Re: HTT GO WEST! -live@7thDct- #006
こん○○わ、PARALLAXです。では早速。
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│ 【 軽 音 部 、 西 へ - HTT live @ 7th district - 】 │
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>> Pi。美偉が携帯電話を切る。何事?と美偉を見る3人の向こうで、初春が上気
>> した頬で顔を上げる。こう言う表情をドヤ顔と言うのだろう。ネットブックから携帯
>> を1台外し、美偉へ投げる。
初春「固法先輩!リムジンのパスコードと外部ゲートのアクセスキーです!」
美偉「もう出来たの!無茶したんじゃない?監視局から追い掛けられてない?」
初春「構いません。どうせ携帯はこれっきりで捨てますし、このネットブックも帰り道
の何処かで捨てます。『端末は先週盗まれました』も、支部へ届け済みです。」
にこ、と初春が言い放つ。実際、かなりの無茶をやっている。携帯数台を使っては
いるが、学園都市外部から学園都市の警備局サーバーへ侵入してキー情報を取り出す
なんて事をしたら、警備局の自動追跡botが接続回線どころか端末の氏素性まで
アクセス段階からミリセカンドで暴ききっている。一発退学どころかネンショー
送りであってもおかしくない、重大な学園都市条例違反だ。果たしてそれが、自分の
所属する風紀委員支部へ届けられた嘘申請だけで乗りきれるかどうか。
初春「それと、軽音部の方々、やっぱりもう拉致されていました。警備局の発表です。」
黒子「3時間前のニュースですのね。何処でですの?」
初春「第11学区の入管ゲート。ゲートを抜けたところで『テロだぁっ』て、ガスで。」
美琴「なにそれ!アイツらのマッチポンプじゃないの!」
佐天「それじゃもう、軽音部の人たちはどっかにまとめて収容されてるの?」
初春「それは発表無し。ただ警備局が『2次テロを怖れ、』とか発表しているから、」
黒子「…分散収容されてますわね。厄介な。」 ちっ
初春「入管ゲートでの監視映像です。フィルタを掛けて増感してますが、精一杯で…」
ネットブックのプロジェクターが不鮮明なモノクロ映像を映し出す。静止画よりは
動画の方が要領が解るほどに不鮮明な絵からは、辛うじて3つの塊が別々の方向へ
連れ去られているのが見て取れた。
初春「ごめんなさい。この時間とこの回線とこの端末じゃこれがいっぱいいっぱいです」
が、美偉にはこの初春の「早い仕事」が何よりも有り難かった。これで少なくとも
半日は稼げる。リムジンを差し向けるほどの敵は、少なくとも私たちより半日は早く
手を打って行動している。ならばその半日を、初春のこれで取り戻せるかもしれない。
初春から受け取った携帯を握り締めると、美偉は仲間たちへ向き直った。
美偉「方針は変わりません。軽音部の人たちを助けだします。」
美琴「そして学園都市も助ける。決してアイツらの好き放題なんかにはさせない。」
黒子「当たり前ですの!そうですよね固法先輩?」
すっかり瞳に光を取り戻した美偉が、力強く頷く。その気配に背を支えられ、美琴も
黒子も佐天も初春も表情に力を取り戻す。そう、まだ諦める訳には行かない。でも…
佐天「その、軽音部の方たちは、まだ生かされているんでしょうか?」
はっとして佐天を振り返る。言いにくい事だが、誰もが同じ事を考えていたから。
「心配ない。大丈夫、な筈だ。」
再び美偉へ。美偉が掲げる携帯電話がハンズフリーモードで作動している。通話先
の表示は「木山せんせい」。
春生「大丈夫、だ。彼らの理論と技術では、録音音源を使っても効果はあるが、
それより生演奏の方が、数倍は効果がある、と言う事だ。それに、計画までには、
もう、時間がない。だから、洗脳も難しい。催眠すら出来ないだろう。」
美偉「軽音部の方たちは、何と言っても外界の、普通の方々です。だから学園都市の
暗部も知らないし、仕組みも知らない。きっとアイツらが言うとおりの事をその
まま信じて、その通りに行動してしまうでしょう。」
佐天「ホンっと上手いからね!そう言うダマシは、アイツら!」
美偉「だから出来ればその前に、そうでなくても計画発動前には、軽音部の方たちを助け
だします。あと3日、いえ2日半。その間に、やらなきゃならない事は多いわ。」
何時の間にか立ち上がっていた全員が、力強く頷く。全員の瞳に光が戻っている。
黒子「それで、どうしますの?これからの計画は?」
美偉「御坂さんと佐天さんと初春さんは、このまま学園都市へ戻って。初春さんは軽音部
の方たちが何処で拉致されているか、今日の夜までに何としても調べ上げて。」
美琴「私は?」
美偉「学園都市の中で『使える兵隊』を、今晩までに掻き集めて。」
美琴「えぇぇえええ!」
美偉「お願い。アナタのコネを貸して。誰でもいい。友達の友達でもいい。」
美琴「…わかりました。掻き集めまくります。任せて下さい。」
佐天「あのー、私は?」
春生「君には、私から、お願いしたい事がある。」 ハンズフリーモードのままだった
佐天「えぇえ私にですか!」
春生「そう。君に、と言うより君にしか出来ない。学園に戻ったらすぐ第19学区に。」
佐天「第19学区。ロスト・ディストリクト、ですか?そりゃまた随分とレトロな。」
黒子「あのー、それで、ワタクシは?」
美偉「白井さんはこのまま私と一緒に来て。」
黒子「えー、御姉様とお別れですの?」
美偉「お願い、この通り。明後日の夜、多分、貴方が最後の切札になるの。」
黒子「最後の切札!わかりました!あぁあ御姉様、このままお別れになってしまいますが
この黒子、必ず必ずかーなーらーず!御姉様の元に帰って参りますの!それまでの
ひと時の間、寂しがらずにこの黒子をお待ち下さいまし!あぁ、あぁ、御姉様!」
美琴「わかったわかったわかった、わかったから! だから抱きつくんじゃない! 脚を
絡めるんじゃない! 腰を使うんじゃないったら殴るよホント!」 ごいんっ
黒子「(いたたたたたたた)それ、殴ってから言う台詞じゃありませんの。」
初春「えー、それ白井さんが言うんですか?」
あははははは。皆から笑いが出た。良かった、漸く元気が出た。と、美偉は思う。
みんなと、この時の事を決意した、その時の様に。あの時の決意のままに。
そう、何としてでもアイツらの計画を止めなければならない。
また、学園都市が 学園都市でなくなってしまう。
その前に、絶対にアイツらの計画を止めなければ。
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今回は、一先ず此処迄。 では。
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