PTT幹事の田中哲朗@東京大学情報基盤センターです.

 1月に行われた第296回PTTのメモを流します.

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第296回 PTTメモ

日時: 2004年1月22日 (木) 18:30 から
場所: 東京農工大学工学部情報コミュニケーション工学科 7号棟 3階 3K室
出席者: 山口文彦(東京理科大),多田好克,鈴木信吾(電通大),
                 伊知地宏(ラムダ数学教育研究所),石畑清(明大),
    並木美太郎(農工大),丸山一貴,副田俊介,筧一彦,田中哲朗(東大)

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題目: 吸い取りインタフェース:携帯機器による掲示板からの情報取得インタフェース
話者: 加藤 直樹(東京農工大学)
概  要:
  ホワイトボードやグリーンボードを用いた掲示板の前で,掲示物の内容を取っ
ておきたいと思った場合,紙やPDAにメモを取ったり,デジカメや携帯電話で
写真を撮ったり,一時的に剥せるものであればコピーを取ったりする.しかし,
手書きによるメモは面倒であり,また,複数枚からなる掲示物であると写真を
撮るのも大変である.この点を解決するUIとして提案するのが吸い取りインタ
フェースである.具体的には,掲示物にPDAなどの携帯機器を近付けるだけで,
PDAにその掲示物の内容が取り込めるというものである.
  今回,大型ディスプレイを用いた電子掲示板から吸い取りを行えるシステム
と,手書きで描いた紙を貼り付けた掲示板から吸い取りを行えるシステムの試
作を行ったので,これらについて報告を行う.

質疑応答:
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Q:吸い取った後にうまく加工して使うことは考えているか?
A:現在そこまでは考えていない.ただ,見やすくするための工夫は必要と考え,
 発表でも述べた,文字の並べ替え表示などを実装している.

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Q:紙は挫折が多かった。この先、こうやっていくとうまくいきそう、
  というのは何かあるか?
A:自分でもまだつかめていない.

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Q:携帯のカメラで撮るのは駄目というのは解像度の問題では?
A:確かにそうでもある.しかし,複数枚の掲示物だとカメラは面倒である.
 また,提案しているシステム構成では,見えている情報とは異なるものを
 吸い取らせるなどの工夫を入れることも可能である.

Q:いっそGPS+撮った画像をキーに検索させたら?
A:そのような研究も行われている.
 今回は RFID を利用する手法の実装を試みた.

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Q:実装:なぜ、URLを記録しておくのか.IDでよいと思う.
A:最終的に吸い取らせる情報を RFID に入れることは不可能なため,
 それは「どこか」に置いておかなくてはならない.そして,「どこか」を
 示すURLを記録することにした.ID を記録してもよいが,最終的には,
 「どこか」へ変換する必要があるため,単純に「どこか」を記録した.

Q:そこに来た人しか見せたくない、という使い方もある
 その場合,URL だとだれでもアクセスできるようになってしまう.
A:現在はユーザ認証があると使い勝手が悪くなると思い,組み込んでいないが,
 確かに,そのような使い方は想定できるため,なんらかのアクセス制御が
 必要であるかと思う.
 (WEBサーバ側にユーザ認証を設定するのが一番簡単な方法だと思う)

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Q:実装は何?
A:紙版は C#.NET.デジタルボード版は C++BuilderとAppForge

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Q:掲示物のライフサイクルの一つである「捨てる」も機能としてありえる.
 RFID に期限を入れておくとか.その期限がきたら自動的に消去されるとか.
A:ぜひ取り入れたいと思う.

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Q:掲示の吸い上げについて、選択してから選んだら?
A:携帯機器を吸い取りたい掲示物にかざすと吸い取れるというイメージの
 インタフェースを想定していたため,現在は考えないようにしていた.
 可能性を広げるためには考えることも必要であると思う.

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東京大学情報基盤センター 田中哲朗
http://www.tanaka.ecc.u-tokyo.ac.jp/~ktanaka/