鳩山首相が訪米し、オバマとの初めての会談に臨む。まずは、相互の信頼関係の構築だという。
 民主党のマニフェストには、従来の自民党ではとても言い出せないような公約がいくつもある。
 「米軍再編」「地位協定」「普天間基地の移転」「思いやり予算」の見直し、
「インド洋での給油」の終了などである。さらに、米国のグロ−バリズムを非難した論文問題もある。
 これらについて、ヒラリ−国務長官は、「選挙のときの公約は『詩』のようなものだが、政権をとった後の対応は「韻文」みたいなものになるはずだから、気にしていない」と言うようなことを述べた。
 つまり、選挙公約というものは、対立軸を明確にするために大げさな言い方になるが、いざ政権を取ると、そうはゆかない、現実的になりト−ンダウンするものだ、ということである。
 これは、民主党の外交公約の実現は簡単ではないよ、ということである。
 そのような雰囲気のなかで、訪米する鳩山は信頼関係の構築をどう図ろうと考えているのだろうか。
 相手の気に障りそうな懸案は、すべて避け、意見が共通している「CO2問題」や「価格拡散防止」の問題だけに絞って、にこやかに握手してくる、だけでは信頼関係を構築した、ということにはならない。
 日米同盟を機軸にし、それを更に強固なものにし、世界の安定化と繁栄のために両国の協力関係を強化するためには、日本としては、こういうことが必要だと考えているのだ、ということをけれんみなく伝え、賛否は別として、オバマに「立派な識見だ」と思わせたときこそ、信頼関係ができたと言えるのである。
 村上新八