唯一の超大国アメリカ大統領の年頭教書といえば、外交演説が主となるものだが、今回のオバマ演説は内政、それも経済復興と雇用創出が主であった。
 米国の景気はやや上向きに転じているとは云え、失業率は10%を超え、
先のサチュ−セッツ州では、不敗の民主党地盤を共和党にさらわれたショック、オバマの経済対策に不満を感じている世論や民主党の長年に亙る懸案であった健保法案の難航、目先に迫った国会議員選挙などを考えると、内政問題に注力しようという気持は分からないではない。
 が、外交問題でも、オバマが唱えたチェンジが顕著に現れたというものは何もないのだ。
 イラクは何とかなりそうだが、イラン、北朝鮮問題はデッドロックに乗り上げている感じである。非核の世界への目だった動きはない。これではアメリカが世界のリ−ダ−シップを取ろうとする気概は感じられない。
 オバマは、「演説がうまかった大統領」だけには終わらせたくはない、「チェンジ」推進を期待したい人物なのだが。
 村上新八