豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃、琵琶湖の南に
 「水からの伝言」という怪しい宗教が流行っていた。
 信じない者は、恐ろしい非難中傷に見舞われるという。
 その正体は何か?
 藤吉郎は「水からの伝言」の秘密を探るため
 出羽の国から仮面の忍者を呼んだ。
 その名は…

 天羽優子参上!!

ぷちっとテレビの映像が消える。
その50インチくらいのテレビを見ているのは早くもこたつに入り
ぬくんでいる水野家の3姉妹、長女はさも面白く無さそうにテレビ
のリモコンを操作している。
「なんなんだこの企画は
 まったくこの寒いのに忍者の格好で走り回れというのか」

長女の右となりでコタツに足を突っ込んでいる次女が頷く
「まったくですわ姉上さま
 ところでここに『法学ガールズ』という企画があるのですか
 姉上さまのお気に召しませんか」
そういいながら次女は台本をつつっと長女の方に押しやるが、長女
は台本の表紙を一瞥するだけで見向きもしない。
「そりゃだめ、
 なにしろここの構成作家は理系で
 文系のことまるで駄目夫だから
 また勉強不足でぐだぐだのオチになるに決まっている」
残念そうに台本を引っ込める次女
「そうですかぁ、裁判員制度の導入とかも控えて
 タイムリーな話題になると思ったのですがねぇ…
 裁判ファチな姉上さまはそっちには全然関心がないのです?」
「うん、私は民事訴訟専門だから、
 別に探偵小説みたいな刑事訴訟裁判には興味ないんよ
 せいぜい差し押さえの行使とかくらいまでかなぁ」
そういうと気のない調子で長女はハウスみかんをくるりと皮をむき
まるまま口に頬張る。
「えっ、裁判員制度って民事訴訟裁判には関係ないんですかぁ」
「そうだよ、なんだ知らないかったの?
 裁判員制度が適用になるのは
 死刑か死刑相当の求刑が予想される
 すっげーやばい刑事裁判だけだよ
 マッキーは死刑すき?」
「いえ、わたしは悪も正義も生暖かく見守る立場ですので
 どっちかといえば犯罪も刑罰もどっか私のしらないところで
 お勝手になさっていただきた方ですね」
「まあ野次馬でいるのがいちばん楽だしね
 そんじゃ今から『死刑反対』とか言ってるといいよ
 きっと裁判員選出の面接で落とされるから」
「まぁ面接で落とされてしまうのですか、
 それは試験に不合格のようでくやしいですわ」

ふとそばを見ると長女のとなりのこたつの隙間に入り込んでさっき
からごはんを食べていた末娘と次女の眼が合う。ごはんを口に詰め
込むだけ詰めているまぬけな顔娘を見て、なんかムカついた次女は
ごはん娘にからむ。
「まあ、この娘はさっきからごはんばかり食べて」
末娘はごはんでふくらんだほほのまま、にへらっと笑うがそれが又
次女にはにくらしい。ごはんではちきれんばかりの頬を突付いて困
らせてやろうかとするも、長女がすかさずこれを庇う。
「こらこら、よのなか思うようにならんからといって
 八つ当たりはいかんよ」
「ああっ、姉上さま、むゑばっかり甘やかしてぇ」
次女が甘えようと長女に抱きつこうとするがざぶとんで叩かれてし
まうのだった。


-- 
のりたま@という夢をみました
     連休中9時間も渋滞のなか車の中にいたのでおかしいのです