自衛隊のイラク派遣に関して否定的な見解を見るが、派遣の経緯等から勘案して、又日本の置かれた立場から判断しなければならないと思う。 くしくも本日はワ−ルドトレ−ドセンタ−にB767が飛び込んだ日であり、多くの特別番組がある様子だが、此れを機会にアメリカ人の国民性を理解し、政治的に利用した手法を学ぶのも良い機会だ。
 所謂テロ支援法は未だ有効であり、航空自衛隊、海上自衛隊は活動している。陸自のサマワ撤退で全てが終了しているのでは無い。

 貿易センタ−ビルに何故ハイジャック機が飛び込んだかは別として、一般的に自らの意見を主張する手段としてのテロは否定されているが、主義主張、考え方の異なる者が自らの考え方、意見を世に知らしめる為の手段としての戦略としては否定すべきではないと思う。
 必ずしもアルカイダを弁護する者では無いが、テロに至る迄の欧米のイスラム教国に対する対応は、搾取と利権の奪い合いであり、現在に至っても、イスラエルのレバノン侵攻を事実上擁護し、イランの核開発に対しては一方的にクレ−ムをつけるなど、米国始め西欧諸国はモスリムの何たるかをまるで学んでいない。
 まして、自らの国の文化や利益を著しく否定された国民の反応など、全く意識していないと言える。

 米国は当初占領政策を第二次大戦後の日本と同じ方法を検討していた様子だが、日本には天皇制を残す事で多くの日本国民は納得し、象徴天皇として憲法に明文化したことにより、大きな混乱は回避されたと思う。
 もし、米国が日本から学ぶとすれれば、日本が中国大陸での占領政策で犯した、点と線の占領と、その国の主たる権力者(この場合国民政府と思うが)との提携が出来なく敵に回し、共産ゲリラが現れ、辮衣隊に惑わされた事を学ぶべきだったろう。
 日本の特務は未だ中国人になりきれたが、米国人がイラク人になりきれる訳が無い。地上に足をつけた瞬間から標的である。
 共通の文字を持ち近接した民族であってさえ、微妙に仕草、習慣が異なり、入り込むのが困難だったのに、言語、民族、習慣、宗教等なにをとっても共通なものが無いのに、相手の事を理解せず、相手の利益を尊重しない状態では、ベトナム以上の泥沼になるだろう。
 唯一ベトナム戦争と異なっているのは、幾人ものオサマビンラデインがいる事で、何時でも西欧諸国、米国を攻撃出来る方法を持っている事だろう。
 少なくとも、アメリカ本土を爆撃し、重大な損害を与えた唯一のアメリカの敵だろう。 


 日本は確かに多国籍軍傘下で活動し、現在では空自は国連、海自は多国籍軍に協力して活動している。陸の撤収が想像以上に早く、戦火を交えず出来たのは単に運が良かったと言わざるを得ない。
 もっと派遣先選定やオ-ストラリア、英国、オランダの協力無くして、撤収はおろか、派遣部隊も大部隊となっただろう。
 取り敢えず、米国の希望のとおり、日本軍はイラクに進駐した。此れに拠り米国は西欧だけでなく、日本、韓国も協力し、一応世界規模での協力を得たと言う体面は保てた。 米国の本来の日本に要求した目的は達成出来ただろう。

 御蔭で日本は石油利権を主張する事が出来る。
 さて、今後はイランとの関係が残る。イランとは採掘権交渉では略合意しているのだが、核開発云々で大きな踏み絵を置かれている。
 本来はイランの原子力開発はイラン固有の権利であり、他国がIATAの規定に従っている限り干渉すべきでは無いと言える。若し反対するのであれば、事実上核武装しているイスラエルに対しても同様に核兵器の放棄と原子炉の停止を求め、イスラエルの領土を第二次大戦後策定した範囲に限定すべきだろう。
 この事は米国には出来ないだろうし、西欧諸国の多くが言い出せないだろう。西側諸国で唯一提案できるのは日本しかない。ロシア、中国は何時でも出来る。
 この課題は米国の課題にしては大きすぎて、万一提案すれば、即座にその政権は瓦解する。
 日本が若し本来の意味での平和外交を推進するのであれば、最も適任であり、今後の日本外交の指針を示す機会と言える。自主独立し、本来の意味での米国、西欧とのパ−トナ−シップを示す良い機会と思う。
 外交と諜報能力が今の日本にあるか、疑問だが。