> 奥様と主婦ってどう違うの?
 > 結構そういう境界線厳しいよ>女は(笑)

どっちも既婚の女性のことを示すが、区別はあるはずである。
商売人がそのへんでぷらぷらしているおばちゃんにモノを勧
めるときに「奥様」と呼ぶのは、「奥様」じゃないおばちゃ
んが「奥様」と扱われるのを悪からず思うことを期待してい
るからで、そういう意味では「奥様」であるか、そうでない
かは明文化されてこそいないが、文化的なコモンセンスとし
てはかなり具体的に区別できるものと思われる。
とりあえず、このような文脈で扱われるような「奥様」じゃ
ないおばちゃんたちは、すべて「主婦」にカテゴライズされ
そうだ。なるほど、「奥様は主婦したりしない」という文を
作ってみても、日本語としては矛盾しているようには感じな
い。すると「主婦したりしない既婚の女性が奥様である」と
定義しても良さそうである。

・「主婦をしない既婚の女性は奥様である」…(定義イ-1)

ところで「主婦する」とはなんなのだろうか。もしこれを国
語学者とかいう種類の人間がよんでいたら、変な日本語を使
うなと抗議のメールを送ってくるような感じの語句である。
(でも決してそんなメールを送ってこないで欲しい、私はい
つもあなたがたの味方であり、広辞苑を昼寝の枕に使ったり
辞書を引くのが面倒だといってパソコンのIMEに頼ったり
するような不逞な連中ではないのである。)
そもそも「主婦」を「する」では、休憩する、仕事する、勉
強する、食事する、のように付加された名称のような使われ
方である。「主婦」とはなにかの動作シーケンスに付けられ
た名称なのだろうか。
もちろん「主婦する」という言葉はなく、「家事する」を茶
化している言い回しであることは現代日本人であれば明白な
言語感覚である。つまり「家事をする」ことが「主婦」の条
件にあるらしいことが分かる。
では(定義イ-1)を言い直してみよう

・「家事をしない既婚の女性は奥様である」…(定義ロ-1)

言うまでもない事かも知れないが、ここの「家事をしない」
という言い回しは、「なまけもので家事をしない」のでもな
く、「身体的に不自由なので家事ができなくて、しない」の
でもない。「家事をする必要がないので、しない」というこ
とを意味している。これはどういうことなのだろうか。
人間が社会生活を営む上で、家事は不可欠ではなかったのか、
一体どうしているというのだろうか、現代のミステリーがこ
こに暴かれるというのだろうか。
しかし、答えは簡単で、つまり、だれかが代わりに家事をし
てくれるので、「奥様」は家事をする必要がない訳である。
それも「奥様」の代わりに家事をこなしてくれるのは、ナショ
ナルのナナメドアの全自動洗濯乾燥機でもなければ、シャー
プの薄型場所をとらない自動皿洗い機でもない、いわゆると
ころの「お手伝いさん」が居るのである。
ああ、ここで諸兄に注意しておかなければならないのは残念
といわざるを得ない。そうだ、諸兄たちはこの「お手伝いさ
ん」の一言でフリフリのメイド服姿のおねーちゃんを思い浮
かべ、常人の手の届かない遠い世界へとワープしてしまって
いるからである。しかし、思い出して欲しい、私はここで、
現代日本における「奥様」という言葉がもつ民俗学的で社会
人類学的な考察という作業を諸兄たちとしているのである。
この崇高なる使命を全うしようではないか、それからでも、
おねーちゃんのふとももを追いかけても遅くはないのではな
いだろうか、そうだ、おねーちゃんたちだって我々を待って
いてくれるはずだ、そうは思わないか。
とりあえず、主題に戻ろう。「奥様」とは「お手伝いさん」
がいるハイソな存在だったのである。すると分からないのは、
件の「奥様でも主婦でも構わない」という言い回しである。
つまり「金持ちでも貧乏人でもオンナだったら誰でもイイ」
と言っているのだろうか、これでは寛容さを表現しているの
か、侮辱を込めているのか分からない。やっぱり、おねーちゃ
んの世界へと行くことにしよう、この世は難しいことが多す
ぎる、そして我々には荷が重過ぎる、ここは若い前途有望な
る世代に夢を託そうではないか。

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のりたま@うんそれがいい