憲法改正論議が今後盛んになって来ると予想されるが、大方の予測の通り必然的に自衛権の行使の範囲に大きな焦点が当たるだろう。
 自衛権は各々の国が持っている固有の権利であり、植民地や被占領国で無い限りこの事は当然主張出来る。問題は自国の安全とその為に要する装備、国際情勢だろう。
 現在の技術では最早単独で一国の防衛を行う事は不可能に近いし、若しそれを行うとすれば、天文学的な軍備費と他国に観測点を設ける等の必要が生じるだろう。
 ミサイル防衛構想が如何に進捗しても、最終的には揚陸の迎撃があり、出来ればミサイル発射前にミサイルを破壊することが望ましい。 この事は艦載機が空母に居る時に空母を撃沈する方が、艦載機が上空待機している時に攻撃するよりも遥かに犠牲も少なく効率的であるのと等しい。
 憲法を改正すれば、軍事大国になり、あたかも好戦国家になるかの考え方には疑問が多い。 自らの手足を縛り、行動の制限を行う事は、ある意味利敵行為であるだろうし、第一時大戦後に連合国がドイツに課した多くの債務と制約に等しい状況を自らの手で作る事にも繋がる恐れが生じる。
 制約を多くすれば、それだけ反発も大きく、ドイツに於いてはナチスが台頭する基盤を醸成する事となった。
 普通の事を普通にしていれば、必然的に理性が働き、必要以上の軍備も持たないだろうし、見えない恐怖に怯える事も無いと思う。
 そもそも、憲法改正をすれば軍備強化に繋がると考える事事態が無意味なことと言える。軍事力だけで言えば日本は既に五本の指に入ると言われている。 国力から見てこれ以上の軍備強化を行う能力は余り余力を持たない状態とも言える。
 持っている能力を有効に活用し、多国間相互に信頼を醸成してゆく第二段階に入ると思えば、法改正に拠る不利益は無いと言える。 独立国として当然の事を普通に行えば良いだけの事で、理由をつけてPKFに制限を加えたり、法解釈を幾通りも持つ方が不自然な状態と言える。
 日本人が再び戦端を開くとは、現状ではとても思えないし、痛みを知っていると思うのだが・・