みずのけ「楽屋でござる篇2」
「薄明かりの広いホールのような場所に赤や緑の無数の怪しげな光
が明滅している場所に、白衣に身を包んだ女が時代遅れの奇妙な
機械を前に佇んでいる。
「ふふふっ、あとはこの事象の地平転換装置のレバーを操作すれば
世界は次元断層に衝突
亜空間の中を永遠に彷徨うことになるだ
すべての物理法則は私の意のままとなる特製の亜空間をなっ
ふふふふふ」
そのとき女の背後で空気が動いた。だれかの気配を感じて振り向く、
そこにはいつのまに現れたのか銀色の装束の異形の人影が立つ。
「そうはさせないぞ、ドンナ・マッキー!
世界の平和はこの宇宙刑事天羽優子が守るのだ」
ビシバシっと決めのポーズをする自称宇宙刑事にドンナ・マッキー
と呼ばれた女は怯む様子もない。
「もう遅いわい」
ガッコンという調子の外れた音で事象の地平転換装置のレバーが
落ちると、劈くような唸りが周りを駆け巡る。
いつのまにか取鳥の砂漠のような景色のなかに場面転換している。
しかし、景色は変わっても事象の地平転換装置もドンナ・マッキー
もそのままの位置にいることは変わりがない。
「アモー・ダイナミック!」
そう叫ぶや宇宙刑事天羽優子はブレードを片手にドンナ・マッキー
に斬りかかり、ブレードを受け流そうとドンナ・マッキーがかざし
たマッキー・スタッフを真っ二つにする。
「ううっ、小癪な宇宙刑事めっ
しかしここまでだ、この亜空間では獣星人は2倍の能力を得る!
お前たちに勝ち目はないっ
出でよホクナン・ダブラー!!!
この宇宙刑事をひねりつぶしておしまいっ」
突然に現れる身の丈5メートルは越える全身クマのような黒い毛
で覆われた醜い怪獣、もだえるような身振りで雄たけびをあげて
宇宙刑事天羽優子めがけて襲いかかる。
「アモー・ストラッシュ!」
宇宙刑事天羽優子がブレードを両手持ちで一閃する。
その衝撃波はたちまち巨大な閃光の柱となり、怪獣ホクナン・ダ
ブラーをズタズタに切り裂き、余った勢いで背後にある事象の地
平転換装置もろともにドンナ・マッキーを吹き飛ばした。
「うわぁーなぜだぁー
もうすこしで世界は私の思いのままだったのにぃ〜っ」
壮絶な爆発とともに事象の地平転換装置は吹き飛ぶ
亜空間を変形させて世界を元の次元へと戻すことができた。
ここは京都の観光客で賑わう清水寺、
その裏山に位置するとある天文台だった。
ドンナ・マッキーはこんなところで人知れず世界征服の準備を進
めていたのであった。
しかし、それも宇宙刑事天羽優子活躍で未然に防がれたのだった。
という夢を見ました」
ここはみずのけの3姉妹がぬくんで居るコタツ、末娘のムヱが夢で
見た話を長女と次女が聞いている。
次女が怒り出す。
「ムヱ、夢だからといってどんな夢でも見ていい訳ではありません
なんですかその夢は
私は太陽のフレアのエネルギーを使って次元地震を起す
事象の地平転換装置みたいなアホなものなんか造ってはいません
ましてや世界を思い通りに動かして吉本新喜劇を他人に遣らせて
楽しもうなんてことなんか考えたこともありません
もうぷんすかですわ」
長女が一応なだめる。
「だから、ムヱの他愛もない夢の話だってば」
「もう、もう、もうっ」
クッションでバタバタとその辺り構わず叩いてそのまま次女はコタ
ツからでてどこかへ行こうとする。
「おーい、どこ行く?」
「ちょっと京都に用事を思い出しました」
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のりたま@うーむスランプだ
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