初の鳩山施政方針演説を、官僚の作文ではなく、その編集でまなく、自分の言葉で、自分の考えを、自分で綴った演説であったし、祖父伝来の「友愛」ではない、鳩山らしい理念が盛り込まれた、力強い演説であった。
 その政治理念のキイワ−ドは「いのち」で゛あり、その言葉は51分の演説のなかで24回も繰り返し、くどくどと述べられていた。
 この理念はよいが、「いのち」と言えば「いのちだけはお助け下さい」というように、「生きる最後の綱」の代名詞としての語感をもつ言葉だから、それをこれほどくどくど強調されると、自殺者が多い世情とも関連して、「そんなに危機的な状況なのか」とあまり良い感じはしない、暗い感じに追い込まれる。
 そこが感覚の少し違う、鳩山の「宇宙人」たる所以であろうかと思う。
 また、カンジ−の墓碑銘の言葉を引用したのは良いが、ガンジ−が忌むべき状況としてあげた「労働なき富」というのは、鳩山自身の自戒の言葉だな、と可笑しかった。
 ともあれ、この理念に基いて、弱者に優しい政治を具体的に、かつ迅速に、展開してもらいたいものである。
 村上新八