き破って
客席ベンチに突き刺さる。強化プラスチック製のベンチが3列ほど
巻き添えを食らって吹き飛ぶ。タイムを取り、ボックスを外す。
まこと「はるかさーん、それ、貸して下さい。」
はるか「いいけど・・・このマスコットバット、全金属製だぞ?」
良い良い、と言いながら、ネクストバッターズサークルで特性の
マスコットバットを振っていたはるかからバットを借り受ける。
真っ黒に塗られたマスコットバットは、ずしりと重い。そりゃそう
だろう、芯まで鋳鉄製のバット。これを真っ当に振れるのはセー
ラー戦士世界広しと言えど、まこととはるかのみ。ちなみに先ほど
美奈子が振っていたのは普通の市販品。そして此方の特製バットの
重量は・・・言わぬが花と言うものだ。
爺や 「プレイッ!」
ぎゅん! がんっ! がっしゃーん!
咲耶 「・・・あーあ。今度は隣のVIP席が。」
可憐 「あっちはカールグスタフの直撃でも大丈夫な筈なのに・・・」 <----(0313)
まこと「おっし!これなら何とか。さぁ来な!」
1回表にして既にアストロ球団vsヴィクトリーズの雰囲気を出し <----(0314)
始めたプロミストアイランドスタジアム。次の1球が勝敗を分ける。
ほたる「ねぇみちるママ、何で?」
みちる「スリーバントよ。失敗したらアウトなの。」
見かけは派手だが、確かに今度が3回目。だがまことは構えを直
そうともしない。バットを振っていたら間に合わない事は、両手で
鈴凛の剛球を受けている彼女が最も良く判っている事だった。
行き詰まる雰囲気に満たされる球場。まことの気迫が、鈴凛が立
つマウンドと自分の立つボックスの間の空間を歪める。それを感じ
たレイが悲鳴をあげる。
レイ 「花山vs刃牙! 鉄棒前の決戦!」 <----(0315)
違うでしょ。
しかしそんな雰囲気を物ともせず、たんたんとワインドアップを
機械の様に正確に繰り返す鈴凛。
ぎゅん! がんっ!
まこと「行った!」
今度は前に飛んだ球。超防弾ガラスを砕くほどの勢いが、そのま
ま飛距離になる。しかし僅かに正面からはずれた。いや、飛んだボ
ールはレフトポールに向かう。放物線軌道すら取らず、ミサイルの
様にレフトポールへ向かった白球は・・・
爺や 「ファール!」
爺や 「すりーばんと、あうっ!すりーあうとっ!」
レフト線審の爺や(主審の爺やとは別人)が、大きく席側に腕を振る。
まこと「あちゃー。」
既にセカンドベースを回っていたまことが、残念そうに苦笑して、
勢いを殺して3塁ベースを回りながら3塁側ベンチへ向かう。彼女
を見守っていた3塁上の咲耶が、まことへ微笑み話し掛ける。
咲耶 「凄いね、あなた。」
まこと「へへっ、そう? 有難う。」
咲耶 「これは、ちょっと面白くなってきたかも。」
まこと「うん、私もそう思うよ。」
にこっと微笑み返し、ベンチへ向かうまこと。ベンチの中ではア
ウトになったとは言えあの剛球を跳ね返せた彼女を、仲間達が踊り
あがって喜び迎えている。
咲耶 「仲間、か・・・いいな・・・。」
誰とも無く呟き見つめる咲耶の肩が、ぽんと後ろから叩かれた。
白雪「何をなさってますの? 次は私たちの番ですわよ。」
そうだった。私にも、こんな姉妹がいるじゃない。
咲耶 「うん、さー頑張ろー!」
咲耶は白雪に答えると、躍り上がっている1塁側ベンチへ帰って
いった・・・。
なお、何故に1塁側ベンチが「見かけ上」盛り上がっていたかと
言うと。
少し時間を巻き戻して、まことの打球がレフトポールを過ぎた瞬間。
