オバマは、2日アフガンへの米軍3万人増派することを発表、同時に11年7月から米兵の順次撤退を表明した。
 撤退表明は、55%に上る「アフガン政策反対」の世論に配慮したものであろう。
 この増派によって、アフガンの米軍は10万人規模になるが、これでタリバン、アルカイダを潰せる保障はない。
 米軍の駐留中は、パキスタン側は部族地域で、米軍の攻勢で戦力を消耗しないように、じっとして戦力を温存、強化を図り、米軍撤退後に攻勢に転じるという戦略もあるのだ。
 世間では、アフガンのベトナム化を心配するが、ベトナムはテロではない点がアフガンとは違うのだ。タリバン復活はテロの復活なのだ。
 ベトナムのように、米軍が撤退すれば、ベトコンの統治に変るだけ、というのと大違いなのである。
 それだけに、タリバンに侵食されないアフガンの民主的統治の成功が必須なのだが、オバマが希望するタリバン、アルカイダとの「対話」の糸口さえもつかめないままなのだ。
 「阿片栽培の資金源」「部族地域という絶好の潜伏地域」「パキスタンの過激なイスラム原理主義者の養成学校」の三点セットがある限り、テロ勢力は永久に生き残り、アフガンのテロ巣窟化の危険性は続くのである。
 アメリカの同盟国でなければ、非キリスト教国日本が、テロとの交渉に果たせる役割もあるのだが。
 アメリカの苦悩は今後とも続くであろう。
 村上新八