こん○○わ、PARALLAXです。では早速。
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　　│　【　軽　音　部　、　西　へ　 - HTT live @ 7th district -　】　│
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### D-day Zero-Hour ###　＠　学園都市　＠　PROGRESS 00:21:48 STAGE:5th district

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　背筋から血が引いているのは、助手席でインカムとネットブックを抱きしめている和と
運転席のヤンキー兄ちゃんも同じだった。眼前の道路上はすっかり青いパトランプの列で
埋め尽くされている。さっきから耳障りなメガホンが投降を呼びかけている。無粋な暗色
で塗られたゴツイ車体には特徴的なロゴと「ＡＮＴＩ　ＳＫＩＬＬ」の文字が読める。

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　そのずっと向こうには、目的地の学園の尖塔すら見えるというのに。

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　さて、こう言ったのを「二進も三進も」と表現するんだっけ？

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「ど、どどどどどーするんすか姐さん！」

　すっかりパニクッてしまってテンパッているヤンキー兄ちゃんはもうアテにならない。
しかしここで投降するなど絶対に出来ない。けれど…

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　音質大割れのメガホンがダミ声で叫ぶ。３つ数える内に出て来い、と。

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　私が一人で突っ込んで、何とかなるものだろうか？　いや無理だろう。このドアを開け
投降する素振りを見せた瞬間に、最前列の隊がよってたかってこのトレーラーを丸裸に
するだろう。琴吹さんも連れ去られてしまう。それじゃ放課後ティータイムにならない。

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　ひとーつ！

　色仕掛け、なんて無理ね。考えてみただけ。でも一介の女子高生が叫んだところで何も
聞き入れやしないだろう。どのみち、ここで掴まってしまう。

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　ふたーつ！

　さて、武器はあったっけ？　あの時は「私たちにしか出来ない戦い方」なんて格好良い
事を言っちゃったけど、結局はコレか。

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　みぃー

「みっつよっついつつむっつななつとお！　ほら１０コまで数えてやったぜ！」

　突然、トレーラーの直ぐ前から大音声が響いた。

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「だからトットと道を開けなぁ！」

　　♪

　同時にトレーラーの周りの街区裏から轟音が響く。マフラーを外した野太い威嚇的な
排気音と、極めて頭が悪そうではあるがそれだけに攻撃的で金属的なホーンのメロディ
が、この街区を埋め尽くす。暴力的にまでワット数を上げられた幾多のヘッドライトが
逆に警備局のトレーラーを街ごと照らし出す。

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　数十台？　いや百台を軽く超えているだろう、それらの如何にもな４輪・２輪の群れが
一斉に街区へ雪崩込み、一斉に警備局の車両へ襲いかかる。乗っていたひと癖どころか
３〜４癖はありそうな連中も警備局の徒歩人員へ一斉に襲いかかる。大乱闘がそこ此処
で巻き起こるが、奇妙に統制された大乱闘は、す、と中央に大きく道を開けた。

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「おら、行け！」

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　がぁん！　とトレーラーのフロントが叩かれる。思わず助手席窓から身を乗り出した和
は、そこに顔馴染みの赤い蓬髪を見た。

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「黒妻さん！」
「よぉ、和ちゃん」

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　す、と右手の５００ｍｌパックを持ち上げて挨拶する。

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「なんで…どうして…」　自然にぼろぼろ零れ落ちる涙なんか、抑えられない

　なんだか気恥ずかしげに、黒妻が赤毛を掻き上げる。

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「ん、まぁ、放っておけなくてな。
　似てんだ、アンタは。落ち着いてて、頭良さそうで、度胸があって、芯が強そうで、

　…あぁ。あと、眼鏡なとこも、か」

　　♪

　もう一発、黒妻がトレーラーのフロントを殴る。その音に我に返った運転席の兄ちゃん
がトレーラーを走り出させる。きっちり中央が開いた車線の真ん中をブッ飛ばし、目的の
尖塔を目指す。

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　が、和はそんな自分の目的すら忘れ、助手席の窓から身を乗り出し、ひたすらトレー
ラーの後ろを見つめ、我すら忘れて叫んでいた。

　　♪

「黒妻さん！　黒妻さん！　黒妻さぁーん！」　

　　♪

　もう言葉にならない。窓枠を握り締め、わぁわぁと泣く和の顔は、何時もの彼女を知る
放課後ティータイムのメンバが見たらきっと心底驚くだろう、そんな、女の顔だった。

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今回は、一先ず此処迄。　では。
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