数万とも言われる反政府派座り込みによって、数日に亙って封鎖されていたタイのバンコク国際空港が、やっと開放されることになった。
 タイの憲法裁判所が、選挙違反を理由に、最大与党「国民の力党」など連立政権与党に解党を命じる判決を下したからである。
 この空港封鎖によるタイに対するイメ−ジの悪化と観光産業の損害は甚大であろう。 

 しかし、この事件は、元を辿れば、タクシン元首相の「蓄財作戦」に原因があるのだ。 

 タイは農業人口が多く、票の比率が高い。そこに目を付けたのがタクシンであった。 

 政治に疎い地方農民に厚い恩恵を与え、農民の支持を得て、その支持率の高さで政権を維持し、その陰で、蓄財を行なったのだ。
 それを怒った都市選挙民が、反政府運動を展開し、今日の事態に至ったのである。
 タクシンは有罪となって、亡命したが、義弟のソムチャイを首相に据えて勢力を維持しようとしたのが、今回の空港選挙の原因である。
 解党することになった与党は、それを見越して新党「ブアタイ」を結成し与党議員はこの党に移籍するはずであるから、タイの政局不安定はあとをひくことになろう。
 村上新八