アメリカ発の世界的な金融危機に慌てて、各国が自国の産業を維持しようと、保護貿易に走る傾向が出ている。
 日本の関連で言えば、ロシアがシベリア地区での中古日本車の輸入を抑制して、ロシア製の車を買わせようと、中古車の輸入関税を大幅に引き上げた。
 そのために、シベリアの中古車の販売業者が悲鳴を上げているばかりでなく、中古日本車の性能を高く評価しているロシアのユ−ザ−も困りきっているのだ。
 そのくらい、中古日本車はロシア人の生活に組み込まれてしまっているのである。
 その実情をプ−チンは知っているのだろうか。
 また、アメリカでも「バイ・アメリカ」が唱えられ、公共工事ではアメリカ産の鉄材を使用することを義務付けるような法律が制定されようとしている。
 しかし、日本車を例にとると、日本からの輸出は年間200万台くらいなのに対して、アメリカの工場で製造される日本車は300万台を越えているのだ。
 アメリカの資材とアメリカ人労働者を使って造った車に輸入関税を掛けるわけにもゆくまい。
 このようなグロ−バル化、相互依存の浸透は、保護貿易、関税障壁で自国の産業を守る時代ではなくなってきていることを示しているのである。
 各国政府はこの事実をよく認識すべきである。
 村上新八