鞠絵 「やった! 鈴凛ちゃん、凄い! 9球アウト、超完全試合!」
雛子 「すごいすごいすごーい!やったやったー!うわーーい!」
亞里亞「す〜〜〜ご〜〜〜い〜〜〜〜の〜〜〜〜。」
躍り上がって喜ぶベンチ。流石の兄ちゃんも、何時ものヘタレて
いる心が沸き立つ。歓声を上げようとした、その時。
「やったやったー!いやー良い出来だー!さすが私ー!」
ひとつ、歓声が多い事に気付く。
ぎぎぎ、と首を曲げて後ろを見る兄ちゃん。勢い、鞠絵と雛子と
亞里亞も振り向く。その4人と、目を交わす一人。
そこには、鈴凛が居た。
鞠絵 「鈴凛・・・ちゃん?」
あ、と言った顔をして気付く鈴凛。たらり、と頬を汗が伝う。
雛子 「あれぇ? あっちにも鈴凛ちゃんがいるよぉ?」
再度グラウンドを見返せば、姉妹たちから祝福されながらマウン
ドを降りる鈴凛が。無表情のまま、すたすたとベンチへ向かう。
まるで、機械のように無表情に。
全ての事情を察知した鞠絵が、鋭く激を飛ばす。
鞠絵 「雛子ちゃん!」
雛子 「承知!」
まるで海賊を目の前にした李美鳳の如く凛と命じる鞠絵。まるで <----(0316)
MAHO堂ピンチの時のお団子頭おジャ魔女の如く、身軽に鈴凛へ <----(0317)
飛び掛る雛子。兄ちゃんの肩へ左手を突き、上体を水平に半回転さ
せて右足を鈴凛の首筋裏へ伸ばす。そして見事に決まる延髄切り。
流石、元JACの経歴は伊達じゃない(謎)。 <----(0318)
ごん!
きゅう、とベンチ裏へ沈む鈴凛。すばやく主審、そして3塁側ベ
ンチへ視線を走らせた鞠絵。どうやら気付いた者はいないようだ。
鞠絵 「良かった。バレてないみたいね。」
雛子 「よかったねー。投げていたのがメカ鈴凛ちゃんだ!なんて <----(0319)
バレたら、負けちゃうとこだったねー。」
そう。投球練習を終えた鈴凛はベンチ裏へ一旦戻り、こっそりと
メカ鈴凛を起動。以降、マウンドで投げていたのはメカ鈴凛だった
のだ。そらまぁ、中学生がヤンキースの大魔人も真っ青な球をいき
なり放れる訳は無いわなぁ。背番号1/2の巨人軍小学生じゃある <----(0320)
まいし(謎)。まぁ首尾良く「いらないもの」は殲滅できたのだから、 <----(0321)
これで良いのだろう(おぃ)。
亞里亞「そ〜〜れ〜〜、没〜〜収〜〜試〜〜合〜〜て〜〜言〜〜う〜〜
の〜〜よ〜〜。」
鞠絵 「わぁ、亞里亞ちゃんってよく知ってるのね。」
雛子 「すごいすごーい、亞里亞ちゃんもすごーい。」
にこ、と笑って亞里亞が曰く。
亞里亞「だ〜っ〜て〜、メ〜カ〜鈴〜凛〜ち〜ゃ〜ん〜っ〜て〜、
鈴〜凛〜ち〜ゃ〜ん〜の〜双〜子〜の〜妹〜で〜しょ〜?」
ぽけら、とする一同。しばらく後、グラウンドボーイの山田太郎
(魂の名)が、ぽんと手を叩く。
山田 「『背番号の無いエース』・・・。」 <----(0322)
そりゃ兄貴の方だろう?とか思いつつも、つい突っ込まざるを得
ない兄ちゃんだった。
兄ちゃ「・・・そんなバカな。」
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■Sailors|0| | | | | | | | |0 ■
■Sisters| | | | | | | | | | ■
■ NEXT 衛・可憐・千影 ◆ マウンド まこと ■
水野夢絵 <mwe@ccsf.homeunix.org>
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