韓国の元大統領金大中ほど数奇な運命を辿った政治家はいまい。
 60年代から軍事政権に抗して民主化を唱え、77年、軍事政権から暗殺目的で東京から拉致されながら、これを米軍に探知されて、海に投げ込まれるのをまぬがれた。
 80年光州事件の首謀者として死刑判決を受け、世界世論に助けられて減刑、米国に亡命、86年帰国し、98年には大統領に当選、2期勤めた。
 その間、北朝鮮には融和方針で「太陽政策」をとり、訪朝して金正日と会談、和平に向けた努力でノ−ベル平和賞を受賞した。
 金正日がもともであったら、これで朝鮮統一まで進んだであろうが、そうはゆかなかった。
 金正日は、これを利用しただけであった。金大中は利用されただけに終わったのだ。 

 心中さぞかし無念であったであろうことは、察して余りある。
 合掌 村上新八